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研修体験取材レポート 中小企業大学校虎ノ門キャンパス

研修の様子

時代が変わり、仕事が複雑化する中、
限られた時間を有効に使って生産性を向上させるには?
チームで確実に、成果を産む業務効率化について学ぶ2日間の研修
「実践的仕事管理術【基本編】」が、虎ノ門キャンパスで開催されました。

編集制作会社(株)リージョンの編集顧問を務めるライターの井上理江さんが体験受講して、
その様子をレポートしていただきます。

研修名「実践的仕事管理術【基本編】業務を効率化し、パフォーマンスの向上を目指す」(2023年11月21日・22日 全2回)

day1(11月21日) テーマ「成果に直結する仕事の進め方/時間の管理」

「仕事に時間」ではなく「時間に仕事」を割り当てるには?

班内の意見交換時はタイマーを表示

今回の受講者は、男性22名・女性6名の計28名で平均年齢は40.3歳。部長や課長などの管理者と、管理者候補がほぼ半々という構成です。6名3班、5名2班の5つの班に分かれて着席し、朝9時から研修がスタートしました。

最初に、講師の平井先生が言われた言葉が「時代が変わっても時間の価値は変わらない。だからこそ仕事のやり方を見直すことが大事」です。「必要なことは仕事の全体像を捉え、各業務の価値の高低を理解すること。それによって、時間をより『濃く』使える」という話から、成果に直結する仕事の進め方をテーマに、午前の研修が行われました。

驚きつつも納得したのが、4人に対して4.5人分の業務がある場合、1人増やすと業務は5人分に膨れ上がる「パーキンソンの法則」です。「仕事に時間を割り当てると、無尽蔵に仕事は膨張する」と平井先生。「かけた時間イコール成果」という考え方を抜本的に見直し、「仕事に時間を割り当てる」のではなく、「時間に仕事を割り当てる」発想が必要という話には思わず、深く頷きました。同じ思いを抱いた受講者も多かったのではないかと思います。

具体的な行動としては、時間内にできるだけ多くの仕事をするのではなく、大切なことを確実に成し遂げることで「やらないことを決めるのも大事」という言葉が印象に残りました。業務活動は「投資」「生産」「運営・管理」「浪費」の4つに分けられ、生産に次いで重視されるのは運営・管理です。しかし「この時間を圧縮し、現状を改良する投資活動を増やすことが、結果的に生産性向上につながる」とのこと。単に効率を上げるのがゴールではなく、効率を上げたことで生まれた時間をどう使うかを考えるべき、という話で午前の研修は終了しました。

「時間泥棒」を洗い出し、対処を考えるグループワーク

付箋に書いた「時間泥棒」をタイプ別に分類

午後は、午前の学びの実践編として時間管理のグループワークが行われました。タイトルはずばり「時間泥棒を退治せよ!」。仕事中、自分の時間を奪われると思うものを個人で付箋に書き出します。それをホワイトボードに貼って各班内で共有し、タイプ別に分類して退治方法をみんなで考えます。

各班とも非常に活発に意見が飛び交い、ホワイトボードに貼られた「時間泥棒」の内容も分類方法も班ごとにかなり異なり、面白いと感じました。ユニークなのが、代表者による発表形式ではなく、美術館で展示された絵を見るように、他の班の、ホワイトボードを順繰りに回覧する共有方法です。自分の班との発表内容の違いがわかり、どの班も、他の班のボードの前で話が弾んでいました。

作業後は他の班のボードを回覧

平井先生のコメントで印象的だったのは「時間を作るにはある程度、人に任せること。その際は期待を手放す努力も必要」「人に何かを伝える場合、遠慮は不要。必要なのは、自分も相手も大事にする配慮」という2つです。どちらも深い内容であると感じました。

続いて、自分の業務について非効率な原因と効率化を考えて一つ一つシートに書き、班内で共有するワークが行われました。書き込んだシートは研修資料で終わらず、会社に持ち帰って、実務に直接役立てることができるので実利的だと感じました。最後に班内で今日の感想を述べ合って1日目の研修は終了となりました。

day2(11月22日) テーマ「計画の管理/成果の創出・成果の管理」

製造、コスト管理など「仮想会社」で成果を生む

各班の「社長」が決定した社名を発表

席替えが行われた各班では、研修の開始前から名刺交換する姿があちこちで見られ、交流に前向きな受講者の姿勢が伝わってきました。昨日は座学が中心でしたが、「今日はグループワークがメインで、仮想の会社で仕事をしてもらいます」と先生。各班を会社に見立て、実際に手を動かして、みんなで「あるもの」を製造します。

そして品質チェック、コスト管理や利益計算などについてPDCAを回し、3期分の事業を1日かけて行い、業績を競うのが今日のタスクです。まずは各班の中で社長を選び、会社名を決める会議からスタート。各班とも冒頭から意見が飛び交い、ワクワクしている感覚が伝わってきます。

そして「事業」が始まり、第1期、2期、3期と、各期ごとに反省を社内で共有し、次の期に生かす目標を立てます。ネタバレになってしまうので詳細は省きますが、期を追うごとに目標のハードルが上がり、各社が「成長」していくのがわかりました。経営会議は基本的に15分間で、ちょうどいい長さだと感じました。

第1期を始める前の経営会議

最後の振り返りでは、この経験を自社の仕事にどう生かすか考え、班内で共有しました。様々な業種の受講者が仮想とはいえ同じ会社で働き、互いの感想を聞くことは、新たな視点をもつことにつながり、実務にも役立つのではないかと感じました。

最後に平井先生は「多様な個性は尊重されるべきだが、それを活かして役割分担し、1つの目標に向かわないと頑張れない。自分の立場で何ができるかを考えてほしい」とコメント。「研修で得たことを現場に活かす際には、自分だけが熱くても伝わらないので適温でじわじわ広めていけるよう、うまく持ち帰って欲しい」という言葉で、2日間の研修が締めくくられました。

2日間の研修を終えて

効率化を考えるにはまず「業務の棚卸し」から

時間管理については「目からウロコ」の話が多く、集中力を保てる時間は基本的に45分、訓練しても2時間が限度とのことでした。メール返信などその場でやれば10分で終わるものが、先送りすると30分かかり「自分で自分の時間を奪う」という話も、とても響きました。目先の仕事に追われず、少し先を考える時間を、意識して作り出さなければと痛感させられました。

研修も時間管理がきちんとされていて、ほぼ予定通り進行しました。とはいえ厳格な印象は全くなく、班内の議論が弾んだら数分延長するなど、柔軟な時間配分が適宜行われていました。先生が「この研修も事前に計画しているから、状況に合わせて時間調整ができる。計画を立てるのは自分を安心させることでもある」と言われていたのが印象に残りました。

自分の仕事に関しても作業を効率化する便利なツールが色々生まれていますが、「時間泥棒」は常に新たな形で登場してくると感じています。その場しのぎで対応するより、一度立ち止まってしっかり「業務の棚卸し」をしてから対応を考えた方が、結果的に仕事の効率は上がると感じました。時間の価値や目標を明確化することの重要性を改めて見直すとともに、受講者の活発な交流を目にして、多様な業種の方達が同じ場で学び、異なる視点を共有することの意義を感じました。

講師紹介(敬称略)

平井 彩子(ひらい さいこ)

平井 彩子(ひらい さいこ)

株式会社平井彩子事務所代表取締役 中小企業診断士

システム開発、コンサルティング会社を経て 2012 年に独立。人事評価制度の構築・運用、業務の改善を通じた組織活性化を主軸に活動。最近は、働き方改革、ダイバーシティ推進に向けた活動も多く、小手先の業務改善ではなく、従業員と経営者の意識改革をもって企業が自走できる仕組みづくりから組織支援を実施。研修やセミナーは年間平均 100 日登壇し、個人の成長を支援。

コメント

受講者の皆さんの反応がとてもよく、グループワークは常に活気がありました。ワークも中途半端に終えず、しっかり書き切る方がほとんどで、皆さんの意欲の高さを感じました。業務の効率化は単に作業時間を短縮することではなく、まず目的を明確にすることが重要です。ぜひ、会社でも実践していただければと思います。「改善の道筋がわかった」「時間管理の考え方を改めた」などの感想もいただき、自分の仕事を見つめ直すいい機会になったのではないかと思います。

受講者インタビュー

受講者3名の方に、今回の研修について感想を伺いました。

(株)エス・デー (トリックアートの制作)企画制作部部長代理 アートディレクター 小松さん

小松さん

制作者と管理者の二つの立場があり、一人で抱え込みがちなことは自覚していましたが、今回のように業務を棚卸しすると、それが客観的にわかりました。人に引き継げる業務を改めて精査したいと思います。投資活動の時間をいかに増やすかという話はとても参考になりました。2日目のグループワークでは十分説明したと思っても伝わっていないことがあり、その反省を社内の若手育成に活かせればと思います。人が集まれば当然エラーも多くなるので、それを前提とした対処方法を事前に考えておくことも大事だと思いました。

穴水(株)(潤滑油等の石油製品を扱う商社)総務経理部係長 川崎さん

川崎さん

「時間に仕事を充てる」という話を聞いて私は自然に実行していると思いましたが、時間管理が苦手で残業しがちな部下へのいい説明材料をいただけてありがたかったです。「遠慮と配慮は違う」という話はとても心に刺さりました。私はあえて遠慮しないよう努めていますが、部下の個性や人間性に配慮する大切さを実感し、気持ちに寄り添って接したいと思いました。こうした研修は2、3回受けていますが、仕事にとどまらず自分の人生を考える上でも勉強になると思いました。

(株)ヤマギシ(縁日・景品玩具等の総合卸問屋)デザイナー 髙安さん

髙安さん

今年、新卒で入社し新人研修以外では初めての研修です。新人研修の時は本配属前だったので仕事にどう生かせるか曖昧でしたが、今回は新商品の画像を加工してホームページにあげる自分の仕事と照らし合わせ、足りない部分などを振り返ることができました。具体的に活かせると思ったのが「終わりの時間を決める」というお話です。1つ1つの作業時間を決めて積み重ねれば、全体の時間が短縮できると気づき、これからはより主体的に考えて行動できそうだと思いました。

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