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株式会社リグア

予防分野を支える代替医療業界を活性化することで、人々の健康意識を高めて

会社概要

事業内容

代替医療領域(接骨院・鍼灸院等)の運営・経営支援に特化したサービスの提供

本社所在地

大阪府大阪市中央区淡路町二丁目6番6号淡路町パークビル2号館

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設立年

2004年10月(創業2001年)

資本金

463百万円

売上高

2,167百万円(2020年3月末時点)

従業員数

85人(2020年3月末時点)

ファンド事業

中小企業成長支援ファンド出資事業

同社に投資を行った出資先ファンド名 (無限責任組合名)

K&Pパートナーズ1号投資事業有限責任組合(K&Pパートナーズ株式会社)

事業概要

代替医療領域(接骨院・鍼灸院)向けの総合的な経営支援サービスを提供

株式会社リグアは、2004年10月に川瀬紀彦氏(以下、川瀬社長)により設立された、大阪府大阪市に本社を置く、接骨院などのヘルスケア産業の経営支援に貢献する問題解決型のコンサルティングカンパニーである。「健康寿命を延ばし、生きることを楽しむ社会へ」をグループビジョンに掲げ、接骨院の経営支援を行う接骨院ソリューション事業と、保険代理店や金融商品仲介業を行う金融サービス事業を展開している。

接骨院は全国に5万院以上あるといわれているが、多くの接骨院は、分院出店など事業成長の過程において、各成長ステージに応じた様々な悩みを抱えている。また、保険施術や柔道整復師法等の、制度面や法律面への対応も関係してくるため、運営・経営課題の解決には、高い専門性が必要になる。同社は、15年以上にわたり業界ノウハウを蓄積し、社内教育を徹底することで、専門性の高いコンサルティングを提供している。さらに、売上向上をはじめ、組織構築、資金調達や、経営者の老後対策まで、接骨院の様々な悩みに対応する各種メニューを揃えることにより、接骨院との長期的な関係を構築している。

このように信頼を積み上げてきた結果、2020年3月期末現在で、約2,300院超の接骨院との取引実績を有している。

接骨院経営における悩みにあらゆるソリューションを提案

従来の接骨院経営者が抱えている大きな悩みの一つは運営業務の煩雑さである。接骨院では、お客さまの会計を行うPOSレジ入力とは別に、レセコン(レセプトコンピューター:療養費支給申請書を作成するソフトウェア)への療養費請求情報の入力が必要となる。また、従業員は日々、施術以外の多くの管理業務に追われており、差別化戦略において重要となる顧客管理や分析は後回しとなっていることも少なくない。

同社が提供する「レセONEプラス」はこうした煩雑な業務の効率化を支援する。すなわち、同サービスでは、レセコン機能、POSレジ機能、顧客管理機能のワンストップ管理を可能にする。また、顧客管理機能において、お客さま毎の客単価、保険施術比率、顧客離反率が一目でわかるようになるため、一人ひとりのお客さまに対して、次回来院に向けた提案が行いやすくなる。さらに、複数の院のリアルタイム情報のチェックも可能となるため、複数の院を統括するマネージャーの業務効率化にもつながる。これらの利便性が評価された結果、多くの接骨院への導入が進んでいる。

  • レセONEプラスのイメージ画像

また、同社は、電気刺激で筋肉を動かすEMS-indepth-や、骨盤や背骨の歪みが原因となる痛みへの対処法とした油圧電動式の施術台トムソンベッドなどの自費施術(保険外施術)メニューを充実させる各種機材の提供も行う。

こうした機材は、接骨院来院者のニーズに応えるだけではなく、リピート来院率向上、ひいては接骨院の売上向上につながるものである。

  • EMS-indepth-の画像
  • トムソンベッドの画像

金融知識をより身近なものに

同社は2014年に株式会社FPデザインを子会社化し、2016年に保険代理店事業と金融商品仲介業を開始した。「一生お付き合いのできる総合金融コンサルティングサービス」を掲げて接骨院の経営者、会社経営者など様々な方へ金融商品を提供している。IFA(Independent Financial Advisor)という、特定の金融機関に属さず、独立した立場からのアドバイスが可能という立ち位置でサービス提供をしており、2021年3月期に入ってからの預かり資産額は100億円を超える規模となっている。

創業からベンチャーキャピタルに出会うまでの経緯

学生時代から起業家を志していた

川瀬社長は学生時代にはアメフトに打ち込んでいた。大学のリーグ戦では、副主将としてチームの中心となり、26年ぶり、単独4位、4勝という歴史的な快挙を遂げた。川瀬社長は、出身大学のアメフト部の公式HPにおける寄稿において、当時をこう振り返っている。「特別能力、スター選手がいる代ではなかった。しかし、チーム一丸となり、チーム力、組織力ではどの代よりも我々が勝っていた。」学生時代から起業家になる事を強く意識していた川瀬社長は、当時からチームワークや組織力の大切さに着目していた。

その後、民間企業2社を経て、2001年にリグアの前身となる会社を創業し、2004年に同社を設立した。接骨院事業で起業をしようと思ったきっかけは、自身が学生時代に接骨院にお世話になる中で、接骨院の経営の効率化という事業領域に伸びしろを感じたからだという。

全従業員・家族の幸せを追求する「良心の相互創生」

同社は経営理念として、「『良心の相互創生』 全従業員・家族の幸せを追求するとともに、豊かな良心を育み、社会の発展進歩に貢献する」と掲げている。この理念には「従業員が幸せになったら、必ずお客さんも幸せになる。」という川瀬社長の想いが込められている。川瀬社長は、生まれ育った環境や思想信条が異なるメンバーをひとつにまとめるために、共通の経営理念をもって認識合わせをすることが大切だと考えている。会社が大きく成長しても、経営陣をはじめ、従業員ひとりひとりがこの理念に立ち返るという。

上場という目標への意識の変化

2004年の設立後しばらくは、リスクヘッジの意味合いから、事業を多角化し、幅広く事業を手がけていた。事業は順調に進み、関西のベンチャー企業界隈では有名な存在となった。当時、「上場ブーム」という世間のムードもあり、同社もばくぜんと上場を目指していたが、その後、接骨院経営支援の事業に特化し、事業成長の手応えがつかめたことから、2015年頃からは本気で上場を目指すようになった。

そこには、同社の上場により、接骨院業界という小さなマーケットに注目が集まることで、業界も大きく盛り上がるのではないか、そうなれば、お世話になった接骨院業界の人たちも喜ぶのではないか、という思いもあった。

そのような折、知人からの紹介で川瀬社長が知り合ったのがK&Pパートナーズ株式会社代表の松村氏であった。川瀬社長は、「当時、関西は東京に比べて、ベンチャーキャピタルや上場審査などの、上場を目指す会社向けの情報が少なかったため、ファンドに対しては少し身構えていた。しかし、松村さんは、丁寧に説明してくれて、先入観を払拭してくれた。松村さんが、事業を見て、人を見て投資をすることが分かったので、一緒に上場を目指そうという決断ができた。」と語る。

そして、同社は、2015年8月、独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資し、K&Pパートナーズ株式会社が運営する、K&Pパートナーズ1号ファンドより投資を受けた。

ファンドの活用について

リードベンチャーキャピタルからの手厚いハンズオン支援

同社は、K&Pパートナーズから投資と同時に社外取締役も受け入れ、株式公開に向けて様々な支援を受けた。

まずは、資金調達支援として、資本政策の立案支援や、資金調達時の割当候補先となる他のベンチャーキャピタルや事業会社の紹介を受けた。結果として、紹介を受けた企業2社からの資金調達が実現した。

また、多くの事業会社との繋がりがあるというK&Pパートナーズの強みを活かし、新規事業の開始においても支援を受けた。例えば、業界初の接骨院向け自由診療費のカード決済サービス事業の立ち上げにあたっては、大手カード会社の紹介をうけ、事業連携に関するミーティングの際にも同席してもらい、フォローを受けた。同事業は順調に成長し、現在ではストック収益モデルとして着実な収益源となっている。

このほか、社内規程の作成や、主幹事証券の選定など、上場準備にむけた管理体制の構築においてもアドバイスを受けた。

今後の事業の展望について

「健康の窓口」として社会へ貢献

2020年3月、同社は東証マザーズへの上場を果たした。川瀬社長は、「上場企業となったことで、会社の知名度や信頼度が上がった。このことにより、大手企業との提携など、事業展開の可能性が広がったことを実感している。」と述べる。さらに、「上場してパブリックカンパニーになるということは、企業の社会的責任が増すという意味合いもある。これからは、接骨院業界のみならず、日本全体のためになるよう、社会課題の解決に取り組みたい。」と、川瀬社長は意気込む。同社が取り組みたい社会課題は2つあるという。

1つ目は、健康寿命の延伸である。同社は2020年3月期の決算説明にて、「接骨院が健康の窓口となる未来」というビジョンを掲げている。厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」によると、現在、要支援・要介護の原因は、22%が「運動器の障害」であるとされている。この調査に対して、同社は、全国に約5万院ある接骨院が、筋骨格のプロとして「予防領域」の分野で大きく貢献ができると考えている。そこで、「予防・健康」をキーワードに接骨院の付加価値向上に資するメニューを増やしていく考えである。

もう1つは金融リテラシーの普及である。日本人の現金保有率が先進国の中でも高いことや、老後の2,000万円問題など、個人の金融資産についてのニュースは日々絶えない一方、お金の運用についての知識を得る機会が少ないと感じている。金融サービス事業を通じて、資産運用の重要性を広めていきたいと考えている。

「『健康』と『お金』は一生涯を通じての関心事である。この2つにおける不安を解消し、健康で豊かな暮らしができる社会の実現を目指したい。」と川瀬社長は語る。そして、2021年3月期第2四半期決算説明会においては、接骨院業界において同社とまだ取引のない94%の未開拓マーケットへの新規開拓に注力していくとも語った。パブリックカンパニーとして、今後も多くの人の「健康と金融」を支援していく。

  • 厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」

川瀬社長から起業家を志す方へのメッセージ

川瀬社長の顔写真
代表取締役社長 川瀬紀彦氏

社長という肩書にステータスを感じるかもしれませんが、会社をつくることや社長になることが目的となってはダメです。会社の代表者こそ、誰よりも一番働かなければならず、命がけで経営をしないと会社は続きません。

私は、経営者として押さえるべきポイントは3つあると考えます。

1つ目は、会計がわかること。自分の会社の貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書について、経理や税理士任せではなく、自分でしっかり説明できるようにしましょう。2つ目は、独自性のある商品・サービスを持つこと。どんな企業が自分の業界へやってきても、絶対に負けない優位性のある商品・サービスをつくりましょう。3つ目は、社員の一体感が醸成されること。社員は自分の人生を豊かにするためにこの会社で働いています。社員が、この会社で仕事をすれば、自分の人生が豊かになるんだという気持ちになれることが大切です。社員が主体的に動くことで、一体感が生まれます。

経営というのはすごく面白いです。多少なりとも、その人の人生に影響を与えることができるから。これはすごいことです。色々大変なこともあるとは思いますが、そういう企業経営をしていくことが、大切だと思います。

ファンド運営者の声

同社に投資をするに至った判断のポイント

創業経営者の人間的魅力と事業のユニークさ&収益性

川瀬氏の誠実且つユーモア溢れる人間性が多くの優秀な人材を巻き込んでいき、将来的にはIPOを実現する会社組織を作れる人物だと直感的に感じました。また、整骨院に特化した事業モデルを展開している会社が非常に稀であり、初回投資時点で一定の収益基盤を有している点を評価しました。

また、同社に対しては事業の進捗に合わせて追加投資を行っています。その際は、川瀬社長以外にも経営陣・幹部社員の実務能力が高く、社長に依存せず業績を達成していく会社であり、IPO準備に向けて全社一丸となって管理体制構築に取り組んでいることをもって投資の判断に至りました。

成長支援ファンドの視点からみた同社の成功要因

事業の一定の市場規模と差別化要因、経営陣の高い実務遂行能力

柔道整復師、整骨院業界に対してソリューションを提供するというビジネスは非常にユニークである一方で、整骨院業界はコンビニと店舗数が同じくらいであり、高齢化社会において非常に魅力的な市場であるととらえています。この市場に対して、同社が唯一無二のポジションと顧客基盤を有している点がIPOを実現する要因となったと考えます。また、左記を可能としたのが経営陣の高い業務遂行能力(コミットメント達成力)であり、各分野で非常に優れたメンバーを集めることができたのが一番の成功要因であると考えます。

K&Pパートナーズ株式会社

※この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。
従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。

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