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農商工等連携事業への挑戦 新商品「乾燥こんにゃく米」 株式会社オハラ

(1)減少するこんにゃく消費

「こんにゃく」は、おでんの具材、鍋、煮物の具材など日本の食生活に欠かすことのできない伝統食品であるが、私たちの食生活の変化からその消費量は年々減少し、昨今はピーク時の三分の一だともいわれる。

成分の90%以上が水分であり、水に入れた状態で販売されていたことから、かつては輸送コストが高く、製造地域で家内工業の製品が主に消費されていたが、流通革命以降、国内の隅々にまで容易に届けることが可能になったことで、大規模メーカーの大量生産品が出回り、地方で製造・販売していた中小企業の多くは淘汰されていくこととなった。

(株)オハラ(本社:石川県金沢市 工場:津幡町)も類にもれず存続の危機に立たされ、経営の多角化を図り、ゼリーなどのカップデザートの製造・販売や農産物の一次加工を手掛けることで経営の維持に努めてきた。

  • オハラ 工場

時を同じくこんにゃくの一大産地群馬県で有機野菜を生産するグリンリーフ(株)(群馬県利根郡昭和村)も減少するこんにゃく芋栽培の現状に憂いを感じ、復活を志してきた。消費拡大を目指して世界の販路へ目を向け、ヨーロッパへの販路開拓なども続けてきたが、自社の加工技術だけでは製品開発に限りがあることも感じられていた。

  • 昭和村 蒟蒻畑(有機)
  • こんにゃく芋

(2)農商工等連携事業への挑戦 新商品「乾燥こんにゃく米」

以前より付き合いのあった両社だが、「こんにゃく芋の栽培・こんにゃく消費の拡大」という課題にあたり、互いの強みを生かし連携することで解決の糸口を探ってきた。そこで登場したのが「乾燥こんにゃく米」である。

グリンリーフが提供するこんにゃく精粉を活用し、オハラが乾燥こんにゃく米を開発・製造。両社で販売を行う事業である。本事業は国産原料を使用し、国内で乾燥こんにゃく米を製造する初めての試みだ。また、有機の乾燥こんにゃく米の製造としても世界初となる。低カロリー、低糖質、食物繊維等が豊富であるこんにゃくを手軽に食べられるようにすることで、こんにゃくの生産量・消費量の拡大および国民の健康増進を図るものである。

  • こんにゃく米 4

(3)美味しく、簡単に糖質コントロール

糖質は気になるが、ご飯がなかなかやめられない。そんな方にお勧めの「こんにゃく米」。お米一合にこんにゃく米1袋(60g)を入れ、2合の水で炊くだけ。糖質とカロリーを30%~40%程度減らすことができる。混ぜるだけと簡単で、白米の味や食べ応えはそのまま。独特のこんにゃく臭も少ない。そのままでも美味しくいただけるが、ちらし寿司や炊き込みご飯、チキンライスなどアレンジレシピもお勧めだ。

  • こんにゃく米使用のご飯
  • ちらし寿司

(4)今後の展望

こんにゃく米の魅力と今後の展望をオハラの須田社長に伺った。

「食を通じて喜びを」が弊社のミッション。現在は飽食の時代。肥満など生活習慣病でダイエットを必要としている人や、糖尿病を患い大好きなご飯をおなか一杯食べられない人に必要とされる商品。健康という観点から「食べたいを我慢しない」を実現したい。

また、2019年に開発したタピオカ風粒こんにゃくがブームに乗り爆発的にヒットしたことをうけ、「こんにゃくをこんにゃくとして売らない」視点も重要と語る。こんにゃく米の製造過程を見直すことでベトナム料理フォーやフィットチーネなど麺類にもアレンジできるかもしれない。海外に販路が広がれば世界にこんにゃくをアピールできると意気込む。

中小機構の支援を受け、海外の食品展示会出展に向け動き出している。「中小企業は新しいことに挑戦し続けなければ生き残れない。これからもどんどんチャレンジしていきたい。」と話した。

【会社概要】株式会社 オハラ

代表者/代表取締役社長

須田 一喜

住所

石川県金沢市柳橋町甲14‐1

電話

076-288-6572

創業

1959年

従業員

77人

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