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2024年12月13日
株式会社METRIKA

データ分析やAI活用を駆使し最適な課題解決策を提案、顧客の徹底的な理解が不可欠

株式会社METRIKAロゴ

事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したい」。そんな想いから、データ分析やAI(人工知能)の活用を検討する企業が増えています。その中で、慶應藤沢イノベーションビレッジに拠点を構えるMETRIKAは、データ分析やAIを目的ではなく手段として捉え、顧客の課題を深く理解し、その本質を見極めることで最適な解決策を導き出すことを目指しています。この取り組みや今後の展望について、代表取締役の小林凌雅氏にお話を伺いました。(2024年11月取材)

インタビュー

お話        株式会社METRIKA (慶應藤沢イノベーションビレッジ入居)
          代表取締役 小林 凌雅氏

起業、会社のおいたち

小林 凌雅 代表取締役

会社設立の経緯をお聞かせください

私は慶應義塾大学で統計学や機械学習の講師を務める傍ら、様々な企業との共同研究に携わってきました。その中で、データ分析には限界があることを実感しました。それは、ビジネスやシステムの設計が伴わなければ、データ分析単体では十分な価値を生み出せないと感じたからです。当時、私は大学での研究に没頭し、データ分析そのものが目的化していました。しかし、それでは社会に対して真の価値を提供できないと痛感しました。そうした経験を通じて、データ分析と社会をつなぐ架け橋となるような仕事をしたいと考えるようになり、2021年4月に起業しました。

社名の由来を教えてください

社名「METRIKA」は、ラテン語で「測る」を意味する「Metricus」に由来しています。また、統計学の分野で100年以上の歴史を持つ学術誌「Biometrika」や、経済学において最も古い学術誌の一つである「Econometrica」からも影響を受けています。この名前には、学術分野を出発点とした私たちの理念と、計測や分析を通じて価値を創出したいという想いが込められています。

事業の展開と現在

御社は、どのような事業を展開しているのでしょうか

私たちは、データ解析やAIの活用を通じて、企業の課題解決を支援しています。単なるデータサイエンスの提供にとどまらず、事業への具体的な落とし込みやシステム開発までを通してサポートすることにこだわっています。そのため、まずは顧客のニーズを丁寧に聞き取り、その企業を徹底的に理解し、歴史や文化を尊重しながら最適な解決策を共に模索することを大切にしています。こうした姿勢が、問題解決を築くための基盤となっています。

これまでの事例としては、卸売業におけるデータフロー構築支援、精密機器メーカーの生産効率化を目的としたアルゴリズム開発、消費財メーカーの在庫管理システムの刷新などがあります。また、当初想定していなかった社員向けのデジタル教育を依頼されたケースもありました。

御社の強みを教えてください

私たちの強みは、データサイエンスにとどまらず、ビジネスやクリエイティブの領域まで幅広くカバーしている点にあります。データサイエンスの分野だけでも競争力を持っていますが、それに加えて、他の分野との統合的なアプローチを実現していることが、他社にはない大きな特徴です。

さらに、顧客を深く理解しようとする姿勢も私たちの重要な強みです。その象徴的なエピソードとして、日本の製造業を代表する老舗メーカーとの出会いが挙げられます。この企業からは、歴史や経営理念について丁寧に教えていただきました。例えば、社員を決してリストラしない方針や、パートナー企業を育てるという文化が根付いていました。このような顧客の価値観や背景を深く理解することで、初めて適切な提案が可能になります。この経験は、その後の他の顧客への提案プロセスにも生かされています。

また、私たちの経営方針である「産業を興して社会に貢献する」という理念は、この老舗メーカーの行動規範からも影響を受けています。例えば、コロナ禍において自治体向けのオンライン診療システムを構築する案件を手掛けたのも、社会貢献の一環として取り組んだ事例です。さらに、プロサッカークラブ「湘南ベルマーレ」のオフィシャルクラブパートナーとして、試合会場でイベントを開催するなど、地域社会への貢献にも取り組んでいます。

  • 「湘南ベルマーレ」試合会場でのイベント

そのような強みをなぜ発揮できるのでしょうか

私たちはアカデミア出身者が多く、AIの仕組みや様々な分析手法を深く理解しています。しかし、前述のように、真の価値を生むのはその知識だけではありません。ある顧客から、「データ分析以外のことをこれほど聞かれたのは初めてだ」と言われたことがあります。それは、適切なデータ分析を行うためには、まず「どのように使うのか」を理解することが不可欠だからです。

私たちは、顧客の課題を突き詰めて検討する中で、「それはデータ分析では解決できない」とはっきりお伝えすることもあります。重要なのは、顧客が「何をしたいのか」を正確にくみ取り、それをデザインに落とし込むことです。このため、私たちのチームには、様々な分野で専門的なスキルを持つメンバーが集まっています。これにより、顧客のニーズに応じた最適な提案を実現しています。

そしてこれから

今後の展望について、どのようにお考えですか

私たちが目指すのは、顧客に共通する課題を見いだし、それを解決することです。企業の沿革や背景はそれぞれ異なりますが、同じような課題を抱えているケースは少なくありません。ある顧客で導き出した解決策を、分野の異なる他の顧客にも応用できないかを常に意識し、サービスの質を落とすことなく、より多くの人々に展開できる設計を追求しています。

また、私たちは「Think Good(より良い世界を創る)」を会社のビジョンとして掲げています。データ分析は、金融、製造、医療など多岐にわたる分野に応用されており、その汎用性の高さが特徴です。特定の分野に絞らないことで、対象とするマーケットを広げ、多様な分野で関わる人々にデータ分析を通じて幸せを届けることが、より良い世界の実現につながると信じています。生まれ育った日本の産業の発展にも貢献したいと考えています。この想いを胸に、様々な分野で価値を創出することを目指しています。

中小機構インキュベーションとの関わり

入居のきっかけ、入居してよかったこと

大学に在籍していたころから、インキュベーション施設の存在は知っていました。アカデミアとのつながりを保ちながら、産業界への還元が可能な拠点を探していたこともあり、入居を決めました。施設のスタッフの方々は非常に親切で、会社の状況を丁寧に把握しようとして下さったり、困りごとがないかを気にかけて下さったりと、大変助かっています。

今後インキュベーション施設を利用する方へのメッセージ

自治体との連携などをはじめ、施設のスタッフの方々が多くのきっかけを作ってくださいました。他のインキュベーション施設では、そこまで親身になって応援してもらえることは少ないと思います。まだ拠点が決まっていないスタートアップの方には、ぜひこの施設への入居を検討してほしいと思います。

会社情報

会社名

代表取締役

小林 凌雅

所在地

神奈川県藤沢市遠藤4489番105号 慶應藤沢イノベーションビレッジ210
本社:東京都渋谷区恵比寿南一丁目20番15号 アトリウム恵比寿南一丁目ビル5階

事業概要

データ解析やAIを活用した企業の課題解決ソリューションの提供

会社略歴

2021年 4月

株式会社METRIKAを設立

2022年 4月

本社を東京都渋谷区道玄坂へ移転

2022年 4月

慶應藤沢イノベーションビレッジに拠点を新たに立ち上げ

2023年 7月

京都市「toberu 2号館」に拠点を新たに立ち上げ

2024年 2月

本社を東京都渋谷区恵比寿南へ移転

担当マネージャーからのコメント

慶應藤沢イノベーションビレッジ                   チーフインキュベーションマネージャー 清水 仁司

組織ごとにバラバラで存在するデータベースを、あたかも一つのデータベースのように簡単に統合する仕組みを作るという、壮大な理想を掲げてスタートしたMETRIKAです。
老舗メーカーのDX推進や、大企業の経営統合におけるデータ連携などを手掛け、施設の卒業に向けて順調に業績を伸ばしています。

小林社長の独自の感性とチームのバランスにより、データ周りにとどまらず、経営課題の解決からデジタル教育まで、ビジネスの領域が広がっています。
数理統計という難しい分野の専門家ですが、色々なことを学ぼうとし取り組んでいる姿、愛犬にベッタリの人柄がお客さんを惹き付けているのでしょう。
業容拡大の中で新たな課題も見えてきていますが、METRIKAの独自性を大切にしたブレない経営で、スケールアップされることを期待しています。

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