神戸医療産業都市でビジネスの成長を支援するインキュベーション施設

2020年 1月 30日

HI-DEC外観
神戸健康産業開発センター外観

神戸健康産業開発センター(HI-DEC/ハイデック)は、神戸医療産業都市構想の中核施設の一つであり、主に医療、健康、福祉関連分野で新たな事業展開を目指すベンチャー企業等に対して、神戸市のポートアイランドの集積機能を生かし、国や神戸市、地元支援機関等とも連携しながら事業活動をサポートするインキュベーション施設です。(2019年12月取材)

インキュベータ概要

神戸医療産業都市の特徴

神戸産業都市空撮画像
神戸医療産業都市空撮
(写真提供:(公財)神戸医療産業都市推進機構)

HI-DECの立地する神戸市のポートアイランドは神戸市の神戸医療産業都市構想の下、「市民福祉の向上」、「神戸経済の活性化」、「国際社会への貢献」を目的に、先端医療技術の研究開発拠点として整備され、今では日本最大のバイオメディカルクラスターとして知られている。

現在では約350の先端医療の研究機関、高度専門病院群、企業や大学が集積し、当施設も理化学研究所の発生・再生科学研究センターや分子イメージング科学研究センターに近接し研究開発、事業化に適した環境を提供する。

HI-DECの概要

HI-DECの各居室は全室ウェットラボ仕様となっており、排水施設・中和処理施設・セキュリティセンサー・緊急シャワー等を設置。

創薬研究をはじめ、バイオ関連のベンチャー企業が多く入居し、生化学実験や物理化学実験等が可能で、少ない初期投資ですぐに事業を開始することができる。また、周辺には大学も多く、国際都市としての歴史背景からグローバルな人材にアクセスしやすいこともメリットの一つである。

当施設は神戸市、神戸医療産業都市推進機構、中小機構が一体となって運営しており、他機関とも連携したきめ細かいサービスを提供している。また、半径2キロメートル圏内にホテルや会議場があるだけでなく、公共交通機関も整備され、空港や新幹線へのアクセスも抜群となっている。

支援活動内容

HI-DECには中小機構のインキュベーションマネージャー(IM)の他、(公財)神戸医療産業都市推進機構からの支援スタッフ等が常駐し、製薬企業での医薬品開発や産官学連携などのバックグラウンドを活かして、交流会や勉強会の開催、マッチング、広報などの幅広い支援を行っている。

交流会やイベントを開催

HI-DECカフェの様子
HI-DEC caféの様子

HI-DEC入居企業と、近隣の企業や研究機関の研究者とのネットワーク構築を目的として、2ヵ月に1度「HI-DEC café」を開催している。同イベントは毎回、企業や研究者が講師となり、事業内容や研究内容をプレゼンテーションした後、お茶を飲みながら気軽に参加者同士が情報交換ができる場として毎回多くの方が参加している。この他にも、外部講師による再生医療や国の医療政策、サポイン活用などをテーマとした「HI-DEC講演会」や、同じく中小機構が運営するMEDDEC(神戸医療機器開発センター)との「MEDDEC×HI-DEC交流会」も年2回開催。「MEDDEC×HI-DEC交流会」は神戸医療産業都市推進機構の医療イノベーション推進センターで開催しているイベントで一般参加も可能。第1部は医療・ヘルスケアを中心に、研究者や企業による各専門分野の講演やMEDDEC・HI-DECの入居企業の紹介を行い、第2部は交流会を開催する。

企業の課題に合わせた支援を実施

北村CIM画像
北村CIM

HI-DECのIM室は入居企業に対して、個別にマッチングや広報活動、補助金を含む資金調達の支援などを行っている。

  • マッチング

    入居企業の課題に合わせてその分野の専門家などを自身のネットワークを活用し紹介。マッチングの際にはIMも同席し、入居企業をサポートしている。また、毎年10月にパシフィコ横浜で開催されるバイオビジネスのマッチングイベント「Bio Japan」に中小機構ブースを設けており、審査を通過した入居企業は無料で出展することができる。

  • 広報

    化学工業日報などと連携し、入居企業をメディアに紹介。新聞記事やテレビ番組などメディア露出の機会創出を支援している。

  • 資金調達

    地元の銀行や日本政策金融公庫、ベンチャーキャピタルなどへの紹介から、補助金の申請書作成のアドバイスなど各企業に合わせた支援を実施。

入居者の声

  • オンコリスバイオファーマ株式会社
    オンコリス株式会社

    同社はウイルスの遺伝子改変技術を活用した新規がん治療薬や検査薬の開発を行っている。2004年に創業し、HI-DECには、その立地条件、ウェットラボ仕様の居室、中小機構の支援体制、リーズナブルな賃料に惹かれて2015年1月に入居した。内装を整えて希望通りのラボ・オフィスとして活用しており、多目的室などを無料で使用できる点にも満足している。

    IM室ではどんな事でも気軽に相談したり、定期的に開催されるCaféで入居企業や神戸進出企業、各種団体と有用な情報交換ができている。Bio Japanの中小機構ブースに無料で出展できる支援があり取引の拡大に繋げている。HI-DECを通じたメディア取材も活発でテレビや新聞などによる情報発信もできている。

  • 株式会社chromocenter
    株式会社chromocenter

    医療用細胞(再生医療など)・医薬品生産細胞の評価やオリジナルCHO細胞を用いた物質生産の開発などを行う。鳥取大学発ベンチャーとして2005年に創業し鳥取県内のラボで研究開発を行っていたが、事業拡大に伴い2014年にHI-DECに入居した。入居後も何度かHI-DEC内でオフィスを拡張してきたが、今年からスタッフの増員を進めていることもあり、2020年秋にHI-DEC卒業を予定している。

    このように事業拡大できたのはHI-DECのおかげだと感じている。HI-DEC caféなどの交流会・勉強会で知見を広めることができただけでなく、これまでつながりのなかった分野についても、マッチング支援によりその分野の専門家を紹介してもらうことができた。マッチングの場にIMも同席してもらえたことも大変心強かった。

  • 住友ベークライト株式会社
    住友ベークライト株式会社

    同社はプラスチックに機能を付与して幅広い分野に展開している。10年前に新規事業として、糖鎖精製キットの販売や糖鎖受託測定サービスに着手することになり、生体サンプルの取扱いに必要なBio Hazard Level 2(BHL2)対応のウェットラボを探していたところ、HI-DECを見つけ入居した。

    入居してからはHI-DEC caféなどの情報交換の場の提供やマッチング支援による専門家の紹介など、様々な支援を受けることができた。新製品をプレスリリースした際には、メディアの取材をセッティングしてもらえるなど、広報面での支援も入居してのメリットだと感じている。

これからのインキュベータ

支援スタッフ一同
支援スタッフ一同

HI-DECには中小機構や(公財)神戸医療産業都市推進機構のIMなどが常駐し、入居企業が安定的に成長できるようになるまで、資金調達や販路開拓、マッチングなどの支援を行っている。昨今は医療・健康の分野にも、IoTやAIなど幅広い分野の専門知識が必要とされつつあるため、マッチングによって入居企業を支援する余地は大きい。「HI-DEC café」やMEDDECとの「MEDDEC×HI-DEC交流会」、ヘルスケア分野におけるデジタル技術への理解や人材交流を深めるための「デジタルヘルス人材交流セミナー」の開催など、人や情報との出会いの場を提供してきたが、こうした支援は引き続き行っていく。

また、これからの超高齢化社会を見据えると、医療・健康の分野はますます重要となり、未病・予防やセルフヘルスケアといった新しい市場の成長も予想される。神戸医療産業都市において、医療産業の集積地という立地と同施設の強みを生かして新しい時代に求められる企業として更に発展していただけけるよう支援していきたい。

インキュベーション施設

神戸健康産業開発センター