株式会社 Kaizen Platform

世界中のサイトや広告をカイゼンして、個人の才能や情熱あふれる社会を実現

会社概要

事業内容
企業のDX推進を支援するプラットフォームとサービスの提供
本社所在地
東京都港区
URL
設立
2017年4月
資本金
17億3,467万円(2021年12月末時点)
ファンド事業
起業支援ファンド出資事業
同社に投資を行った出資先ファンド名
(無限責任組合名)
AT - I投資事業有限責任組合(STRIVE株式会社)、CA Startups Internet Fund 1号投資事業有限責任組合(株式会社サイバーエージェント・キャピタル)、GMO Venture Partners 3 投資事業有限責任組合(GMO Venture Partners株式会社)

事業概要

UX改善と動画制作を掛け合わせて顧客のDXをトータルサポート

株式会社Kaizen Platform(以下、当社)は、2017年4月、東京都港区を本社に、須藤憲司氏(以下、須藤代表)により設立された。「世界をKAIZENする」をミッションに、企業のDX推進を支援するプラットフォームとサービスを提供している。具体的には、UXソリューションと動画ソリューションを主軸に展開している。

UXソリューションとは、顧客がデジタルマーケティングにおいて抱えている課題の解決や、継続的なUXの改善をワンストップで請け負うコンサルティングサービスである。(UXはUser Experienceの略称であり、製品やサービスのビジュアルデザインや操作性などを通して得られる顧客体験のことを意味する。)

企業が自社サービスのUXを維持し向上させるには、PDCAサイクルに基づいた継続的な改善作業が必要である一方で、これらに十分な人的資源を割ける企業は多くない。当社の「KAIZEN UX」サービスでは一気通貫でこれらのWEBサイトの改善を請け負い、課題解決から効果の最大限の発揮までをコンサルティングサポートしている。

同社HP掲載の顧客企業の申し込みフォームの改善例
顧客企業の申し込みフォームの改善例(当社HPより)

デジタルマーケティングの中でも、特にユーザーへ訴求力が強いツールは“動画”である。動画ソリューションにおける「KAIZEN AD」サービスでは、既存の動画の広告効果の改善支援を行う他に、紙媒体やデジタル媒体を問わず、既存の素材をもとに早くかつ高品質でリーズナブルな価格での動画の制作を行っている。

同社HP掲載の顧客企業の広告動画の改善例
顧客企業の広告動画の改善例(当社HPより)

世界中の才能をクラウド上に集めて顧客のDXを実現

当社のこれらのソリューションを支えている強みは、当社が有するデジタルプラットフォーム上に登録・在籍している、1万人以上のデジタル専門人材(以下、グロースハッカー)のネットワークの存在である。

グロースハッカーネットワークには様々な専門領域を持つ人材が在籍しており、グロースハッカーの専門領域や得意分野に基づいて、サイト分析、サイトデザイン案の作成、ディレクションなどの役割を割り当てられ、フルリモートでプロジェクトを進めている。

さらに、当社にはこれまで実施してきた1,000社、50,000以上の改善事例のデータベースがあるため、グロースハッカーはこれらの蓄積されたデータを活用することで、顧客に対して最大限の効果的な改善と成果を提供している。

同社プラットフォームの強みの解説図
プラットフォームの強みについて(当社決算説明資料より)

ファンドに出会うまでの経緯

「ソフトウェアのビジネス×アウトソーシング」が起業の発想

株式会社Kaizen Platformの前身の会社、Kaizen Platform Inc.は2013年3月にアメリカカリフォルニア州にて創業された。「ソフトウェアのビジネス×アウトソーシング」という起業の発想を持っていたものの、まだ当時の日本にはSaaS(Software as a Serviceの略称、ソフトウェアやアプリケーションの機能をサービスとしてネットワーク経由で利用するモデルのこと)のビジネスが浸透していなかったという。

それに加えて、SaaSというサービスの性質と、赤字を掘っていたとしても成長性が高ければ評価してもらえるアメリカの市場風土が合っていると思い、アメリカで創業をするという決断に至った。しかし、ちょうど同じタイミングにてボストンマラソン爆弾テロ事件が発生した。ビザ取得等が困難になったことから、アメリカでの事業を進めていく傍ら、同年4月に日本支店を開設し日本の事業から取り組むこととなった。

100社以上のVCを回り、投資家に求めたもの

創業後、資本金はすぐに底をついたものの、サービス開発のスピードを緩めたくなかった須藤代表は、間もなく資金調達を行うことを決めた。日米で合計100社以上のVC(ベンチャーキャピタル)を回り投資家へのプレゼンテーションを行っていった。

須藤代表は、資金面以外に、自分ではアクセスできない人とのネットワークを紹介してもらえること、事業の本筋のところは自分を信じて目を瞑って任せてくれること、この二つを求めて投資家を探し回った。

そうした中、当社は、2013年8月、独立行政法人中小企業整備基盤機構が出資をし、STRIVE株式会社(以下、STRIVE)が運営するAT - I投資事業有限責任組合を中心に、GMO Venture Partners株式会社、株式会社サイバーエージェント・キャピタルより、総額80万ドルを調達した。そして、STRIVE株式会社の代表パートナーである堤氏が当社の取締役に就任した。

ベンチャーファンドを活用して

最初のプロダクトに対して最短最速で行った仮説検証

VCからの初回調達は、創業より開発してきたサービスを市場に本格提供するにあたってビジネス検証するための資金だったと当時を振り返る須藤代表。須藤代表は、WEBサイトのA/Bテスト(WEBサイト上で複数の表示パターンをユーザーに検証し、成果の高かったパターンを見つけるという作業を繰り返すWEBマーケティングの手法)に特化した「planBCD」という最初のプロダクトを顧客に提供していくにあたって3つの仮説を検証したいと考えていた。

1つ目は、「自分達が想定している顧客のニーズは顧客がお金を払ってまで解決したいと思っているものであるのか」。2つ目は、「当社が提供するツールやサービスは、顧客にとって費用対効果が合うのか」。そして3つ目は、「我々は、このサービス製品を提供していって、商売上の利益を生み出すことができるのか」。

当社は調達した資金を元手に積極的な営業活動を行い、この3つの仮説を最短最速で検証していった。すぐに20社程から受注が決まり提供先の顧客でも成果が出てきた。須藤代表は、この成功をもって、もっと多くの顧客へこのサービスを展開しさらなる事業成長を目指すために、およそ2年分のまとまった運転資金が必要だと考え、初回調達からわずか半年でさらなる事業拡大を目的とした2回目の資金調達(シリーズAラウンド)へ動いた。

この初回調達からシリーズAラウンドにかけての期間、STRIVEの堤氏から、特に手厚い支援を受けたと振り返る須藤代表。具体的には、営業先の紹介、営業部長を始めとしたキーマンの紹介といった採用面のサポート、シリーズAラウンドの新たな調達先となるVCの紹介などを行ってもらった。さらに、CFOが不在だった当社にとって、堤氏が実質的なCFOの役割を担う存在となっており、シリーズAラウンド以降の資金調達についても、ファイナンス面のサポートに尽力してもらったという。

4年目に訪れた事業成長の踊り場

シリーズAラウンドで調達した資金で人材採用と顧客獲得に奔走し、日本での事業は順調にいっているかに見えた。しかし、事業開始から3年が経過した2016年頃、顧客の解約が増え始めた。その理由を、「およそ平均的なUX事業の契約期間は20か月、そのサイクルでお客様はサイトリニューアルを行ってしまう。そのため、解約が増え始めた」と話す須藤代表。同時に、アメリカの事業については創業当初より赤字が続いており、特に苦戦を強いられていたという。

ここまで順調であった事業の成長が踊り場を迎え、退職者も続出し、従業員が30%減少してしまう苦しい状況に陥ってしまった。この時、「アメリカ事業は縮小して、日本事業にフォーカスし、既存事業の立て直しを図ろう」というのが多くの投資家達の意見であった。しかし、須藤代表が下した決断は、新たに動画事業を開始するという選択であった。

「スタートアップは、結局、成長を続けなければいけない。従業員も成長をしている会社で働きたいし、新しい成長の種を作らないと皆からの求心力が失われてしまう。」こうした想いのもと、須藤代表は、既存事業の立て直しと新規事業の両立に取り掛かった。

成長の種となる新しい事業へこの時期に取り掛かれたからこそ、この新規事業を軌道に乗せていくための次なる調達ラウンドであるシリーズBラウンドを行うことができた。

自社の成長フェーズに合わせた様々な支援

2020年12月、株式会社Kaizen Platformは東証マザーズに上場した。創業から上場に至るまでの7年間で合計6回の資金調達を行っており、一連の調達ラウンドにおいて、自社の成長フェーズに合わせた投資家からの支援を受けてきたと須藤代表は話す。

創業期には、自分ひとりでは持っていなかったネットワークを紹介してもらうことで営業の基盤作りとスムーズな資金調達を行うことができた。成長期には、相乗効果が見込まれる事業法人と資本業務提携を実施し、ジョイントベンチャーの設立や、事業面で新しいコンテンツの開発を行うことができた。

また、堤氏をはじめ、資金調達初期の取締役参加メンバーについては、上場まで一貫した支援をしてもらったことで心強かったと振り返った。

“諦めない”、“なんとかする”ことが経営者の仕事

一方で、当社が2020年に上場を果たす過程で、事業が壁にぶつかる厳しい局面は幾度も迎えたと振り返る須藤代表。その都度難局を乗り越えることができたのは、堤氏をはじめ、投資家達からの最善のサポートと、「最後の意思決定という“けり”をつけなければいけないのは経営者の仕事、自分自身が頑張らないといけない」という自らの覚悟があったからだという。

事態を一発逆転できる奇策はないから今できる最善を一つ一つ積み重ねていくしかない。須藤代表は「こうしたぼくの性格を投資家達はよく理解していてくれたから『最後は須藤がなんとかしてくれるよ』という信頼関係のもと色々な困難を打開してこれた」と話す。

株式公開をしたことでの意識の変化

公開企業になったことについて、「資本市場に向き合うプロセスは自分にとってはありがたい」と話す須藤代表。例えば、会計を締めるスピードを上げることであったり、組織統制の仕組み作りなどを推進していくことは会社の “体幹”の強化につながる。こうしたコーポレートカバナンスを行う大義名分ができたことで、プライベートカンパニーだった時と比べて事業をより進めやすくなったという。

今後の事業の展望について

DXソリューションの担い手としてのプレゼンスを築いていく

上場後のKaizen Platformのあるべき姿を考えた時に、“マーケットをいかにきちんと掴んでいるか”が大切だと説く須藤代表。そのヒントは、EMS(Electronics Manufacturing Serviceの略称、電子機器の受託生産のこと)の世界最大手である鴻海精密工業のビジネスモデルにあるという。Appleが莫大な利益を生み出すことができているのは、鴻海を介して、本来なら固定費として負担しなければならない工場などの設備費を変動費化できたことにあり、いわば、このEMSは製造業のクラウドサービスであると分析する。

雇用の流動性が低い日本の労働市場において、特にデジタル人材は労働集約型であり限りがある。これに加えて、5Gが普及し、数多の企業がAR、VR、ライブコマースなどによるDX化を推し進めるならば、それらコンテンツ製作をアウトソーシングする市場は必ず伸びるはずである。いわばDX市場のEMSの存在が不可欠になる。

こうしたパラダイムシフトが起きた時にKaizen PlatformがDX市場におけるプラットフォームとしての確固たる存在感を確立していることが、これからの当社が目指す、あるべき姿である。

これからの成長戦略のイメージ図
これからの成長戦略について(当社決算説明資料より)

代表から起業家を志す方へのメッセージ

自分自身、起業をしてみて、思った通りにいかなかったり、大変なことばかりでした。しかし、周りの人からのサポートもあり、喜びとかわくわくするとか、そういう経験をいっぱいさせてもらえました。

応援され続ける人になることはとても大事なことだと思います。しかし、応援され続けるためには、どんなに大変な状況にあっても諦めてはいけないと思っています。例えば、お金がないというような困難は事象に過ぎませんが、僕が諦めたら、この事業が終わってしまいます。

上手くいっていない時であっても、「この歩みを止めたら終わってしまうな」という想いを強くもって一生懸命やってきました。結果上手くいかなくても、上手くいかないところまで自分の足で行かないといけないと思います。お金を出資してくれた人達がリターン以上に期待しているのは、最後までやり抜く姿勢だと思っています。

最後は自分自身であるということと、応援してくれる人たちをどれだけ作っていけるか、これを忘れないようにして頑張っていって欲しいと思います。

須藤憲司代表の写真
須藤憲司代表(株式会社Kaizen Platformより提供)

ファンド運営者の声

同社に投資をするに至った判断のポイント

先ず、創業者である須藤氏とは前職のリクルート時代からの旧知の仲で、彼の人となり能力、実績をよく存じ上げておりました。それゆえに、起業家としてのポテンシャルの能力を十分に評価することが出来ました。加えて、経済のオンライン化(今で言うDX)が加速することが予想される中、それらの最適化を図ることが必要になるという確信めいたものがあり、須藤氏の事業コンセプトに共感することが出来、投資に至りました。

ファンドの視点からみた同社の成功要因

須藤氏を中心とする経営メンバーの最後まで諦めない強い気持ちというのが、成功の原動力だったと思います。途中、経営メンバーが何回か入れ替わることもありましたが、それでも最後はなんとかするという経営姿勢が強かったからだと思います。 また、DXの波という時代感を上手くとらえることが出来たのも後半の成長の原動力になったと思います。

STRIVE株式会社

  • この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。
    従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。