支援サービス一覧

関東本部

対象地域

茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県

研修体験取材レポート 中小企業大学校虎ノ門キャンパス

会場全景

企業の未来を支える若手社員が自律的に仕事に取り組み、リーダーシップの向上を目指すには?自分自身の立ち位置を見直し、組織を動かすための取り組みなどを学ぶ2日間の「若手リーダー研修」が、虎ノ門キャンパスで開催されました。

編集制作会社 (株)リージョンの編集顧問を務めるライターの井上理江さんが体験受講し、レポートしていただきます。

研修名「若手リーダー研修【虎ノ門】」組織を引っ張る「原動力」となる!(2023年1月17日/1月18日 全2回)

day1 (1月17日)テーマ「若手リーダーに求められる役割/組織の力を引き出すフォロワーシップとリーダーシップ」

受講者の意見発表

管理者候補や後輩・部下を持つ管理者を主な対象とする今回の研修は、当初の定員20名に対し、参加者は男性24名・女性6名の計30名とのことで、関心の高さが伺えます。

業種は製造業、情報通信業、卸売業など多岐にわたり、参加者の平均年齢は34.9歳。5名ずつ6グループに分かれ、皆さん早くから着席して姿勢良く講座の開始を待ちます。

自らも中小企業大学校の卒業生という菅生講師は家業が魚の卸売で、築地の魚市場で競りを経験したユニークな経歴の持ち主。作業着を着て仕事をしていた経験から、自分の立ち位置を一般的なコンサルタントと比較し「ブルーカラー寄りで、経営資源が限られる中小企業の現場を経験していることが自分の強み」という自己紹介がわかりやすく印象的でした。

午前は「時間管理で何を優先するか」というグループワークが行われました。重要性と緊急性の組み合わせでタスクは4種類に分けられるとのこと。「緊急度の高いタスクに振り回されがちだが、大事なのは緊急ではないが重要なタスク」と菅生先生。思わずハッとし、自分にとって緊急でないが重要なこととは?と考えさせられました。

「ジョハリの窓」ワークで番号を渡し合う

もう一つ、興味深かったのが午後に行われた「ジョハリの窓」というグループワークです。性質を示す17の選択肢から自分と他のメンバーの特徴と思う番号を3つずつ選び、自己イメージと他人が受けるイメージの違いを知るというもので、グループ内も活気に溢れ、あちこちから「自分の書いた番号と人からもらった番号がかなり違う」という声が聞こえてきました。

菅生先生は「自己イメージと他人が受けるイメージの一致に近づけることで、コミュニケーションが円滑になる」と説明。若手リーダーが会社で果たす役割を考えるには、まず客観的な視点から自分を知ることが大事だと感じました。

続いて上司を補佐するフォロワーシップについて、批判力・貢献力の2軸から5つの型に分類できるという話がありました。「多いのは、貢献力は高いが批判力が低い『順応型』。批判力も貢献力も高い『模範型』を目指すことが大事で、リーダーシップを育むことにもつながる」という菅生先生の言葉で締めくくられました。

day2(1月18日)テーマ「目標を達成するチームワークづくり/理想のリーダーとは」

他己紹介ワークで互いにヒアリング

グループの席替えが行われましたが、朝の開講前から名刺交換や立ち話をする姿があちこちで見られ、1日でかなり打ち解けた雰囲気です。午前は昨日に引き続き、フォロワーからリーダーへの移行について考えることから始まりました。

リーダーは部下の話を「耳でなく心で聴く」ことが大事ということで、行われたのが2人1組の「他己紹介ワーク」です。自分の長所を相手に3つ挙げてもらい、その理由と具体的なエピソードを聞き取って、グループ内でお互いを紹介し合うというものです。

ワーク中は、昨日会ったばかりなのに古くからの友人を紹介するような場面があちこちで見られ、エピソードも詳細で「皆さんよくヒアリングしている!」と驚きました。紹介される側は照れながらもどこか嬉しそうで、人に自分の話をしっかり聞いてもらう嬉しさを実感することは、部下とのコミュニケーションにも必ず役立つだろうと思いました。

続いてはテーマがチームワークづくりに移り、「能力よりも努力を褒めた方が伸びる」ことが集団実験で明らかになっているという話がありました。能力を褒めると失敗を恐れるようになる一方、努力を褒めると努力することに喜びを感じ、難題にも挑戦するようになるとのこと。部下が失敗した場合、最初に褒めてから良くない点を指摘する「Yes,But法」が効果的という話もありました。上手に部下を褒めるのもリーダーの資質と言えそうです。

活発なグループワーク

続いて、ロジカルシンキングの講義で「若者のテレビ離れの原因を考える」という最後のグループワークが行われました。まず自由にアイデアを出し、それをグループのみんなで仕分けして原因を整理するというものです。どのグループも非常に議論が活発で、2グループが発表しましたが、異なる角度から原因を分析し説得力がありました。何か課題があったら、情報を「見える化」して共有するこの手法は、皆さんの会社でもすぐ活用できるのではと思いました。

最後はこれまでの学びを振り返り、理想のリーダー像について書き出すワークが行われました。「そのために今後どういうキャリアを歩むか、必要な知識やスキルを考え行動計画を作ることが大事」というお話で2日間の研修が終了しました。

2日間の受講を終えて

菅生先生は研修後に学びを生かすため、「会社に戻ってから記入したワークシートを社内で共有してほしい」と受講者に伝えていました。今回の研修は1社から複数の社員が参加する会社もいくつか見られ、学びを共有しやすく、社内に広げるのに効果的ではと感じました。

また、マーケティングコンセプトを「売るためのコンセプト」と言い換えるなど、ビジネス用語をわかりやすく噛み砕いて丁寧に説明し、受講者の発言時間をできるだけ多くとる講義スタイルが印象的でした。受講者同士の打ち解ける速度が早いなと感じたのですが、1日目の「ジョハリの窓」や2日目の「他己紹介」など他の受講生と密接に関わり、意見交換の機会が多かったことが、親近感の醸成につながったのではと思います。

菅生先生は、同じ管理職同士で悩みを共有したり、情報交換できる場が求められているという意識調査の結果を紹介し、「今回は管理職の皆さんが業種を超えてネットワークを作れる貴重な機会。2日間で終わりではなく交流を継続して欲しい」と受講者に伝えました。後ろから見ていても、皆さんのコミュニケーションがとても活発で、異業種の方達が刺激を与え合いながら同じ場で学ぶことの意義を改めて感じました。

講師紹介(敬称略)

講師画像

菅生 將人(すごう まさと)

中小企業診断士・調理師

大学卒業後、食品メーカーや築地市場内荷受などに勤務し、主に企画営業・リテールサポートを担当。2011年に中小企業診断士として独立し、中小企業支援活動に従事。2016 年に魚介類卸売を行う家業の「株式会社菅生食品」の代表取締役に就任。このほか中小企業大学校講師、東京電機大学創業支援施設インキュベーションマネージャーを務める。

コメント

受講生の皆さんは終始前向きな姿勢で、グループワークの発表も自発的に手が上がるなど、積極的に学ぼうという意識が伝わってきました。私が重視しているのは日常業務に戻ってからも、研修で学んだ理論や考え方を実践してもらうこと。私は研修講師では若い方なので、受講者の皆さんと同じ目線を大事にしつつ、少し先輩という立場から実体験からのアドバイスを交え、少しでも研修後の「やる気スイッチ」を入れられたらと思っています。

受講者インタビュー

受講者3名の方に、今回の研修について感想を伺いました。

ピアノ運送(株)(楽器・精密機器の配送)事務リーダー 新田さん

入社8年目ですが、こういう研修に参加するのは今回が初めてです。なかなかリーダーシップを発揮できないので、リーダーとしての心構えやコミュニケーション方法が勉強になりました。若手の指導については「Yes,But法」が参考になり、褒めることは大事だと思いました。受講者は同業の運送系の方が意外と多く、共感できる部分が多かったです。普段全く交流のない技術系やサービス業の方とお話しできて、いろんな視点や発言が参考になりました。

(株)田原電機製作所(電子・電機機器の製造業)制御システム本部 丸岡さん

今回の研修で色々なお話を聞いたりワークをすることで、自社の課題を改めて自分の問題として捉えることができたと思います。「こういう状況だからこの目標があるのか」と腹落ちする場面が非常に多かったです。受講者は既に役職についている方が多く、グループワークを通じて自分にない発想を教えていただけました。業種の枠を超えて、先輩の話はとても勉強になりました。

ひるがみ温泉(株)(旅館業)接客サービス部リーダー 三尾さん

新卒入社で5年目ですが、こういう研修は今回が2回目です。1番印象的だったのがフォロワーシップの話で、自分はまさに順応型。会社のルールなどがアップデートされていないと感じながら何も言えず、そこをズバリ指摘された気がしました。言えることから意見を言うよう心がけ、若手と上司の橋渡し的な役割を果たせたらと思います。異業種の方と会うのは全く初めてで「こういう視点もあるのか」とすごく刺激をいただき、本当に楽しい2日間でした。

関連リンク

ページの
先頭に戻る