「コロナ禍でますます必要とされるIT支援事業」 佐本 耕平(1997年4月入構)/氏家 永史(2011年4月入構)

中小機構本部で働く佐本さんと氏家さんは、2019年にスタートしたITプラットフォーム事業を担当しています。

様々な現場に関わってきたお二人のこれまでの経験と、コロナ禍で需要が増えているIT事業について伺いました。

全ての部署が企業支援につながっている

―最初に、中小機構に入った経緯を教えてください。

佐本:
私は滋賀県出身で、大学進学と同時に東京に出ました。大学院まで土木工学・建設工学を専攻して都市計画を学んだ後、1997年に中小機構の前身組織の1つである地域振興整備公団(以下、地域公団)に入団しました。
氏家:
私は千葉県で育ち、大学では福祉政策や町づくりを勉強しました。当時、父が新しく会社を立ち上げたのを見て、経営支援の大切さを感じ、2011年に中小機構に入りました。

―入構後、どんな事業に関わってきましたか。

佐本:
地域公団は今の中小機構とは業務が異なり、日本の地域振興を目的に主にニュータウンや工業団地を造成・販売する業務を行っていました。私は入団当初、工業団地を造成するための計画を担う部署におり、その後、関係省庁に出向しました。
出向期間を終えて戻ったところ、地域公団がベンチャー支援に取り組もうとしていたため、今度は、ベンチャー支援を行う民間会社に出向。
支援の現場では日々、社長とお話をする機会がありました。夜間や休日にオフィスを訪ねると、経営者がたった一人で、思い悩んだ顔をしている姿を何度も目にしました。
その時に「我々が手伝えることはたくさんある」と実感したんです。それから、ベンチャー企業の立ち上げや経営支援の業務に10年程度携わってきました。
氏家:
私が入ったのは東日本大震災の年で、当時は被災地支援事業で機構内がバタバタしていました。最初は総務課へ配属され、そこで様々な業務を担当しました。
特に印象的だったのは、本部ビルの節電の調整です。各部署を回って蛍光灯の消灯箇所を増やしてもらうよう依頼するという、少し気を遣う業務でした。
当時の佐本課長の部署にも依頼をしに行ったんですけど、課長は快く調整してくださって。「管理部門にも協力していただける、紳士的な方だな」と感じました。
佐本:
そんなことあったかな、覚えてないけど(笑)。総務の1年目は庶務的な仕事が色々とあって忙しいんですが、氏家さんは前向きに動いている印象がありましたね。
氏家:
機構に入った当初は、現場と関係なさそうな管理部門がどれだけ重要なことをしているか、全く知りませんでした。しかし、管理部門があるから事業部門が動きやすくなっていると理解するようになり、今は「中小企業支援につながっていない部署なんてないんだ」と実感しています。
佐本:
組織である以上、外に向かって業務を行う部署と様々な管理を行う部署の両方が必要です。中小機構の業務全体が、総合的な支援につながることで、社会に役立つ組織になるんだと思います。
2011年といえば、私は震災の数か月後に岩手県の沿岸部に入り、仮設事業所を作るプロジェクトに従事しました。当時は町全体ががれきの山で、何もない状態。その中に仮設の事業所がぽつぽつと立ち上がり町のようになっていくのを見て、復興の礎を築く一助になれたのかなと感じました。印象的な年ですね。
氏家:
そうだったんですね。私の方は、2年目から専門家派遣事業に移り、販路開拓支援や海外展開支援などに関わりました。
実際に中小企業支援の現場を見ることができ、入る前に重要だと感じていた金融や補助金支援だけではなく、事業者に必要な情報を届けたり、町の賑わいを取り戻すイベントを計画したりと、ソフト面の支援も大切なんだと気づきました。
その後、中小企業大学校で中小企業診断士を取得し、中小企業庁への出向を経て、2018年から本部のIT事業を担当しています。

企業や関係機関へ時代に合わせたIT情報を提供

―現在、お二人が取り組まれているITプラットフォーム事業について教えてください。

氏家:
近年政府は、「中小企業へのITツールの導入促進」を目標に掲げてきました。中小機構もこの動きを受け、多くの企業にITツールを使ってもらうためのプロジェクトを推進しています。
その一環として、2018年に「ここからアプリ」という、中小企業向けに業務用アプリケーションを紹介する情報サイトを作りました。中小企業にとって、使いやすいITツールを探すのは手間がかかる作業。そこで「ここからアプリ」は、必要な情報をシンプルにまとめてお届けすることをコンセプトにしています。
当時、私はサイト制作やIT導入政策に関する知識がなかったので、外部の知見ある方々に意見をいただきながらプロジェクトを進めていきました。
2019年にはITプラットフォーム事業が立ち上がり、そこからは佐本課長と一緒にユーザーの利便性向上のためのヒアリングを行いながら、サイトのリニューアルを行いました。
佐本:
我々のいる経営支援部には、企業を直接支援する企業支援課や、全国の支援者をサポートする連携支援課などがあります。ITプラットフォーム事業は連携支援課で担当しています。
支援者とは、金融機関の担当者や税理士、中小企業診断士といった士業の方々、さらに商工会議所など、地域で企業の経営支援をしている人たちのこと。「ここからアプリ」は事業者だけではなく、そういった支援者に向けて「IT導入をどう支援していけばいいか」を伝えるコンセプトも持って運営しています。
「ここからアプリ」では新しい情報を都度更新している

「ここからアプリ」では新しい情報を都度更新している
 

佐本:
大勢の人が閲覧するサイトにどういう情報を載せればいいか、ヒアリングを重ねる中で様々な意見が出てきました。全部を取り入れることはできないので、うまく集約しながらまとめることに頭を悩ませましたね。
中小機構の業務はどの場面でも、自治体や支援者といった関係者がいるので、多方面とコミュニケーションを取りながら進めていくことが重要だと思います。

―コロナ禍が起こる前と後では、どのような変化がありましたか。

佐本:
コロナ禍以降、中小機構に対する支援のニーズは増えています。IT事業に関して言うと、もともとITツールに対する企業のハードルは近年下がっていると感じていました。その動きに拍車をかけたのが、コロナ禍以降、多くの企業で始まったテレワークです。また、業務を効率化するITツールの導入も、以前より当たり前になりました。
氏家:
加えて、オンラインショッピングの需要が大きく増えたため、小売り業でもECプラットフォームとの連携や自社サイトの構築が必要になってきました。
「ここからアプリ」でも、テレワークや非接触型ビジネスモデルの特集を組むなど、時勢に合わせて掲載する内容を変化させています。4月~6月の緊急事態宣言下、それらの特集のアクセスは特に伸びました。

―新規の事業を担当した感想を教えてください。

氏家:
最初はITに関する知識がなかったので大変でしたが、新しいことを吸収しながら仕事ができることは楽しいです。
判断に迷った時は、佐本課長がどんな状況でも手を止めて話を聞いてくれますし。普段は任せてもらえる部分もありながら、要所要所で必ず判断を示してくださるので、とても円滑に仕事ができています。
佐本:
自分が若手の時を振り返ると、けっこう好き勝手やっていたんですよ(笑)。今の若い職員にも、基本的には思うようにやってもらいたい。チームの責任者として、進むべき方向性だけは共有することを心掛けているので、メンバーには「やってみたら」と言っています。

必要なのは向上心と変化への適応力

―中小機構で働くことの魅力を教えてください。

氏家:
政策的な視点を持った支援の制度設計から、現場での直接支援まで、幅広い事業に関われることです。色々なテーマに取り組めるのは、機構ならではだと思います。
2~3年ごとに異動があるため、人間関係も流動的で風通しがいいですし、何度も転職したかのような新鮮な気持ちで働けます。他部署から仕事が分からない状態で異動してくるケースが多いため、「教えてあげよう」という文化があるのもいいですね。
佐本:
大学で勉強している学科はもちろん、色んな経験が役に立つ組織だと思います。ただ多くの事業を担っている分、入ってから新しい知識をインプットする姿勢も必要です。
氏家:
機構の専門家の中には、大企業で重要なポストを経験した方もいて、そういった人達と一緒に仕事ができ、色々と教えていただけるのも貴重な経験ですね。
以前、民間企業から出向してきた方に「機構の仕事はがんばればがんばるほど喜んでもらえる。そういう仕事は多くないんだよ」と言われたことが印象に残っています。

―今後の目標を教えてください。

氏家:
まずは「ここからアプリ」をたくさんの方に使ってもらいたいです。アクセス数などの数字だけに左右されることなく、多くの事業者や支援機関の方に「知ってるよ」「使ってるよ」と言ってもらえるよう、本当に役に立つ情報とは何かを考えながら商品を磨き込んでいこうと思います。
佐本:
私は管理職として、与えられたミッションをより良くすることを考えながら、組織に求められる人材でありたいと思っています。どの事業でも、いい雰囲気で仕事をしていきたいですね。

―最後に、中小機構で働きたいと思っている人にメッセージをお願いします。

氏家:
現在、中小企業と中小機構内のデジタル化が、大きなテーマとなっています。ITやデータ分析など情報系に知見のある方は、知識を活かすチャンスが多いと思います。
また、中小企業の経営環境は日々変化しますし、中小機構の業務内容も多岐にわたるので、変化に柔軟に対応できる方は楽しく仕事ができるんじゃないかと思います。
特にお伝えしたいのは、「中小企業の役に立ちたい」という思いを持った方に来てもらいたいということです。公的機関なので、震災やコロナ禍などの有事では、仕事が優先になります。時には、つらくなることもあるかもしれません。
それでも「中小企業支援がしたい」という気持ちを支えに、苦難を乗り越えることができる方と一緒に働きたいと思っています。
佐本:
中小機構は、世の中を俯瞰的に見ながら業務を行う側面の強い組織です。向上心を持ち、公的な立場で「世の中を少しでも良くしたい」という意欲のある人は、ぜひ門を叩いてもらいたいです。