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ロイヤルブルーティージャパン株式会社

新しいお茶文化の創造に挑む

会社概要

事業内容

自社一貫での高級茶飲料・高級茶の開発・製造・販売等

本社所在地

神奈川県川崎市川崎区南渡田町1-1

社屋・工場所在地

神奈川県茅ケ崎市本宿町2-8

設立年月

2006年5月

資本金 (2017年4月1日現在)

5,815万円

売上高 (2017年4月1日現在)

非公開

従業員数 (2017年4月1日現在)

16名(パート・常勤役員含む)

ファンド事業

ベンチャーファンド出資事業

同社に投資を行った出資先ファンド名 (無限責任組合名)

KSP3号投資事業有限責任組合(株式会社ケイエスピー)

事業概要

新しいお茶文化の創造を目指して

2006年5月、同社の代表取締役会長である佐藤節男氏(以下、佐藤会長)と代表取締役社長吉本桂子氏(以下、吉本社長)は、高級茶飲料市場を開拓するために共同でロイヤルブルーティージャパン(株)を設立した。

同社が掲げるのは和醸良酒ならぬ“和醸良茶”。“和醸良茶”には、お茶づくりに関わる人、お茶を販売する人、お茶を飲む人、それぞれの和の精神を大切にしてこそ美味しいお茶が生まれる“和は良茶を醸す”という意味と、良茶を飲めば人間関係も丸くなり和を醸し出す“良茶は和を醸す”の二つの意味が込められており、独自のワインボトルに詰められた“本物のおいしいお茶”を通じて新たなお茶文化の創造を目指している。

現在、同社は茶葉農家と連携し、茶飲料の開発・製造から販売まで一貫した事業モデルを構築しており、ホテルや旅館、レストラン、航空会社のファーストクラス等を通じて高級茶を提供するBtoBの販路と、高級百貨店やオンラインショップを通じたBtoCの販路を有している。

  • <ロイヤルブルーティーオンラインショップ>

ワインボトルに詰められた唯一無二の製法による“本物のおいしいお茶”

同社は、現在、ボトル1本2800円の有機紅茶「Royal Darjeeling Rajah」から60万円の伝統本玉露「King of Green HIRO/HOSHINO」まで、非日常のシーンを彩る高級茶飲料を提供している。創業以来、天皇陛下御臨席植樹祭レセプション、北海道洞爺湖サミット、G7伊勢志摩サミット、APEC横浜等、数々の国際的な式典でも呈茶を拝命するに至っている同社の“本物のおいしいお茶”へのこだわりは、茶葉からはじまる。

同社では、確かな生産者によって育てられた茶葉、しかも安価な機械摘みに頼ることなく、一枚一枚丁寧に手摘みされた茶葉を使用する。手摘みされた茶葉は、同社が生み出した唯一無二の「水出し抽出・非加熱濾過除菌充填法」によって3日から7日間かけてじっくり抽出する。水が綺麗な我が国だからこそ行える製法によって、お茶の味の決め手になるカテキン(タンニン)・アミノ酸・カフェインがバランスよく抽出され、茶葉本来の風味が活かされたお茶が生み出されるのである。そして、抽出されたお茶は遮光性のあるワインボトルに一本ずつ詰められていく。ワインボトルを採用した理由は大きく2つ。一つ目は、品質管理の視点で、お茶の香り・色・味わいをそのままお客様にお届けするのに最も適した素材であるため。二つ目は、生活文化的な視点で、ワインは、その土地特有の土壌や気候といった生育環境(テロワール)が重要となるが、お茶も同様にテロワールが重要であることを、国境を越え、言語を越え、文化・宗教も越えて、1秒で伝えることができるためである。  同社は、国際的な食品品質管理認証であるSGS-HACCP認証を取得した工場において、一貫して手作業で製造が行われており、“本物のおいしいお茶”を生み出すために手間・技術・時間を惜しみなく注いでいる。

新たなお茶文化の創造と発信

2016年4月、同社は、工場と併設する形で、初の直営店舗である「ロイヤルブルーティー茅ヶ崎ブティック」をオープンさせた。
ブティックのコンセプトは、同社がイメージする「現代の茶室」。エントランスからカウンターに至るまで静謐さを漂わせながら同社の商品がディスプレイされており、販売だけでなく有料予約制で試飲も可能となっている。将来に向けたお茶文化の創造を目指す同社にとって、「ロイヤルブルーティー茅ヶ崎ブティック」は、単なる直営の販売店に留まらず、新たなスタイルの発信地として位置づけられる。

  • <ロイヤルブルーティー茅ヶ崎ブティック>

創業からベンチャーキャピタルに出会うまでの経緯

創業のきっかけはスカウト

もともとグラフィックデザイナーであった吉本社長は、佐藤会長が主宰していたティースクール・サロン「茶聞香」にライフワークとして参画、藤沢市の歩行者天国にオープンカフェを出店した際に、藤沢市のインキュベーションマネージャーから起業を勧められる。

吉本社長は、「お茶の歴史は3000~4000年にも及ぶが、お茶の本来の魅力をよそに、例えばお茶壺道中や茶税等、お茶は権威・権力の象徴、統治・統制の道具として長らく用いられてきた。一方、私自身が『茶聞香』で1年間に1万人へ高級茶を提供してきて実感したことは、そのような歴史的背景とは関係なく、お茶を味わい、安らぎを得て、和を創りだすといった純粋にお茶を楽しみたいというニーズが大きかったことである。当初こそ起業は全く考えていなかったが、デザイナーという視点からお茶が本来有している魅力を“今”に合った形で発信できるのではないだろうかと起業を決意した。」と振り返っている。

ビジネスオーディションをきっかけにベンチャーキャピタルと出会う

創業時、資金を調達するために、吉本社長は、受賞特典である1500万円の融資を目的として、川崎市のビジネスオーディションへ応募しようとした。しかし、川崎市に本店を有することが応募の条件となっていたことから解決策を模索、そのような中で発見したのが、ベンチャー企業への支援の一環としてベンチャーキャピタル(新興企業等に投資を行う会社や組織、以下ベンチャーキャピタル)機能も有する株式会社ケイエスピー(以下、(株)KSP)であった。吉本社長が(株)KSPに電話をかけたところ、同社の現投資担当者である長谷川氏が応対、その後、(株)KSPが運営するインキュベーション施設の入居審査をクリアして川崎市に本店を構えることができた同社は、ビジネスオーディションで優秀賞を獲得、1500万円の融資を受けることに成功した。

ファンドの活用について

資金需要に対応した(株)KSPの支援

事業立ち上げに際して、吉本社長は、製造委託による高級茶飲料の販売を考えていたが、今までに無い製造手法であることから委託先が見つからなかった。また、(株)KSPも含めて自社製造を行っていくべきとの提言もあったため、メーカーとなることを決意。しかし、メーカーの道を歩むのであれば、当初想定していた運転資金のほか、多額の設備資金も手当てをする必要がある。そこで、(独)中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が出資し、(株)KSPが運営するKSP3号ファンドからの投資のほか、(株)KSPから別のビジネスオーディションや金融機関の紹介等の支援を受け、創業初期段階の資金調達に成功した。

吉本社長は、「我々が扱うのは清涼飲料水であり、お客様のお口に入るもの。したがって、食品衛生基準をクリアできる工場を設けることは必須であり、多額の資金が必要であった。このような状況の中で、我々と同じ目線でいてくれた(株)KSPさん、また各金融機関の助力もあり、設備資金を確保することができた。メーカーとしての位置づけは、結果として製造ノウハウの獲得・確保に繋がり、現在我々の大きな強みとなっている。」と述べている。

なお、「昨今ではインターネットで気軽に販売ができることから、衛生基準を疎かにして製造・販売を行う中小・零細企業も散見される。しかし、食品等の商材を扱うのであれば、衛生基準に沿った設備・体制を構築することは大前提であり、そのための投下資本も含めて事業化を検討すべきではなかろうか。世界のメーカーは、ワールドスタンダードでの衛生基準を取得しているため世界中どこでも売ることができるが、日本は衛生基準について出遅れている。」と吉本社長は警鐘をならしている。

外部から経営知識の習得

(株)KSPは、インキュベーション施設やファンド投資のほか、「KSPビジネスイノベーションスクール」という企業家人材を育成するためのスクール運営も行っている。吉本社長も同スクールの出身者であり、とりわけ人事戦略では組織運営から営業秘密の漏えい防止まで、実務に活かせる知識を得ることが出来たという。
また、中小機構においても中小企業の海外展開に関するセミナー等を多数用意しており、吉本社長も研修を受講され、値決めや商圏の確立・ブランディングの管理等の手法を習得され、香港やシンガポールに現地法人を設立する契機になったと振り返る。

今後の事業の展望について

同社が目指すゴールは二つ

同社の“ロイヤルブルーティー”は、創業以来、国内外で新たな“高級茶飲料”市場を創造、確固たるブランドを構築してきた。このような中で、吉本社長は、2016年の新社屋への移転を第二創業と位置付け、起業家から実業家へ向けた新たなスタート地点と捉えている。

具体的に、吉本社長は、今後のビジョンについて、「働き方改革によって、夜の接待から昼の接待への移行が進んでいる。また、夜の接待でもノンアルコールを嗜む場が増加傾向にある。5年先のビジョンでは、引き続き非日常のシーンをターゲットとして、レストランやホテル等の販路を今の3~4倍に拡大していくほか、式典における記念ボトルといったノベルティニーズの取り込み、直営店舗のさらなる出店を目指す。また、10年先のビジョンでは、香港やシンガポールに現地法人を既に設けてはいるが、本格的な海外展開と共に、日常のシーンにおける商品開発も考えていきたい。我々の確固たるゴールは二つある。一つはロイヤルブルーティーというブランドを世界屈指のトップブランドにするということ、もう一つは社会的ミッションとして日本産の日本茶、とりわけ緑茶について世界一の茶産地にすることである。」と述べており、今後のさらなる躍進が期待される。

吉本社長から起業家へのメッセージ

代表取締役社長 吉本 桂子

社長という立場は、自分の物差しに基づいて情報の真偽を確かめ、取捨選択を行い、意思決定をしなければなりません。したがって、事業を行っていくうえでは、自分の物差しを作り、“本物”を見極める目が重要であると考えております。例えば、自腹で高級レストランに足を運び“本物”なのかどうかを吟味する、といった取り組みを日々意識して行っていくことで、自分自身の物差しを形作られては如何でしょうか。
また、次に何が来るのか、先を読むことも経営者にとっては重要です。我々にあてはめれば、お茶の様式が変化する要因は何か・スパンはどのくらいかかるのかを捉えれば、新たな文化を築いていくために必要な時間や取り組みが予測できるようになります。法律、制度、世の中の仕組み、また過去の歴史といったことをしっかり理解しておくことで、先を読む力を養うことも重要であると感じております。

ファンドからの声

ロイヤルブルーティージャパン株式会社の事業の魅力

佐藤会長、吉本社長が同社を設立し、未開拓市場を自ら開拓し、市場を創設するに至りました。これまでの苦難、苦労を乗り越えてきた様子は、アントレプレナーシップ(企業家精神)に満ちた姿でした。創業時の経営理念の1つが「お湯で愉しむ茶文化と同様に、ワイングラスで愉しむ茶文化を創造し、日本文化として世界に発信する。」で、企業使命が「高品質茶[手摘茶]の生産技術の伝承の担い手になるため、高品質な茶飲料を普及させることにより、高品質茶の市場を創造する。」でした。10年後の今、その市場を創造し、実現しています。

まだまだ成長途上のベンチャーです。私たちとしても、彼らの描く10年先のビジョンの実現に向け、一層の飛躍に貢献したいと考えています。

株式会社ケイエスピー

2016年度取材事例
掲載日:2017年7月4日

  • この事例は取材した当時の内容をもとにとりまとめを行っているものです。
    従いまして、現在の企業様の事業内容等と異なる場合がございますので、予めご了承くだいますようお願いいたします。
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