ライフサイエンス分野で先進的な成果を創出してきた京都で研究開発型ベンチャー企業の成長を支援するインキュベータ

2022年 3月 31日

クリエイション・コア京都御車外観

京都市中心部に立地し、徒歩圏内に京都府立医科大学、京都大学吉田キャンパスが隣接するクリエイション・コア京都御車には、ライフサイエンス分野のベンチャー企業が多く入居しています。とくにiPS細胞の発明に代表される再生医療創薬分野で、先端研究から生まれた大学発ベンチャーを多く擁するインキュベーション施設として、産官学のネットワークと連携して企業の成長を支援しています。(2022年5月取材)

インキュベータ概要

バイオベンチャー育成拠点として設置

クリエイション・コア京都御車は、国の産業クラスター計画「関西バイオクラスタープロジェクト」、京都府の「京都ウエルネス産業コンソーシアム」、京都市の「京都バイオシティ構想」を推進するため、地域の企業が持つ技術力や京都大学をはじめとする地域の研究機関が持つ知的資産を活用して、大学発ベンチャーの起業化及び中小企業等の新事業展開を支援し、新事業の創出を促進するとともに、地域社会へ貢献することを目的として設置された。

入居対象者の特徴

健康、環境、ライフサイエンスなどのウエルネス産業分野で新たな事業展開を図る個人、ベンチャー企業、中小企業が多く入居している。研究のビジネス化を図る研究者、学生、大学等の有するシーズ等を活用し、新技術の開発及び事業化を目指す大学及び公的機関といったPoC前の入居もある。

特徴的な支援活動内容

オール京都によるサポートネットワーク

ベンチャー企業からグローバル企業へと成長した研究開発型の起業実績も多い京都の地から、国際競争力や付加価値の高い産業を継続的に創出するために、国、京都府、京都市はもとより産官学連携によるオール京都でのサポートネットワークが充実している。インキュベーションマネージャーは連携機関との情報共有を密にして、入居者の状況に合わせた資金・人材支援や研究開発・販路開拓・経営支援などハード、ソフト両面での多様なサポート施策をコーディネートしている。

起業家マインドを支える優れた立地

京都市の河原町今出川、鴨川河畔に立地する同施設は、京都大学や京都府立大学に近接しており、これらの大学発ベンチャーはもとより研究開発型ベンチャーにとって、共同研究や技術指導を受けやすい立地にある。一方、独立した施設であることから営業秘密など企業としてのプライバシーも保全しやすい。

また交通至便な市街地にありながら、鴨川や大文字山を望む景勝に優れており、起業家の心身をリフレッシュできる抜群の環境に恵まれている。閑静な住宅地に立地する施設であり、運営面では景観への配慮、地域居住者とのコミュニケーションを大切にしている。

主な入居企業の概要

  • リバーセル株式会社
    Rebirthel ロゴ

    がん治療も様々な治療法が開発されているが、リバーセルは免疫細胞を活用した製剤療法の事業化を目指している。

    患者のT細胞を取り出して遺伝子改変を加えてから患者に戻す方法は、ある種のがんに有効であるが、そのような「自家移植」法は、高価であり時間がかかる等の問題がある。リバーセルは京都大学医生物学研究所河本宏教授の研究成果を基に、事前に製剤を用意し、誰にでも投与できるような「他家移植」で使えるT細胞を作る技術を開発し、がんや感染症のような免疫関連疾患に対する新しい治療法を提供することを事業目的に2019年10月に設立された。

    T細胞とは血液中の白血球の成分の1つであるリンパ球の一種であり、T細胞は、キラーT細胞とヘルパーT細胞の2種類に大別される。キラーT細胞は、ウイルス感染細胞やがん細胞を殺傷し排除する機能を持っている。

    多能性幹細胞であるiPS細胞は、様々な組織をつくる能力を持っていることから、リバーセルはiPS細胞等の多能性幹細胞からT細胞を再生し、大量にキラーT細胞を作製することで他家移植によるがんの治療に用いることを目指して開発している。T細胞を自在に操作できれば、がんだけではなく、感染症、自己免疫疾患、アレルギーなど、免疫が関わるあらゆる病気を治すことができるようになると考えている。

    リバーセルは、京都から「病気になったらT細胞製剤を点滴して治す」という時代の開拓を目指して事業化に挑戦している。

  • iHeart Japan 株式会社
    iHeartロゴ

    拡張型心筋症は、原因が完全に解明されておらず、心臓移植以外に根治と言える水準の治療法がない。しかし、国内で実施される心臓移植は年間に50件程度で、重篤な心不全患者の大多数が心臓移植を受けられていない。iHeart Japanは、再生医療によってこの問題を解決することを目指している。

    iHeart Japan では、iPS細胞から作り出した心臓や血管の細胞を用いた、心不全を治療する再生医療等製品の開発や、医薬品の開発に使うリサーチ・ツールの販売を行っている。主力の開発品であるIHJ-301は、iPS細胞から分化させた、心筋細胞、内皮細胞、壁細胞の三種類の細胞を混合し、シート状にしたものを、特許技術により何枚も積み重ねた多層体を重症心不全患者の心臓に直接貼り付けることで、心機能改善が見込める。

    2018年4月にはクリエイション・コア京都御車内に細胞培養加工施設を設置し、2019年3月には厚生労働省から特定細胞加工物を製造する許可を得たことで、再生医療に用いられる細胞製品の製造を行うことが可能となった。

  • トレジェムバイオファーマ株式会社
    ToregemBioPharmaロゴ

    トレジェムバイオファーマ株式会社は2020年5月に生まれた、京大発スタートアップベンチャーである。京都大学歯科口腔外科髙橋克准教授(研究当時、現:公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院歯科口腔外科主任部長)の研究成果をもとに世界初の歯の生える薬の開発を目指している。

    先天性の歯の欠損には、先天性無歯症と部分無歯症がある。6本以上の永久歯が生えてこない先天性無歯症は原因遺伝子がいくつか知られており、部分無歯症は、むし歯などの治療のために小児歯科を受診したときにたまたま発見され、10%の人に発症すると報告されている。後天性の歯の欠損はむし歯や歯周病などによる歯の喪失であり、1本以上の歯を失っている人は日本では60歳以上で年間4,300万人を超えている。

    髙橋先生はマウスでの実験結果から、USAG-1タンパクを薬で不活性化することにより、先天性・後天性の歯の欠損を、歯を生やすことによって治療できる可能性を見出した。歯の欠損に対する自己歯再生薬(歯の生える薬)を開発し、自分の歯で長く咬めるようにすることで健康寿命の延伸に貢献していく。

これからのインキュベータ

現在は、IM室の5名のスタッフ全員で入居者支援を行っている。当施設は京都大学、京都府立医大発の化学系及び細胞を含む生物系材料に関する先進的な技術を基にした中小ベンチャー企業が多く入居している。とくに創薬、再生医療に関する事業が多く、急速に変化する本分野の世界的な動向を把握し、機構や地域支援機関の支援メニューと連携して、入居企業の事業化促進を行い、新産業構築を含めてその成果による社会貢献を目指していきたい。


支援スタッフ一同

インキュベーション施設

クリエイション・コア京都御車