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2026年10月13日
株式会社Logomix

細胞エンジニアリング技術が バイオエコノミーの「標準」となり あらゆる細胞にLogomixを

株式会社Logomixロゴ

ゲノムとは、生物の体をつくり、維持するために必要なDNAの設計図全体を指します。当社は、このゲノムを大規模に改変する独自技術を開発し、生物への新たな機能付与を目指しています。本技術は医療やバイオものづくり分野への応用が期待されており、実用化に向けた開発を進めています。今回は、その技術の特長や取組、今後の展望について、代表取締役社長の石倉大樹氏にお話しを伺いました。(2026年8月取材)

インタビュー

  • お話
  • 株式会社Logomix
    (Sience Tokyo 横浜ベンチャープラザ入居)
    代表取締役社長 石倉大樹氏

起業、会社のおいたち

会社設立の経緯をお聞かせください

大学時代は分子生物学の研究に触れていました。研究者として技術を追求するよりも、その技術を社会実装していくところに携わりたいという想いがありました。その後は創業メンバーとして会社を立ち上げる経験を複数回重ねてきました。その時々のマーケットのモメンタムの中で、どういった技術に可能性があるのかを考えることは、この20年ずっとライフワークとして続けてきました。

石倉 大樹 代表取締役社長

医療系の投資会社に携わっていた時には、TLO(技術移転機関)や医療現場を回り、多くの大学の先生方や医師の方々とお話する機会がありました。全国を回る中で、旧:東工大の相澤康則先生ともお話しする機会がありました。当時から「ゲノム編集の次の世界」を標榜されていて、非常に興味深い技術だと感じていました。私自身も合成生物学の領域にマーケットのモメンタムを感じており、機会を探していました。相澤先生とは何度も話し合いを重ねていく中で、Logomixの共同創業にいたりました。

事業の展開と現在

御社のサービスの特長を教えてください

パートナー企業の課題解決につながる高機能細胞を開発する弊社独自の細胞エンジニアリング基盤・Geno-Writing(TM) Platformを提供しています。

ゲノム編集という技術自体は、分子レベルでDNAの一部分を編集する、小規模な改変にとどまっていました。一方で、私たちの大規模ゲノム改変技術は、細胞を一つのシステムとして捉え、システム全体を設計するためのエンジニアリング基盤です。例えるなら、500ページある専門書において、従来のゲノム編集技術であれば1か所2か所の誤字脱字を修正するようなものだとすれば、私たちのエンジニアリング基盤はチャプターごと違うストーリーに書き変えてしまうようなものです。それくらい従来のゲノム編集とは異なる領域に取り組んでいます。

こうした大規模な改変を通じて、細胞そのものに新たな機能を持たせることができるようになります。一例として、iPS細胞を土台に、「どのような機能を持たせたいのか」を踏まえながら、目的に応じた細胞を設計していくことができます。

研究者の手作業を自動化し、大量実験を可能にする装置

合成生物学のプラットフォームとしての強みは何でしょうか

我々の技術は、ヒトの細胞だけでなく、バクテリアや酵母といった微生物、さらには動物・植物細胞にも応用可能です。合成生物学の領域ではさまざまなプラットフォーム企業がありますが、基本的なアプローチとしてはDBTL(Design-Build-Test-Learn)というサイクルを回しています。設計し、構築し、評価し、そこから得られたデータを学習し、そのフィードバックを基に再び設計へと戻る。このサイクルを繰り返すことで、プラットフォームそのものがフライホイールのように賢くなっていきます。その中で、我々は特にDesignとBuild、つまり細胞システムを設計し、それを実際に構築する部分に強みを持っています。

ゲノム編集の世界では部分的な編集が主流だったと思います。そうした中で、なぜ御社は大規模ゲノム改変というアプローチを実現できたのでしょうか

大規模ゲノム改変という技術は、相澤先生の研究室が長年フォーカスをしてきた研究を推進されていく中で創出された技術です。2000年代初頭は、ゲノム全体のうち機能が分かっている領域は3%程度で、残りの97%はジャンクシーケンス、いわゆる「ゴミの領域」だと扱われていました。しかし、相澤先生は、そのジャンクシーケンスの中にも細胞に対して複雑かつ体系的な影響を及ぼしている機能があるはずだと考え、その97%がどのような役割を果たしているのかを理解しようとしていました。

もともとは社会実装を目的とした技術ではなく、細胞そのものを理解するための技術でした。細胞システムを理解しようとする基礎研究を長年続けてきた結果として、現在の大規模ゲノム改変技術につながっていると考えています。

そしてこれから

今後の展開について教えてください

CRISPR-Cas9が2012年にゲノム編集技術として登場して以来、バイオテクノロジーの進化は急速に進んでいます。さまざまな疾患領域で製品化や開発が進み、人間ができることは指数関数的に増えてきました。私たちは、バイオロジーがサイエンスとして理解する段階から、ものづくりに活用できるエンジニアリングの段階へ移行しつつあると捉えています。

Geno-Writing(TM) Platformを活用した医薬品開発も重要な取り組みの一つです。副作用の低減を目指した細胞や遺伝子の設計は重要なフラッグシップですが、私たちにとってはあくまで最初のアプリケーションだと考えています。
細胞産業を半導体産業になぞらえるなら、私たちはArmのようなポジションを目指しています。プラットフォーム企業として、さまざまな産業や企業に技術を提供し、多様な細胞の中にLogomixの設計図が入っている状態を実現したいと考えています。

インキュベーションの利用

入居のきっかけ、入居してよかったこと

施設というハード面の充実に加えて、ソフト支援の面でも大上チーフ・インキュベーション・マネージャーから大きなサポートを受けました。ファイナンスの面では複数の銀行様をご紹介いただきましたし、さまざまな業界のキーパーソンの方々にもご紹介いただきました。特に、我々のような研究開発にフォーカスしている企業は、補助金や助成金を含めた公的施策の情報に疎い部分があります。そうした中で、行政の情報を補っていただくだけでなく、実際に人をご紹介いただけたことはとても助かりました。

今後インキュベーション施設を利用する方へのメッセージ

中小機構のインキュベーション施設は人とのつながりの場だと思います。行政施策や資金調達に関する情報に加え、多くの方をご紹介いただき、意思決定に役立つ知見や繋がりをいただいております。また研究開発に適した施設や設備も含め、有形無形のバリューをいただいています。これから利用される方々も、インキュベーション・マネージャーを頼りに、色々な相談やお願いをすることで、施設の持つキャパシティを積極的に活用していただければと思います。

会社情報

会社名

代表取締役社長

石倉 大樹

所在地

東京都文京区向丘二丁目3番10号

事業概要

バイオ関連研究開発・技術サービス

会社略歴

2019年7月

株式会社Logomix 設立

2022年6月

シードラウンドとして5億円を調達

2022年2月

米国スタンフォード大学「StartX」に採択(日本企業2社目)

2025年3月

J-Startup 第5 次選定企業に選出

2025年7月

28億円を調達(第三者割当増資, JST A-STEP、NEDO DTSUを含む)

2025年8月

大学発ベンチャー表彰2025 特別賞を受賞

2025年11月

米国MBC Biolabs(ライフサイエンス特化インキュベーター)に採択

2026年3月

東京都SusHi Tech Global 成長加速プログラム(2 億円)採択

担当マネージャーからのコメント

Sience Tokyo 横浜ベンチャープラザ チーフインキュベーションマネージャー 大上 高充

Logomix社は、高い志とグローバルな視点を持つ経営チームが牽引する、大きなポテンシャルを備えた魅力的な企業です。日頃から皆様と接する中で、高い専門性や技術力に加え、目標に向かって挑戦を続けるチームとしての結束力が伝わってきます。いつも、メンバー同士が楽しそうに会話を交わす姿も印象的で、互いを尊重し支え合う温かな関係性を感じています。大きな挑戦に向き合いながらも、同社のチームワークが成長を支える大きな力になると信じています。

今後は、日本の戦略的成長分野の一つである合成生物学の領域において、世界に通用するプラットフォーマーとして新たな産業の発展に貢献されることを大いに期待しています。そのために、中小機構や関係機関のネットワークを最大限に活用しながら、皆様の挑戦と成長を全力で後押ししてまいります。合成生物学の可能性を切り拓く存在として、その挑戦が大きく花開いていくことを心より楽しみにしています。

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