中小企業大学校

合格後のキャリア事例
養成課程を修了した先輩たちの体験談をご紹介します。
半年間の学びがどのようにキャリアにつながったかを知ることで、受講後の自分の姿を具体的にイメージできます。
目次
吉田 由佳|ブランドビジネスコンサルタント/中小企業診断士
「この半年が、私を診断士へと飛躍させた原点です」
診断士を志したきっかけ
ものづくりの現場経験から経営の学び直しへ

大学卒業後、フランスでパタンナー国家資格を取得し、その後ベルギーで5年間高級アパレルブランドのパタンナーとして経験を積みました。
帰国後はアパレル企業に転職し、企画や生産管理など幅広い業務を担当しましたが、計数管理に不安があり「このままではいけない」と危機感を抱いたことがきっかけで、学び直しを決意しました。
なぜ大学校を選んだのか
実家とのつながりと、実践的スキルへの期待
一次試験の勉強中に大学校の存在を知りました。実家が中小企業で文房具店を営み、かつて大学校の実習先として受け入れていたこともあり、自然と親しみを感じました。また、ものづくりの現場で働いてきた自分には、試験合格だけでコンサルタントになるイメージが湧かず、「机上の空論ではなく、実践的なスキルを身につけたい」と強く思い、大学校を選びました。
印象に残った講義・実習
涙で感謝された実習が人生の転機に
財務の講義では、人口動態や市場規模、社長の年齢や後継者問題などを総合的に検討し、設備投資の判断を学べたことが大きな収穫でした。
特に流通業実習の報告会では、飲食店の社長が「よくここまでやってくれた!」と涙を流された姿が忘れられません。必死で調査・分析し、戦略から戦術まで全力で取り組んだ努力が報われ、大きな達成感を得ました。
身についたスキル
論理的思考力と実践的コンサルティング力
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講義では、課題を整理・構造化し、戦略や戦術へ落とし込む論理的思考力を養いました。
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仲間と協働する中で、強みを活かし弱みを補うチームマネジメント力も磨かれました。
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実習では、企業のリアルな課題に向き合い、現場に寄り添って変化を促す実践力を修得しました。
得られた財産
同期との絆と卒業生ネットワーク
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同期とは今でも支え合う関係が続き、信頼できる仲間は人生の財産です。
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現場で初めて会った方が大学校卒業生だと分かると、一気に距離が縮まり同志意識が生まれます。
卒業後のキャリア
500社以上を支援し、著書も出版
在学中に自身の強みに気づき、卒業後15年間で500社以上のコンサルティングを経験しました。
2025年には『「4割値上げ」で始まる小さな会社の”らしさ”ブランディング』(同友館)を出版。
「ブランディングで経営を自由に」を掲げ、経営者や従業員が幸せに事業継続できるよう支援を続けています。
これから受講する方へ
論理と実践の両輪で、未来が広がる
入学前は卒業後の自分を想像できませんでしたが、実務経験豊富な講師陣から学ぶことで将来像が明確になりました。
二次試験ではなく大学校を選ぶことで、論理的かつ実践的な力と強固なネットワークが得られます。卒業後のキャリアは大きく広がり、人生をより豊かにできるはずです。
藤尾 翔太|株式会社SSパートナーズ代表取締役/中小企業診断士
「共に挑んだ仲間は、生涯の財産です」
診断士を志したきっかけ
独立を志すも、不安を抱えていました

会社員時代、メーカーにて新規事業開発や業務改善に携わってきましたが、自分の力をより広く経営支援に役立てたいという思いが強まり、独立を志しました。
しかし、診断士試験の勉強をしても実務力が身につくか不安で、独立に踏み出す決断ができませんでした。
なぜ大学校を選んだのか
試験ルートでは得られない「実践の場」
試験勉強だけではなく、実務に直結するスキルを体系的に学べる環境が欲しかったためです。大学校は「現場での企業診断実習」を重視しており、ここでなら本当に通用する力が身につくと感じました。
印象に残った講義・実習
実習で社長に評価された瞬間が転機に
企業診断実習で提案した内容を「想像を超える気づき」と評価されたことが忘れられません。厳しい環境の中で仲間と切磋琢磨し、学んだ理論を現場で形にする過程で、独立に必要な自信が生まれました。
身についたスキル
独立・法人化に直結する基盤
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課題を整理・分析する論理的思考力
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経営戦略の立案から施策まで落とし込む力
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仲間との協働で培ったチーム推進力
これらは独立直後から実際に活かせました。
得られた財産
仲間とのネットワークは今も続く
全国から集まった仲間は、一緒に困難を乗り越えた戦友です。今も支え合う関係であり、実務の現場でも互いに協力できる財産になっています。
卒業後のキャリア
修了直後に独立、法人化へ
養成課程を修了した翌月には独立開業し、経営支援・売上改善・セミナー登壇を行いました。その後すぐに法人化を果たし、経営者としての第一歩を踏み出しました。
これから受講する方へ
養成課程は「キャリアの土台」になる
独立を考えている方はもちろん、企業内で活躍したい方にも大きな価値があります。仲間と築いた関係性は一生の財産であり、この経験がキャリアの確かな土台となると確信しています。
奈良 周平|あまね経営コンサルティング代表/中小企業診断士
「大学校での学びは、独立後も迷ったときの拠り所です」
診断士を志したきっかけ
学生時代の憧れを40歳で実現

大学生の頃に中小企業診断士という資格を知り、「経営者の視点で、さまざまな会社の仕事に携われる資格」という点に強く惹かれました。
2003年に入社した会社で受けた新入社員研修で講師を務めていたのが中小企業診断士の先生で、その理論と実務を交えた講義に強く憧れを抱きました。
ただ当時は実務経験が乏しく「資格を取得しても活かせない」と考え、まずはシステムエンジニアとして17年勤務。40歳を迎える節目に「資格を取り独立しよう」と決意し、39歳で養成課程を受講、翌年独立しました。
なぜ大学校を選んだのか
実務直結と寮生活での学びを重視
一次試験合格後、二次試験に進むか養成課程に進むかで迷いました。
独立を見据えていたため、実務に直結するノウハウを学べる養成課程を選びました。
中小企業大学校を選んだのは、長年の実績による信頼感、半年間で集中的に学べる区切りの良さ、寮生活で仲間と切磋琢磨できる環境が決め手でした。
印象に残った講義・実習
厳しくも温かい指導、そして「ありがとう」
流通業・製造業の実習、総仕上げとなるソリューション実習の全5回が特に印象的でした。
「本当にその提案で社長の心に響くのか?明日から実行できる施策になっているのか?」とインストラクターからの厳しくも温かい指導は、今でも判断に迷ったときの拠り所です。
最終報告会で社長から「ありがとう。やってみたいと思う」と言われた瞬間、疲れが吹き飛び、やりがいを強く実感しました。
身についたスキル
ヒアリング力と社長との向き合い方
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実務に即したヒアリングの進め方
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フレームワーク活用方法
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ロジカルシンキング
これらは現在の業務に直結しています。
何より大きな学びは「中小企業の社長との向き合い方」。社長の経験に敬意を払い、信頼関係を築く姿勢が重要であると学びました。
得られた財産
金融機関・商工会仲間との強固なネットワーク
金融機関や商工会・商工会議所に所属する仲間とのつながりは独立後の心強い支えです。
融資資料や事業計画書で困った際に相談できたり、研修講師の登壇機会を紹介してもらったりと、卒業後も交流が続いています。
卒業後のキャリア
IT・DX支援を軸に全国で活躍
修了後すぐに独立。公的機関の窓口相談や専門家登録から始め、紹介を得て案件を拡大。
現在はSE経験を活かし、中小企業向けのIT化・DX推進支援を中心に活動。セミナー登壇や研修講師としても全国で活躍しています。
これから受講する方へ
養成課程には成功への条件がすべてそろっている
経験豊富な講師、質の高いカリキュラム、志の高い仲間、充実した環境。
半年間は決して楽ではありませんが、得られる経験と仲間は一生の財産です。
藤本 薫|横浜信用金庫/中小企業診断士
「大学校での学びは、信用金庫業務に直結しました」
診断士を志したきっかけ
金融の知識だけでは解決できない課題に直面

地域に親しまれる信用金庫の職員として中小企業のお客様を担当する中で、融資判断や財務分析だけでは解決できない課題に数多く直面しました。売上が伸び悩む要因や人材育成、事業承継の悩みなど、経営者の声は多岐にわたります。金融の知識だけでは十分に応えられない場面があり、もっと幅広く体系的に経営を学びたいと考えました。その結果、中小企業の持続的成長を支援できる診断士という資格に強く惹かれ、挑戦を決意しました。
なぜ大学校を選んだのか
現場で役立つ実践力を重視
診断士を目指すにあたり、現場で役立つ実践力を身につけたいと考え、大学校を選びました。大学校の魅力は、多様な仲間と共に学べることです。業種や職種が違うのはもちろん、年齢も幅広い仲間と共に学ぶことで、多様な価値観や視点に触れ、自分の成長につながると考えました。知識を単に暗記するのではなく、体系的に理解し、実習で即実践できる環境があることも大きな決め手でした。
印象に残った講義・実習
「会社をよろしくお願いします」と託された瞬間
最も印象に残っているのは「企業診断実習」です。チームで地元メーカーに、現場調査から経営課題の抽出まで取り組みました。ヒアリングの場で社長から「私の会社をよろしくお願いします」と言われたときは背筋が伸びました。また工場長から「数字は合っているけれど、それだけでは現場は動かない」と指摘を受け、机上の分析にとどまらない提案の必要性を痛感しました。そこから班の仲間と夜遅くまで議論を重ね、提案資料を何度も作り直しました。発表当日、社長から「ありがとう」と言っていただけた瞬間、体系的な学びを仲間と共に磨き上げ、現場で通用する提案力が身についたと実感しました。
身についたスキル
ヒアリング力と課題整理力
実習を通じて特に身についたのは「ヒアリング力」と「課題整理力」です。経営者の言葉をそのまま受け取るのではなく、背景にある真意を引き出す質問力が鍛えられました。また、得られた情報を整理し、体系的に分析して本質的な課題を導き出す力も養われました。さらに異業種・異年齢の仲間の視点を取り入れることで、自分では思いつかない発想や切り口を学べたのも大きな財産です。これらは信用金庫の業務に直結し、診断士としての強みにもなっています。
得られた財産
全国から集まった仲間との出会い
一番の財産は、全国から集まった仲間との出会いです。大学校には製造業・IT・サービス業・金融業など多様な業界の方が集まり、年齢も20代から50代まで幅広く、人生経験や価値観もさまざまでした。普段の仕事では出会えない仲間と共に学び、議論を重ねることで、自分の視野が広がり、課題解決の新たなアプローチを得ることができました。ときに意見がぶつかることもありましたが、それこそが成長を後押しする貴重な体験でした。卒業後も全国規模で続くネットワークは、資格や知識以上にかけがえのない財産です。
卒業後のキャリア
信用金庫業務に直結する学び
私は信用金庫に勤務しているため、卒業後に診断士業務が増えたわけではありません。しかし、大学校で体系的に学んだ知識や実習で得た実践力は、日々の融資業務や企業支援に確実に役立っています。例えば取引先の経営課題を整理する際に、財務に加えて人材やマーケティングの視点を取り入れることで、より深い対話ができるようになりました。また全国から集まった仲間の知見も大きな財産で、製造業やITなど自分が馴染みの薄い分野の考え方を取り入れることで、提案に厚みが増しました。診断士として独立していませんが、学びは確実に信用金庫業務に直結し、自身の成長につながっています。
これから受講する方へ
厳しい半年間が確かな成長につながる
大学校での学びは決して楽ではありませんが、確かな成長を得られます。私は信用金庫に勤務していますが、体系的な知識や異業種・異年齢の仲間と切磋琢磨した経験は、融資先との対話や事業性評価に直結しました。診断士として独立を目指す方はもちろん、企業内で働く方にとっても大きな財産になると思います。迷っている方は、ぜひ一歩踏み出してほしいと思います。