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株式会社ナガオカ

Each and every effort for CUSTOMERS!(すべてはお客様のために)

会社概要

事業内容

石油精製等のプラントにおける中核機器の製造・販売、取水機器の製造・販売等

本社所在地

大阪府泉大津市なぎさ町6番1号 きららセンタービル9階

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設立年

2004年

株式公開年

2015年

市場名

東証JASDAQ

資本金 (2015年6月期)

750百万円

売上高 (2015年6月期)

5,858百万円

従業員数 (2015年6月期)

235名

ファンド事業
  • 中小企業再生ファンド
  • がんばれ!中小企業ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名 (無限責任組合名)
  • JAIC-事業再生1号投資事業有限責任組合(日本アジア投資株式会社)
  • JAIC-中小企業グローバル支援投資事業有限責任組合(日本アジア投資株式会社)
  • がんばれ中小企業・活き活き育成投資事業有限責任組合(日本ベンチャーキャピタル株式会社)

事業概要

“すべてはお客様のために”

同社は、1934年の創業以来、金網メーカーからエネルギー分野等へ着実に事業範囲を拡大していったが、2004年には資金繰りに行きづまり民事再生を申請する。そして、同年、それまでの事業基盤を継承させるため現在の(株)ナガオカを設立し、代表取締役社長に就任した三村等氏(現任。以下、三村社長)の指揮の下、再起を果たすこととなる。

現在、国内外に複数の製造・販売拠点を有する同社グループは、「Each and every effort for CUSTOMERS!(すべてはお客様のために)」との企業理念を掲げ、私達の生活に欠かすことのできない「水」や「エネルギー」に関して、自然環境に配慮しながら効率的に創り出す技術を提供しており、具体的には、「エネルギー関連事業」、「水関連事業」の二つの事業に取り組んでいる。

世界各国で認められる確かな技術

同社の売上の6割以上を占めているメインの事業が「エネルギー関連事業」である。同事業では、石油精製や石油化学のプラントの心臓部である『触媒反応、吸着、抽出、分離』等の生成工程に使用されている中核機器の一つ、スクリーン・インターナルの製造・販売を行っている。

スクリーン・インターナルは、「原料の流れを整える」「高温・高圧・高腐食な厳しい使用環境下で触媒を支える」という二つの重要な機能を果たす必要がある。さらに、各種プラントの製法特許・ノウハウ等も深く絡んでいることから、製造できる専門のメーカーは、同社以外に全世界でも最大3社(アメリカ1社、ヨーロッパ2社)と非常に限られている。その中でも同社のスクリーン・インターナルは、目詰まりを抑えて液体や気体の流れをスムーズにする高い精度、緻密な溶接技術に裏打ちされた強靭な強度、用途に合わせ形状や材質を柔軟に変更できるカスタマイズ性等、優れた特徴をいくつも有していることから、世界65カ国以上もの納入実績があり、同社の安定的な収益源となっている。

  • <同社のスクリーン・インターナル>

将来の世界的な水不足に対応

また、同社の「水関連事業」では、まず取水用スクリーン及び建築・土木分野の建設向け排水用スクリーンの製造・販売を行っている。従来、水井戸分野ではスリットパイプや丸孔パイプ等の機器を用いて取水を行ってきたが、同社の製品を用いることによって、目詰まりや錆の防止による耐用年数の長期化、安定・効率的な取水が可能なこと等から、世界約40カ国に輸出されている。

  • <水関連事業における各種のスクリーン>

次に、今後の成長の柱として位置付けているのが「ケミレス」「ハイシス(日立造船(株)と共同特許出願中)」等の製品である。従来、取水した地下水には鉄、マンガン、アンモニア態窒素、ヒ素等が含まれていることから、薬品を用いて除去を行ってきた。しかし、「ケミレス」は、薬品を全く使用せずに不要な成分を超高速で取り除くことができ、薬品代や人件費等のコスト削減の他、産業廃棄物も生じさせず環境に非常に優しい。

また、世界的な水不足が懸念される中、海水の淡水化ビジネスの成長が見込まれているが、現状では、取水設備にかかる初期投資額の大きさや運用維持費の負担等が普及への大きな壁となっている。しかし、「ハイシス」は、従来よりも初期投資額を3分の1まで抑制できる可能性を有する他、維持コストの大幅な削減、環境負荷の低減に寄与することも期待されており、現在、実証実験が進められている。

同社のこれらの取り組みは、IWA(世界130か国の水道協会及び関係者と約10,000人の個人、500の会員企業からなる水分野における世界最高の国際機関)において、“水”に関する革新的な技術として、最高の栄誉である「最高功績賞」に輝く等、世界初の連続3回の受賞を果たしており、世界的にも大きな注目を集めている。

創業からベンチャーキャピタルに出会うまでの経緯

事業拡大と民事再生

1934年、永岡増蔵氏が永岡金網工業所を立ち上げたのが同社のはじまりで、1991年には(株)ナガオカ(便宜上、旧ナガオカという。)へ商号変更を行う。創業以来、事業範囲を拡大していくが、2004年に資金繰りに行きづまり、民事再生手続きを申請した。
当時、三村社長は、旧ナガオカの取締役営業部長であったが、創業者一族を中心とした役員会議において、取締役製造部長であった黒田氏と共に、民事再生に反対して会社を辞めさせられる。「もともと田舎の百姓の生まれで、父は村の顔役だったが3歳の時に亡くなり、母親の手で育てられた。色々と虐げられることもあったが、その時の反骨精神もあり、人の上に立って何かしたいと思うようになった。これが起業家の夢を抱くようになったきっかけ。」と語る三村社長は、黒田氏ともう1名の計3名で、(株)MMKを設立、代表取締役社長に就任する。
一方、民事再生の申請を行っていた旧ナガオカでは、創業者一族が今までと同じ考え方で経営を行うことを主張していたため、債権者からの賛同が得られず、国際入札で会社が売りに出されることに。そこで、落札したのが、ベンチャーキャピタル(新興企業等に投資を行う会社や組織、以下ベンチャーキャピタル)としてベンチャーファンドだけでなく、再生ファンド等も運営していた日本アジア投資(株)(以下、JAIC)であった。

ベンチャーキャピタル等を活用した事業の拡大と成長

存亡の危機を免れて再起を果たす

2004年10月、(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が出資し、JAICが運営するJAIC-事業再生1号ファンドによって、4億円の投資を受けた旧ナガオカは、存亡の危機を免れる。しかし、経営課題が山積みの中で、会社を指揮できるものが誰もいなかった。
そこで、JAICは銀行と共に三村社長のところを訪れて、ナガオカ再建のため社長就任を懇請する。三村社長は、まだ立ち上げたばかりの会社もあったが、「社員やお客様を守るため」旧ナガオカの事業を引き継いだ新生ナガオカの代表取締役社長に就任することを決意。旧ナガオカの経営の失敗を、「一族を重用して恣意的な経営を行い社員を大事にしなかったこと」「社員の提言に耳を傾けず市場を無視して研究開発を行っていたこと」「会社の収支が把握できず財政状態を悪化させたこと」と見定めていた三村社長は、早速、「すべてはお客様のために」との企業理念を新たに掲げ、抜本的な改革に乗り出す。その結果、初年度こそ、就任から決算まで8ヶ月間しかなかったことから赤字を計上したが、それ以降は上場まで黒字を貫き、ナガオカの復活を内外に強く印象づけた。

一方、JAICは再生ファンドが保有していた同社の株式を2010年までに全て売却するが、次は、中国の生産工場の立ち上げという新たな成長のための資金として、2011年10月、同じく中小機構が出資し、JAICが運営するJAIC-中小企業グローバル支援ファンドから、新株予約権付社債として3億円を拠出する。
三村社長は、「既に黒字が定着していたので、新工場の立ち上げのための資金調達は、銀行借入れでも十分可能であった。しかし、ナガオカが存続できたのは、JAICさんのおかげ。また、ファンドに出資している中小機構さんについても、技術があって頑張れる企業を支援する方針であることをJAICさんから伺っていた。社員皆が民事再生で落ち込んでいた中で、我々ナガオカの技術をJAICさんと国の機関である中小機構さんが認めて頂いたことは、とても励みとなった。そして、お客様に対しても、国も関与しているファンドが我々を後押ししてくれていることをお話させて頂いた。このような深いご恩を感じていたからこそ、再び中小機構さんが出資し、JAICさんが運営するファンドから資金を調達させて頂くに至った。」とその経緯を振り返る。

資金面以外の支援について

資金面以外のJAICからの支援として、「事業再生時には、“思い切り経営をやれる”環境を与えて頂いたことの他、3名の社外取締役の派遣があったが、経営について率直に意見交換ができる方もおり、大変ありがたかった。また、かつてJAICグループの執行役員として大変お世話になった梅津氏には、今でも、我々の社外取締役として、上場基準に達するための経営管理やコーポレート・ガバナンス等、貴重な助言を頂いている。他にも、JAICさんが中国で投資されている水関係のコンサル会社のご紹介等もあり、これから中国ビジネスについて色々と協力できればと考えている。」と今後の展望にも期待を寄せる。

なお、公的機関の支援としては、研究開発について、「ハイシス」では日立造船(株)と共に経済産業省から、また「ケミレス」ではJICAの「中小企業海外展開支援事業 普及・実証事業」に採択され、それぞれの補助金を活用している。さらに、中小機構からもインテックス大阪で開催された中小企業総合展において、出展に向けたサポートを受けたという。「水資源が不足している中国等の地域に対して、それぞれの企業が手を取り合い、強みを活かすことで解決策を提案していく。この“関西HANDs(H:日立造船(株)、A:アタカ大機(株)(現日立造船(株))、N:(株)ナガオカ、D:ダイセン・メンブレン・システムズ(株))”のプロジェクトを、中小企業総合展を通して大々的にアピールすることができた。」と三村社長は語っており、現在では、日本企業における海外戦略のモデルケースの一つとして注目されている。

IPOによる経営効果と今後の展望

負け組から勝ち組へ

同社は、2015年、東証JASDAQに上場を果たしたが、上場は、同社にとって目標でもあり、また手段でもあった。三村社長は、「民事再生の時、従業員皆が失意のどん底にいた。その中で、モチベーションを高めていくために、負け組から勝ち組を目指そうと思った。勝ち組の定義は難しいが、上場企業になれば勝ち組であろうと考え、上場に向かうことで社員の心を一つにした。」と語り、再起を果たすための原動力の一つとなっていたことが伺える。また、「今まではスクリーンという部品を売ってきたが、例えば、水関連の事業でお客様が本当に求めているものは何かというと、部品ではなく“水”である。従って、今後は、部品屋から脱却して、装置やシステム、プロセス全体を取り扱うスモールEPC、といったように、“水”を提供すべく総合的に事業を行っていく必要がある。そのためには、上場による資金調達の多様化や信用力の向上は必須。」と述べ、上場を契機にさらなる成長への道を切り拓いていく。

日本のモノ作りの技術ここにあり

既に「エネルギー関連事業」や「水関連事業」では、世界各国で高い評価を受け、安定した収益を確保している同社。今後の展望について、三村社長は、「引き続き、既存の事業を着実に積み上げていく。一方で、将来の成長の柱と位置付けているのが「ケミレス」と「ハイシス」である。中期的な成長を見込む「ケミレス」では、既に10億円の売上をあげているが、今後は潜在的ニーズの大きい海外市場へ本格的に展開していく。また、世界各国において、川や湖、地下水等からの飲み水・工業用水の確保がさらに難しくなっていく将来を見据えて、海水淡水化プラント向け取水システムである「ハイシス」の実証実験から、商業ベースへのステップ・アップを目指す。我々の技術は、世界を救うことができると信じている。“日本のモノ作りの技術ここにあり”ということ、そして“夢は実現するためにある”ということを、世の中に示していきたい。」と将来に向けての意気込みを語る。

代表者プロフィール

代表取締役社長
三村 等

1949年1月22日生まれ。1971年、日産サニー大阪東販売株式会社に入社。1975年、永岡金網株式会社に入社し、1986年には取締役営業部長に就任。2004年、株式会社ナガオカスクリーン(現在の株式会社ナガオカ)の代表取締役社長に就任(現任)。

起業家を志す方へのアドバイス

私は、最後に企業を支えるものは“人”でしかないと考えています。そのため、“人は宝”つまり“人財”であると思っており、経営を行う上では、人を大事に育てていくことを心がけています。大事に育てるといっても、決して甘やかすのではありません。例えば、私たちの会社では、新人でも2年目には権限を与えて海外の現場に送り込むことで、考え抜いて挑戦させる環境を与えています。そして、失敗しても責任は会社が全て持ち、“1つ失敗してもいい、2つ成功すればプラス1”との気持ちを持ってもらえるよう取り組んでいます。人を大事にして、磨き上げていくことを、特に中小企業は心がけてみては如何でしょうか。

ベンチャーキャピタルの声

同社に投資をするに至った判断のポイント

インターナル事業、国内水事業、海外水事業から構成される同社事業ポートフォリオに於いて、インターナル事業と国内水事業は市場占有率が高く、既に安定的な営業基盤が確立されていた他、海外水事業は積極的な営業展開に取り組んでいた中国市場にて着実に実績を積み上げ始めており、同事業部門の拡大を背景として、大きな成長余力があると判断し、2011年10月に投資を実行しました。

ベンチャーキャピタルの視点からみた同社の成功要因

投資後も海外市場を中心とする積極的な営業開拓により複数の大型プラント向けの受注を獲得した他、円安基調以降は収益性が大幅に改善したことにより、業績数値も大幅な伸張を果たしました。総じて、三村社長、黒田副社長を始めとする経営陣の強いリーダーシップと、確かな営業戦略が成功要因となったものと考えます。

日本アジア投資株式会社

2015年度取材事例
掲載日:2016年1月27日

  • この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。
    従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。
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