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中小企業大学校サテライト・ゼミ with 公益財団法人栃木県産業振興センター宇都宮 とちぎ産業交流センター開催  研修体験取材レポート

研修の様子

女性の活躍が求められる時代背景を理解し、自分らしさを発揮してチームの力を高めるリーダーシップについて実践的に学ぶ2日間の「女性リーダー研修 【基本編】」が宇都宮で開催されました。

編集制作会社(株)リージョンで編集顧問を務めるライターの井上理江さんが体験受講した内容を、レポートしていただきます。

研修名「女性リーダー研修 【基本編】 自分らしさを発揮してチームに貢献する」(2024年1月30日・31日 全2回)

day1(1/30)テーマ「なぜ、女性活躍なのか? 自信を持って力を発揮するためのマインド醸成/セルフマネジメント力を高める/自分らしいリーダーシップを発揮する」

「無意識の思い込み」をグループワークで共有

アンコンシャスバイアスのグループワーク
アンコンシャスバイアスのグループワーク

今回の研修の受講者は定員を上回る17名で、宇都宮市、足利市、佐野市など栃木県の方がほとんどですが、茨城、群馬からの参加も見られ、女性リーダー研修への関心の高さが伺えます。講師の田中先生は「女性社員の多くはリーダーになるのを遠慮する一方、職場や会社を良くしたいと考えている」と語り「決定権を誰かに委ねるのではなく、リーダーになることが職場や会社を良くする方法の一つでは」と問いかけました。

「この2日間は、自分らしいリーダーシップを考える契機にして欲しい」という田中先生の言葉に続き、各班で自己紹介が行われました。どの班でも笑いが起きるなどすぐに和やかな雰囲気が生まれ、受講者の打ち解けるスピードの早さは先生も驚くほどでした。

午前は、女性の活躍によって新たなサービスや働きやすい環境が生まれた事例紹介の後、「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」についてグループワークが行われました。各自の思い込みを付箋に書き出してホワイトボードに貼り、班内で解決のアイデアを出し合います。「小さい子がいる人は残業できない」「若いからSNSが得意」「70代だから重い荷物は持てない」など、思わずうなずける言葉がボードに並びました。それらの横に解決策として多く添えられていたのが「コミュニケーションをとる」「まず伺いを立てる」といった言葉です。
 
「管理職は育児中の部下に配慮しがちだが、全員が仕事をセーブしたいわけではない。『きっとできない』ではなく、当事者同士で積極的に意識のすり合わせを行うことが大事」と田中先生。「アンコンシャスバイアスは誰もが持っているもの。否定するのではなく、考え方の『くせ』を自覚することが重要」という話も、印象に残りました。

自分に合う型は?多様なリーダーシップを知る

リーダーシップの型を互いにフィードバック
リーダーシップの型を互いにフィードバック

午後は「自分らしいリーダーシップを発揮する」がテーマです。リーダーシップにはカリスマ型、変革型、メンバーの感情に寄り添うEQ型、メンバーに問いかけるファシリテーション型、メンバーを支援するサーバント型の5タイプがあるとのこと。想像以上に多様で、今まで狭い視野で考えていたと気づきました。

各受講者が自分のリーダーシップの型を考えた後、班のメンバーがどの型にあてはまるかを考えるグループワークが行われました。付箋にリーダーシップの型と選択した理由を書き、読み上げながら渡します。どの班からも笑い声や「褒められることがないから嬉しい」といった声が聞こえ、皆さん楽しそうです。田中先生は「普段当たり前にやっていることに改めてフィードバックを受けると、自分らしいリーダーシップに気づくきっかけになる」とコメントし、1日目の研修が終了しました。

day2(1/31)テーマ「キャリアの棚卸・自己分析/チームの力を最大化する/理想のキャリアを考える」

「キャリアの棚卸し」で、人生の振り返りを共有

人生曲線を描くワーク。先生が各班を丁寧にフォロー。
人生曲線を描くワーク。先生が各班を丁寧にフォロー。

席替えが行われましたが、開始前から各班で談笑する風景が見られ、引き続き和やかな雰囲気で2日目がスタートしました。午前中に行われたのが社会人以降の自分の人生を振り返り、充実度を曲線グラフで表す「キャリアの棚卸し」です。

グループワークでは互いのグラフを見てフィードバックし合うのですが、初めて会う同士だからこそ率直に踏み込めるのではと思いました。他の受講者の話を熱心にメモする姿も多く見られ、他者の人生を客観的に見ることで、自分の人生についてもクリアに見えてくるのではないかと感じました。

午後のテーマ「チームの力を最大化する」では、人は役立ちたいという思いがあるので、「すみません」より感謝の言葉「ありがとう」と言われる方が幸福感が高まること、自分の仕事を円滑にするために上司をうまく動かす「ボスマネジメント」という考え方に感銘を受けました。

重視する労働価値を互いに深堀
重視する労働価値を互いに深堀

最後のテーマとなる「理想のキャリアを考える」では、田中先生が「1人を理想とするロールモデルではなく、色々な人から、いいところを少しずつ取り入れるロールパーツを見つけると良い」と言われ、さっそく実践できそうだと思いました。

続いて「達成」「能力の活用」「環境」など14の言葉から、仕事で重視する3つを選び、理由を深掘りして互いにインタビューするグループワークが行われました。田中先生は「考えを言語化するのが難しい若い人にもこのワークを活用してほしい」とアドバイス。最後に「皆さんの積極的な姿から、日頃から自身の役割などをしっかり考えていることが伝わってきた。引き続き、今後のキャリアを応援したい」という言葉で、2日間の研修が締めくくられました。

2日間の受講を終えて

立ち止まり、自分を客観視する貴重な時間

2日間を通じて感じたのが、受講者のコミュニュケーション力の高さです。「このメンバーなら仕事がうまく回るね」といった言葉がグループワークでよく聞こえ、前向きに交流し、学ぼうという意欲が伝わってきました。田中先生がこまめに会場内を回り、受講者と同じ目線に立って会話していたことも、和やかな一体感を作り出していたと思います。研修の中で「女性は自分の能力を過小評価しがち」という話もあったのですが、リーダーシップについて柔軟に考え、今回の研修により伸び伸びと自分らしく、リーダーシップを発揮していただきたいと強く感じました。

研修の冒頭、田中先生は「この2日間は自分にベクトルを向け、自分のために使う時間」と受講者に伝えていました。まとまった時間に自分と向き合えるこうした研修は貴重だと思います。普段、無意識に行っている行動や考えを明確化するのにいい機会でもあり、日頃忙しい女性リーダーや管理者候補の方ほど、得るものが大きいのではないでしょうか。
 

講師紹介(敬称略)

田中 美樹子(たなか みきこ)

田中美樹子

株式会社 Woomax パートナー講師

新卒で信用金庫に入社し、営業店で当座預金と国内為替を 3 年間担当。退職後はロジスティクス・証券・人材業界などで役員秘書や事務職として働く。異なる業界、職種の中で円滑に業務を遂行するためのコミュニケーション「話す力・聴く力」の重要性を実感し、2013 年国家資格キャリアコンサルタントを取得。その後は、コミュニケーション研修やマナー講師、 学生や社会人に対して面接における個別アドバイスやキャリアカウンセリングを行っている。

講師コメント

社命を受けて受講した方も多かったようですが、さまざまなワークに自発的に取り組まれ、皆さんの意欲の高さに大変感心しました。引き続き、内なる動機や自分らしさを活かせるリーダー像、社会の中でどう貢献したいかを考えるとともに、今回学んだことを部下や後輩にも伝え、人材育成や業務に積極的に活かしていただきたいと思います。私自身も、とてもやりがいの大きな2日間でした。

公益財団法人栃木県産業振興センターとのパートナーシップ

中小企業大学校と栃木県産業振興センターの連携は2018年から

公益財団法人栃木県産業振興センター 総務企画部 情報研修チーム チームリーダー 鈴木さん
公益財団法人栃木県産業振興センター 総務企画部 情報研修チーム チームリーダー 鈴木さん

研修企画を担当する総務企画部の鈴木さんにお話を伺うと「近年は女性の参加者が増えており、当センター女性職員の賛同も得たので、今回初めて女性を対象とした研修を実施しました」とのこと。
受講者が集まるか、最初は少し心配だったそうですが、定員の15名を上回り「終始とても和やかな雰囲気で、意欲的な姿が印象的でした。女性リーダーや候補者がかなりいらっしゃることもわかり、企画してよかったです」と鈴木さん。今後も同様の研修開催を前向きに検討しているそうです。

受講者インタビュー

受講者3名の方に、今回の研修について感想を伺いました

(株)カナメホールディングス (金属屋根の製造・施工などのグループ会社) 代表取締役社長 渡部さん
(株)カナメホールディングス (金属屋根の製造・施工などのグループ会社) 代表取締役社長 渡部さん

専業主婦を経て、21年前に父の経営する関連会社の代表取締役として就任しました。4年前にはグループ会社をホールディングス化しました。グループワークで「こんな会社にしたい」と思いを共有したところ、2日とも同じ班のメンバーに「渡部さんの会社に就職したい」と言われ、とても嬉しかったです。「人生の棚卸し」は過去を振り返り、今後の目標を明確にするのに役立ちました。アンコンシャスバイアスは自分の中にも、会社の社員にもあると思います。学びを活かしてさりげなく気づきを促したいと思います。

KOIDEJAPAN(株)(光学部品プラスチックレンズの開発製造(佐野事業所 経営管理部)) 笠原さん
KOIDEJAPAN(株)(光学部品プラスチックレンズの開発製造)佐野事業所 経営管理部 笠原さん

人事労務と採用担当で、2年前にグループリーダーとなり部員が3人います。今までは自覚がなかったのですが、リーダーシップのグループワークで「EQ型では」と言われたことは大事な気づきになりました。ボスマネジメントは「部下にもできることがあるのか」と印象に残り、明日からさっそく業務に役立てたいです。他の方から話しやすそうだとよく言われたので、それを強みに悩んでいる人に寄り添い、少しでも業務改善を進めていければと思います。

ムロオカ産業(株) (プラスチック成型品の開発製造) 本社工場 製造部スポイラー組立課リーダー 岡崎さん
ムロオカ産業(株) (プラスチック成型品の開発製造) 本社工場 製造部スポイラー組立課リーダー 岡崎さん

私は、2年前に自動車部品の組立工程で責任者となり、現在8人の部下がいます。今回の研修でアンコンシャスバイアスを学び、自分も相手も思い込みで判断することがあると感じ、互いに確認し合うことが大事だと思いました。男性が多い会社なので会議も女性は少ないですが、1回でも多く発言するよう心掛けたいです。また、「申し訳ない」ではなく「ありがとう」を増やそうという話もとても心に響いたので、さっそく会社で実践したいと思います。

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