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2024年11月22日
東大柏ベンチャープラザ

東京大学を中心にした大学発スタートアップや地域のディープテック系スタートアップの創業と成長を支援するインキュベータ

東大柏ベンチャープラザ外観

千葉県柏市・柏の葉エリアには、東京大学、千葉大学、国立がん研究センター、産業技術総合研究所など、国内有数の研究機関が集積している。また、公的インキュベーション施設の東葛テクノプラザ、ライフサイエンス分野の研究開発を支援するシーズ近接型施設の三井リンクラボ、大規模なコワーキングスペースを持つ柏の葉オープンイノベーションラボ(KOIL)等、スタートアップが事業を育みやすい環境が整っている。この柏の葉エリアに立地し、東京大学柏キャンパスに隣接する東大柏ベンチャープラザでは、最先端の知の集積を生かし、産学公のネットワークと連携して企業の成長をサポートしている。

インキュベータ概要

東大柏ベンチャープラザは、中小企業基盤整備機構(中小機構)が東京大学、千葉県および柏市から要請を受け、2004年7月に東京大学柏キャンパスに隣接するエリアに開設した大学連携型起業家育成施設(インキュベータ)である。居室は、全室ウエットラボ(研究室)仕様で、「P2レベル」までの実験が可能。1階の居室は、耐床荷重2.0t/平方メートル、天井高5m、高圧受電が可能で、簡易な試作工場としても利用できる。全館機械警備により24時間の利用が可能、加えて共用の会議室、商談コーナー、リフレッシュコーナーを備えており、ユーティリティも充実している。

特徴的な支援活動

入居企業支援:入居企業それぞれに合った個別支援メニュー

東大柏ベンチャープラザには、様々な業種やステージの企業が入居している。そのため、入居企業それぞれに合った個別支援メニューを策定している。入居企業の規模、開発状況、事業内容等に応じて、各企業と綿密なコミュニケーションの下、助言等を行っている。一方、スタートアップ支援においては高度な専門性を要する課題も出てくるため、インキュベーションマネージャー(IM)だけで課題解決につながらない場合には、IMが持つネットワークを活用し、エリア内外の専門家に協力を仰いでいる。スタートアップのみならず、支援側においてもヒトとヒトのネットワークづくりが大切になる。

地域連携:柏の葉エリアの産業エコシステムの形成

今、私たちがしなければならないのは、10~15年後に向けて世界的な競争力を持てる国内産業を創ること。2022年に政府から「スタートアップ育成5か年計画」が示されたが、日本の産業の転換を起こすには「人材の流動化」と「海外展開」がポイントとなる。特に「人材の流動化」については、世界の中でも労働市場が硬直的な日本において、人材の流動化を起こすようなきっかけづくり、雰囲気づくりが必要となる。世界的に成功しているエコシステムは、組織の結び付きにとどまらず、組織を越えてタレント(人材)が流動している。企業をはじめ、研究機関、金融機関などの間で人材の交流が進むと協業の垣根も低くなる。

産業エコシステムの形成においては、エリア内だけでなく、エリアを越えた企業間において新しいビジネスが回るシステムを作ることが肝要となる。あくまで目的は、スタートアップのみならず大企業、地元の中小企業も含めた産業の活性化、雇用の創出にある。柏の葉エリアにおいて、柏市の地元大手企業である三協フロンテアが、主力製品の「モバイルスペース」に、東大柏ベンチャープラザの入居企業であるYanekaraの「オフグリッド給電システム」を採用したという成功事例も出てきている。

東大柏ベンチャープラザでは、柏の葉エリアを中心としたオープンイノベーション拠点とすべく、研究機関、行政機関、支援機関のネットワークを強化し、東京大学、千葉県、柏市、国立がん研究センター、三井不動産との連携をメインに様々な取り組みを行っている。

  • 東大柏ベンチャープラザの取り巻く連携ネットワーク
「メディカルデバイスイノベーションin柏の葉」で登壇

国立がん研究センターがTXアントレプレナーパートナーズ(TEP)と共催するイベント「メディカルデバイスイノベーションin柏の葉」では、入居企業で生体親和性に優れたポリマー材料を開発するインテリジェント・サーフェスが国立がん研究センターの共同研究につなげたり、ピッチで登壇した、手術支援用ロボットシステムを開発するF.MEDにスター精密が出資を決めたりするなど、複数の成果が出ている。

また、日本医療研究開発機構(AMED)の「令和6年度橋渡し研究プログラム(大学発医療系スタートアップ支援プログラム)」において、国立がん研究センターが「サイエンスでがん医療の未来を創造する大学発医療系スタートアップ支援拠点」として採択され、中小機構の関東本部(東大柏ベンチャープラザ)がその連携協力機関となっている。

主な入居企業の概要

株式会社アルガルバイオロゴ

・株式会社アルガルバイオ
「Cultivating Algae's Potential, For a Better Future 藻類の研究開発で、人々と地球の未来に貢献する」をスローガンとし、東京大学における20年の研究成果を基に2018年に創業した藻類バイオスタートアップ。独自に保有する数千種類の微細藻類の株から効率的に機能性を持つ脂肪酸やカロテノイドを生産させ、食品、医療、燃料など様々な分野への応用を目指している。

株式会社Pale Blueロゴ

・株式会社Pale Blue
小型衛星用のエンジンを開発する東京大学発ベンチャー。大学所属中に水を用いた小型衛星用エンジンの研究開発に成功し、この成果を利用した水エンジンの製造販売を行う。安全無毒な水を推進剤として用いることで、これまで実現不可能であった、国際宇宙ステーション等の有人宇宙施設へのエンジン持ち込みが可能となる。「第22回Japan Venture Awards」において、浅川純代表取締役が「中小機構理事長賞」を受賞(2022年12月)。

株式会社Yanekaraロゴ

・株式会社Yanekara
「地球に住み続ける」をミッションとする東京大学発のディープテック・スタートアップ。土木技術で水力資源を活用し大型発電所を建設した「20世紀の黒部ダム」に対し、ソフトウェア技術で太陽光・蓄電池・電気自動車(EV)などの分散型電源を統合する「21世紀の黒部ダム」の構築を目指している。EV充電コントローラ「YaneCube」は、既設のEV普通充電コンセントに工事不要でプラグインできる特徴が評価され、物流企業、インフラ企業、自治体への採用実績がある。

これからのインキュベータ

スタートアップを取り巻く環境は、年々大きく変化している。技術は加速度的に進化し、新たなビジネスモデルが次々と登場している。そのため、従来のインキュベータのかたちでは通用せず、支援機関が提供するサービスも常にアップデートする必要がある。スタートアップエコシステムの構築も同様。ただし、シリコンバレーをそのまま模倣することが解決策ではない。日本に適したモデルやスタイルを作り上げることが重要である。東大柏ベンチャープラザが拠点を構える柏の葉エリアが、未来の市場を創る先導的な役割を果たすことができるよう、関係機関と連携し、さらなる高みを目指していきたい。

  • 東大柏ベンチャープラザ 支援スタッフ一同

インキュベーション施設

(BI概要)

所在地

〒277-0882 千葉県柏市柏の葉5-4-19

竣工

2004年6月

総床面積

2856平方メートル

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