職員インタビュー

「民間企業と自治体勤務で感じた地方経済の課題。 解決できるのは、中小機構だと思った」創業・ベンチャー支援部 創業・ベンチャー支援課 宮島 孝広 2020年1月入構

宮島さんは、東京の証券会社と自治体勤務を経て、中小機構に中途入構しました。「前職で感じていた課題を、今の仕事で解決したい」と語る宮島さんに、中小機構だからこそできる支援について聞きました。

証券会社時代に感じた地方経済の衰退

出身は長野県で、東京の大学の法学部に進みました。政治経済に興味があり、ゼミでは会社法や商法を勉強しました。

卒業後は、証券会社に入社しました。新規上場(IPO)部門があるので、経済を俯瞰で見つつ、大学で学んだ知識が活かせると思ったんです。3年ほど市場部門で債券を扱った後、投資銀行部門で社債の引受営業として日本有数の企業を訪問。そこで数百億円規模の資金調達に関わり、大きな視野で経済活動を見る経験ができました。

一方で、地方レベルで経済活動を見ると、徐々に縮小・衰退していく感覚がありました。現在住んでいる町が、都内にはあるものの経済構造は地方都市に近い町なんです。何度か地元のイベントを手伝う機会があり、地域の方々が「地元を盛り上げよう」と取り組んでいる姿を間近で見てきました。
その思いがなかなか成果に結びつかない実態を見て、自分の経験を使って貢献できることがあるのではと思い、2012年に自治体職員に転職しました。

自治体だけで地域を活性化するのは難しかった

自治体では4年ほど、住民税の課税を担当する部署にいました。その後、産業振興の部門に異動し、地元の中小企業や個人事業主への支援・施策を担当。また、地域の産業振興祭りや観光イベントの企画・運営もおこないました。

自治体職員として実際にやってみて、地域振興、地域活性化の難しさを痛感しました。新しい事業を始めたくても、そもそも財政的に余裕がなく、関係者と調整する時間も年単位でかかってしまいます。8年近く自治体職員として勤務する中で、地域経済の活性化を実現するには何か新しい視点・スキルが必要だと感じ、転職を考えるようになりました。

最初は、企業コンサルタント職を中心に探していました。その過程で、中小機構の募集を見つけたんです。ここなら、全国規模で事業を展開しているので、自治体職員として感じた課題が解決できるかもしれないと思いました。

2020年に入構し、今は創業・ベンチャー支援部で働いています。私の担当は、町のカフェや民泊など、地域に根差すビジネスを始める方への創業支援です。オンラインワークショップやセミナーを開いたり、LINEのチャットボットで質問に回答するサービスを提供したりしています。

中小機構は地域課題を全国規模で解決できる

中小機構と前職の証券会社との違いは、収益性が最優先ではないところですね。民間企業だと十分な収益が見込めず取り残されるような地域であっても、支援を届けることができるのが中小機構の価値だと思います。

地方自治体とは、仕事の進め方など共通する部分もありますが、規模感が異なります。自治体は地域住民のための組織なので、県や市をまたいだサービスを設計することが難しいです。しかし、中小機構は全国組織ですから、9つの地域本部で情報を交換し、活用することができます。

今、地域の創業支援機関を支援するための準備を進めています。国が定めている計画の中に、認定自治体ごとの創業者数の目標があるんですが、達成できている自治体は全体の3割程度です。規模の小さい自治体ほど独自に創業支援をおこなうことが難しいため、中小機構として全国の橋渡しをする事業の立ち上げを目指しています。

地域の創業支援に関する課題をヒアリングしていく中で、自分が前職で感じていたことと共通の課題が、他の自治体にもあると感じました。それを全国規模で解決するのは国や政府機関の役割です。そこに携われていることに、やりがいを感じています。

中小機構には、収益性だけではない公的な立場から支援をしていく良さや、この組織でしかできないことがあります。そういった部分に魅力を感じる人なら、面白く仕事ができると思います。