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2023年2月15日
千葉大亥鼻イノベーションプラザ

千葉大学のバイオ・ライフサイエンス分野の成果の事業化を目指すベンチャー企業を支援するインキュベータ

千葉大亥鼻イノベーションプラザ外観

千葉大学医学・薬学・看護学部および千葉大学附属病院が集積する千葉市中央区の亥鼻キャンパス内に立地する千葉大亥鼻イノベーションプラザは、千葉大学の創薬・ライフサイエンスに関する学術成果の事業化を目指すバイオ系ベンチャー企業が多く入居するインキュベーション施設である。(2023年1月取材)

インキュベータ概要

バイオ・ライフサイエンス系の大学連携型起業家育成施設として設置

中小機構、地域行政、VC、投資家、海外展開、施設賃借(ラボ、オフィス)、専門家によるサポート、千葉大学、千葉大学医学部附属病院、大企業の連携で千葉大亥鼻イノベーションプラザ入居企業を支援

千葉大亥鼻イノベーションプラザは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が、千葉県、千葉市及び千葉大学と連携して、千葉大学亥鼻キャンパス内に整備し、千葉大学の有する先端医療分野・医工連携分野の研究成果を活用した起業や創業活動を総合的にサポートする大学連携型起業家育成施設として、新事業・新産業の創出を図り地域社会に貢献することを目的として設置された。

施設の特徴

千葉大学医学部、薬学部、看護学部の大学・大学院、および千葉大学医学部附属病院が集積する千葉大亥鼻キャンパスの正門のすぐ奥、千葉大学医学部、薬学部研究棟まで徒歩1分以内、附属病院まで徒歩3分以内に立地しており、大学との共同研究や情報交換を密接に行うことができる。さらに大学と共同研究により、学内の施設(図書館や動物実験施設)や学内LANが使用できるだけでなく、大学の規制や教育の下で遺伝子組み換え実験、動物実験、感染症検体の持ち込み実験が可能となっている。

特徴的な支援活動

バイオ・創薬分野の事業化に安心して取り組める環境の提供

バイオ・創薬分野の事業化は、研究開発開始から認可取得まで長い期間が必要とされ、さまざまな事業リスクが発生するため、安心して研究に取り組める環境を提供している。例えば、インキュベーション内には附属病院臨床試験部、次世代医療構想センターが入居しており、すぐに相談が可能である。外部的には、千葉県バイオライフネットワークやかずさDNA研究所との交流のほか、日本橋・大手町等にて製薬会社・金融会社・投資家を招いたピッチイベント・研究成果発表会を実施し、継続的に知名度向上を図るとともに、資金調達やビジネスマッチングの機会を得やすい環境を提供している。

スタートアップ型創業支援スクール

創業支援スクールを開催

従来、研究や臨床活動に忙しい大学医学系の研究局員・学生から、「創業に興味があるけれども第一歩目をどのように踏み出せば良いかわからない」という声を受けてきた。そこで、入居候補者の創出や中小機構や千葉市のアクセラレーションプログラム等との橋渡しを目的に、千葉市特別創業支援事業として「スタートアップ型創業支援スクール」を2020年から開催している。受講を経て、大学シーズ技術をベースとするスタートアップが、NEDO・JSTからの助成・出資を受けて創業するなど、起業家の創出に貢献している。

主な入居企業の概要

  • セルジェンテック株式会社
    セルジェンテック ロゴ

    千葉大学医学部の研究シーズである「脂肪細胞を用いた細胞治療薬」の事業化を目指す創薬ベンチャーである。同社が開発中の新たなヒト脂肪細胞を用いた遺伝子導入細胞医薬品(Genetically Modified Adipocyte:GMAC)は、患者から摘出した脂肪細胞へ治療遺伝子を導入、細胞調整・増殖を行った後に患者へ再注入を行うものである。

    現在、希少難病である「家族性LCAT欠乏症」をターゲットとし、千葉大学附属病院にて治験を実施中であり、製造販売開始のための薬事承認申請準備を進めている。今後、血友病、ファブリー病など様々な疾患治療に向け研究開発を進め、またイノベーションプラザ内にGMACセルプロセッシングセンターを2022年末に竣工、稼働を開始した。

    GMACの基本コンセプトは、患者さんから皮下脂肪を摘出し、脂肪細胞を単離後、脂肪細胞に治療用遺伝子を導入したGMACを患者さんに移植するもので、脂肪細胞の持つ「寿命が長い(10年)」「腫瘍形成性が低い」という特徴を活かしている。
  • 株式会社HanaVax

    HanaVaxロゴ

    新たなカチオン化ナノゲルデリバリーシステムに係る大学研究成果を活用し、粘膜ワクチンを開発するため設立した。開発ターゲットは(1)肺炎球菌経鼻ワクチン、新型コロナ経鼻ワクチン、インフルエンザウイルス経鼻ワクチン、(2)子宮頸がん経鼻治療ワクチンの開発である。現在、千葉大学と大手製薬企業との粘膜ワクチン共同研究部門設置に関わる契約の下、開発体制に参画し、新型コロナワクチン・肺球菌ワクチンを共同開発している。

    特に新型コロナウイルスに対するナノゲル型経鼻ワクチンは、医師による注射を不要としつつ、注射ワクチンの効果に加えウイルスの呼吸器粘膜からの侵入・伝搬を阻止する効果を有する次世代のワクチンとして注目を集めている。

    感染症疾患など(肺炎球菌感染症、COPD、中耳炎、結核、RSV感染症、インフルエンザウイルス感染症、ノロウイルス感染症、COVID-19、子宮頸がん)に対する経鼻ワクチン開発を目指す
  • 株式会社アミンファーマ研究所

    アミンファーマ研究所 ロゴ

    千葉大学大学院薬学研究院での血中アクロレイン値と無症候性脳梗塞患者(症状が発症していないが梗塞が認められる患者)との間の有意な相関にかかわる研究成果を基に、複数の民間企業および千葉大学との共同研究により、無症候性脳梗塞患者を高感度で検出できるバイオマーカーと分析アルゴリズムを開発し、脳梗塞を「未病(発症前)」の段階でとらえることができる新たな「脳梗塞リスク評価サービス事業」の商業化に成功した。

    その結果、千葉県のある健康保険組合では、脳梗塞発症者が約3分の1に減少し、受診者や経営者の方々に大変喜ばれている。現在、「尿検体」で測定可能な認知症リスクマーカーの開発に成功し、「認知症リスク評価サービス事業」への展開をできるだけ早期に開始する予定である。

    健康な方とかくれ脳梗塞の方で脳梗塞リスク値の中央値を比較したグラフ:有意な差があり、かくれ脳梗塞の高リスク者を高感度で見つけることができる

これからのインキュベータ

現在は、IM室の5名のスタッフ全員で入居者支援を行っている。IMは千葉市産業振興財団・千葉大学との関係者からバランス良く構成され、地域連携・大学連携等にきめ細かく対応を行っている。最近はバイオ・ライフサイエンス系以外の入居企業も増え、幅広い分野の業界動向や市場動向を集め、千葉市産業振興財団コーディネーターや千葉大研究推進部 産学連携課との連絡・情報交換を密にして、地域中核企業の創出、1ランクアップに向けたエコシステムの一翼を担う施設として機能向上を図っていく。


支援スタッフ一同

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千葉大亥鼻イノベーションプラザ

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