持続可能社会を目指して地域コミュニティ通貨の可能性を探る北大ビジネス・スプリング入居企業

2020年 2月 20日

コミュニティ通貨アプリc.c.ウォレット

千葉県で決済サービス事業を展開する株式会社ジィ・シィ企画は、中小機構の北大ビジネス・スプリングにR&D拠点を置き、北大や北洋銀行などとともに地域コミュニティ通貨の研究コンソーシアムに参加して活動しています。

2019年6月の北大祭で行われる「コミュニティ通貨Do(ドゥ)」の実証実験を前に、地域コミュニティ通貨のねらいなどをお聞きしました。(2019年6月取材)。


お話
株式会社ジィ・シィ企画 (北大ビジネス・スプリングに入居中)

事業戦略企画室 大橋 明努 氏
R&Dセンター長  石黒 昌彦 氏

地域通貨の開発に取り組む目的はなんですか

きっかけは弊社会長の金子がNHKで西部忠専修大学教授(北大名誉教授)の取り組みを偶然知ったことでした。会長は福島県出身で、地域通貨が震災後の地域活性化やコミュニティ形成に役立つのではないかと考えました。弊社はこれまでクレジットカードの決済システムを開発してきましたが、地域通貨への取り組みは新たな社会インフラ構築へのチャレンジとも言えます。

2019年2月に西部先生を会長とする「持続可能性社会のためのコミュニティ通貨研究コンソーシアム」を立ち上げました。コミュニティ通貨はグローバル経済の進展に対して、地域社会と個人の幸福の両立を目指す通貨であり、現在はその可能性を実証試験している段階です。

今回はどんな実験をするのですか

北海道大学で開催される第61回北大祭(2019年6月7-9日)で、来場者に専用アプリから「地域コミュニティ通貨Do(ドゥ)」(以下、Do)を体験してもらいます。来場者は出展者との取引でDoを集め、150Doを支出するとバランススクーターに試乗できます。また、地元農家から提供いただいた市場に出回ることのないプチトマトとアスパラガスを、来場者の気持ちに沿った額のDoで購入できます。

今回は約10の出展者がDoの付与に協力してくれます。また参加者は場内で使えるクーポンやシークレット企画の情報を得られるほか、感想などを出展者に届けることができます。弊社はコンソーシアムの他の入会企業と共同開発した専用アプリ「C.C.Wallet」の操作性などを中心に検証していきます。

日本銀行の発行する円との共通点や相違点を教えてください

北大祭
北大祭で実証実験

モノやサービスの流通取引の媒体であるという点は共通しています。相違点の一つはコミュニティ通貨は管理する中央機関(コンソーシアム)が設定した下限値を超えない範囲であれば、マイナスからでも取引が可能なことです。つまり、Doをまったく保有していなくても150Doを支出してバランススクーターに試乗することが可能です。この時のDo残高はマイナス150Doとなります。そして他者にモノやサービスを提供することで100Do、50Doを受け取ることも可能です。

モノやサービスの価値は当事者間で合意して決めるという形で考えています。例えば、ある日は雪かきを200Doでお願いしましたが、悪天候の日には300Doで取引することになるかもしれません。

見えない価値を流通させたい

今回、地元農家の方にご提供いただくプチトマトやアスパラガスは、既存の社会システムでは流通することなく廃棄されています。しかしコミュニティ通貨を通じて価値が認められれば、廃棄されることなくモノやサービスが流通し、ひいては地域活性化やコミュニティ形成につながると考えています。

他にも子供のお手伝いで流通させることはできないか、小学生の特技を評価できないかなど、企画次第ではこれまでの円の流通では見えなかった新たな価値を流通させられるのではないかと期待しています。

参考情報

インキュベーション施設

北大ビジネス・スプリング