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研修体験取材レポート 中小企業大学校サテライト・ゼミ with青木信用金庫

サテライト・ゼミの様子

埼玉県川口市を拠点とする青木信用金庫との共催で、毎年10月に川口で開催されるサテライト・ゼミ。

今回は次世代を担う経営者や経営幹部を対象に、経営の基本となる役割や心構えについて学ぶ全3回の講座が行われました。

タイトルにある「人間力向上」とは?編集制作会社 (株)リージョンの編集顧問を務めるライターの井上理江さんに全日程を体験受講いただき、その内容をレポートしていただきます。

研修名「次世代トップリーダー養成講座 人間力向上編 」(2022年10月3日/10月19日/11月2日 全3回)

day1 (10月3日)テーマ「次世代トップリーダーの使命と心構え」

day1の様子

今回の受講者は男性15名・女性3名の計18名で平均年齢37.9歳、7割が川口市内からの参加です。受講者は4班に分かれ、毎回班の席替えが行われるとのこと。

講師の坂本先生は穏やかながら軽妙な語り口で、テンポよく話が進みます。講座のポイントとなる「人間力向上」について「社内外からこの人と一緒に仕事がしたいと思ってもらえる存在になること。能力・スキルがTo Doなら、人間力はTo Be」と説明。シンプルでわかりやすい!

坂本先生は自身の講演活動を通じてTo Doだけを伸ばしてもリーダーシップが発揮できないことに気づいたそうです。「トップリーダーは誠実さや思いやりなどの『当たり前』を高いレベルで追求し、まず土台となるTo Beを養ってからTo Do、という順番が大事」というお話が印象的でした。

後ろから見ていると崩れた姿勢の受講者が一人もおらず、皆さん背筋が伸びていて、集中度が伝わってきます。配布テキストには空欄があって重要なキーワードを記入したり、課題に対してその場で考えを書き込む数分間のワークなども行われました。

午後はグループ間で競い合うゲームが行われ、単に個人の意見を並べるよりメンバー同士で話し合う方が、全グループとも点数が上がったのには驚きました。終了後は、このゲームの結果から組織づくりのヒントを学ぶ振り返りが行われました。

day2(10月19日) テーマ「経営者の役割と企業経営の基本」

day2の様子

前回が基本編とすれば、今回は実践編。印象的だったのが人の長所に着目する「美点凝視」という言葉です。「それを表すのが『君ならできる』というメッセージ。ぜひ従業員に伝えて欲しい」と坂本先生。自分も積極的に使いたいと思いました。

今回の重要ポイントの一つがビジョンと経営戦略についてです。「年商10億を目指すというのはビジョンではない。従業員みんながワクワクできるのがビジョンで、その下に作戦としての経営戦略がある。この順番が大事」と坂本先生。また「中小企業は資源に限りがあるからこそ、重点投下と手を抜くところの見極めが大事」という話も印象に残りました。

経営環境の把握が重要として、自社を取り巻くマクロ環境とミクロ環境を各自で書き出し、グループで共有が行われました。各テーブルを回ると、どこも意見交換が活発で、自社との違いと共通点を知る楽しさが伝わってきました。

前回も今回も感銘を受けたのが提示される事例の豊富さです。坂本先生は年間150〜200回の講義を行い47都道府県を踏破したそうで、大企業から中小まで全国の現場を見た体験から得た話はとても興味深く感じました。

day3(11月2日)テーマ「次世代トップリーダーが目指すべきビジョンと行動目標」

day3の様子

初回の会場は緊張した雰囲気でしたが、今回は講座開始前から会場の空気が和やかに感じ、受講者同士が打ち解けたことが伝わることに驚きました。

今回は今までのポイントを振り返りつつ、リーダーシップとマネジメントの違い、リーダーに求められる問題解決の手法などについて学びました。印象的だったのがリスニングスキルの話です。「コミュニケーション(話す・聴く・書く・読む)のうち、45%は聴くこと。できるリーダーは話3分(さんぶ)に聴き7分(ななぶ)」とのことで、話を聴くことの重要性を再認識しました。

続いて自社の問題点、プラス事項の両方を書き出すワークが行われました。それぞれの共通項を見出し自社の課題と強みを探る手法です。坂本先生は「問題点は書けても、プラス事項が書けずに筆が止まる人もいるが、今回の受講者は皆筆を止めず書いていた」と高く評価されました。

午後は各グループを商社に見立てたビジネスゲームが行われました。グループ同士の交渉が不可欠なのですが、非常に活発なやりとりが繰り広げられ参加したい!と感じたほどです。その後の振り返りも示唆に富み、「若手が辞めたいという理由はたった一言、先が見えないこと。リーダーは未来像をきちんと示すことが大事」と坂本先生。それには前回も話に出たワクワクするビジョンが必要なことが改めて示されました。

3回の受講を終えて

ゲームやグループワークでまず楽しみながら自身に落とし込み、振り返りで理念など抽象的な概念を学ぶという手法がとてもわかりやすいと感じました。静と動のメリハリも効いていて、課題に向き合うワークの時間は一転して会場が静まり返り、受講者の皆さんも日頃の業務から一歩離れ、自分と向き合えるのではと感じました。

3回の講座は約2週間の間隔があり、受講者の方達には課題が与えられました。短期集中の講座も効果があると思いますが、この時間的間隔はテキストを読み返すなど、教えられた知識が「しみ込む」時間としても役立ったのではと思います。

坂本先生は初回の冒頭で「この講座を通じて人脈を広げてほしい」と言われ、回を重ねるごとに休憩時間に立ち話や名刺交換など、交流が活発化していく様子を目にしました。コロナ禍を経て、異なる業種の方達が学びの場を共有できる場を得られるのは貴重な機会だと改めて感じました。

講師紹介(敬称略)

坂本篤彦

坂本篤彦(さかもと あつひこ)

人間力経営株式会社 代表取締役/ビジネス・コア・コンサルティング 代表
中小企業診断士

日本マクドナルド(株)、東京商工会議所を経て平成 14 年に独立。ビジネス・コア・コンサルティングを設立し、全国の中小企業に実践型コンサルティングを展開。令和3年に人間力経営株式会社を新たに設立し、後継者の「人間力」強化と充実に力を注ぐ。

コメント

講演で日本全国を回りましたが、川口市は今回が初めてです。多様な業種の方が参加されましたが、受講者の理解度が高く、グループ同士で競うゲームも毎回ハイレベルで、コミュニケーションが十分取れていたと感じました。 講座ではビジョンの大切さを繰り返し強調しましたが、講座終了後もぜひ考え続けて欲しいと思います。最初から完璧を目指さずに自分なりの答えを探し、「人間力」と「能力・スキル」を兼ね備えた経営者になっていただければと思います。

青木信用金庫とのパートナーシップ

青木信用金庫 地域振興部 中山さん

川口市を拠点とする青木信用金庫は、経営者向け会員組織「あおしんビジネスクラブ」でスキルアップや交流につながる様々なサービスを提供しています。その一つが次世代のトップリーダー育成を目的としたセミナー「あおしん次世代経営塾」で、サテライト・ゼミとの共催は今回で4回目となりました。

地域振興部の中山さんは「同じ会社の経営幹部が交代で参加したり、時には同じ方が連続受講するなどリピーターも多いのが特徴。次の企画やお取引先への案内に役立てるため、我々職員も研修を見学しています」と語り、非常に熱意を持って取り組まれています。

受講者インタビュー

次世代を担う30代で、事業承継した経営者及び次期候補者の受講者3名の方に、今回の講義について感想を伺いました。

(有)恵登屋(酒・食品の卸と小売) 取締役 稲垣さん

2代目として事業を承継して5年目になります。「強みを生かした土俵で戦う」という話が印象的で、自社が戦える土俵とは何かを考えるきっかけになりました。いろんな会社の事例をもとに理論を噛み砕いた形で伝えていただいたのもわかりやすくてよかったです。受講者の皆さんは皆ポリシーを持って仕事されており、お話しすることがとてもいい刺激になりました。

(株)ティーピーオー(日本酒の輸出) 貿易部・管理者候補 佐藤さん

いくつかの職業を経て2代目として事業承継を決意し、今年7月に入社して猛勉強中です。身近に感じられる有名企業の事例や、「社員に責任を委託することでやる気が生まれる」というお話が、とても心に刺さりました。セミナーが好きで多数参加していますが、自社のいい面と悪い面が客観的に見られ、思いやりの大切さも改めて再認識でき、社員全員に受けて欲しいと思う充実した内容でした。

(株)メタルワーク工業 (建築土木用の金物製造)専務取締役 町田さん

3代目経営者として事業承継を予定しており、こういうセミナーに初めて参加しました。まず人間力で次にスキルや能力、ビジョンから経営戦略へといった考え方の順番がとても勉強になり、自分なりに考えていたことを改めて再認識する貴重な機会にもなりました。普段、異業種の方に会うことがほとんどないのですが、色々な業種の方に出会うことができ、新たな発見がたくさんありました。

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