医工連携・ライフサイエンスビジネスの育成を応援するインキュベータ

2019年 9月 10日

NALIC施設外観
名古屋医工連携インキュベータ外観

名古屋医工連携インキュベータ(NALIC/ナリック)は、3大学(名古屋大学・名古屋工業大学・名古屋市立大学)をはじめとする地域の大学が有する医工連携・ライフサイエンス分野の技術シーズ・人材などの蓄積を活かし、大学発ベンチャー、中小企業などの育成を行うことにより、新事業・新産業の創出を図り、地域産業の活性化を目指す大学連携型起業家育成施設です。(2018年8月取材・2019年9月更新)

インキュベータ概要

名古屋地域の特徴

中小機構中部(インキュベータの運営、支援スタッフ専門家派遣)名古屋市(賃料補助、支援スタッフ派遣)名古屋大学、名古屋工業大学、名古屋市立大学(共同研究・各種支援協力)中部経済産業局(各種支援施策・協力)名古屋商工会議所(産業振興協議会)愛知県(各種支援協力)
NALICの支援体制

名古屋地域は、戦前から現在に至るまで、自動車・航空機・工作機械・セラミックスなどを中心に、ものづくり産業がさかんな地域である。

また、当地域は、名古屋大学、名古屋工業大学、名古屋市立大学をはじめとする大学や、公的研究機関が多数立地しており、医療技術・細胞・遺伝子・食品・ものづくり技術などの潜在的技術シーズが存在する。

このような状況のもと、ものづくりの技術やノウハウを有する企業と、潜在的技術シーズを有する大学・研究機関が連携する「医工連携」を推し進め、医療機器・創薬・再生医療・健康食品・健康機器などのライフサイエンス分野の新事業創出を図るため、 NALICが整備された。

NALICの概要

NALICでは、常駐する IM(インキュベーションマネージャー)が、中部経済産業局、愛知県、名古屋市などの行政機関やさまざまな支援機関と連携の上、会社設立、ビジネスプラン作成支援、大学などとの連携、販路開拓、資金調達支援、技術的問題解決のサポートなど、経営・技術の両面から入居企業の目標達成を強力にバックアップしている。施設は、ライフサイエンス分野に対応可能なウェットラボ(実験室)を中心とした居室で構成されており、生化学実験(BSL2/P2レベルまで)が可能となっている。

特徴的な支援活動内容

NALICでは、ヘルスケア産業への参入支援や経営課題の解決を支援するための多彩なセミナーを行っている。以下、こうした支援活動や入居企業の一部を紹介することとしたい。

ヘルスケア産業参入の支援

セミナーの様子
セミナーの様子

中部地区の医療機器開発を促進するため、医療機器開発を目指している大学・研究機関、ベンチャー企業などを対象に、「PMDAレギュラトリーサイエンス総合相談【医療機器】出張面談in名古屋」を開催している。また、医療機器開発に関わるコーディネータや支援者を対象に、「医療機器伴走コーディネータ研修」を開催している(いずれも、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の協力のもと実施)。 その他、ヘルスケア産業参入を目指す地域の中小企業などに向けては、参入のヒントとなるセミナーも開催している。

定期セミナーを開催

入居企業の事業化達成に向けてさまざまな経営課題の解決を支援する一環として、セミナールームで定期的に「NALICビジネスセミナー」を開催している。テーマは「ビジネスマナー」、「人材育成」、「事 業化のポイント」、「資 金調達(投 資・融資)」、「助成金獲得」、「知財活用」、「展示会出展ノウハウ」など多岐にわたる。

主な入居企業の概要

  • 株式会社ヘルスケアシステムズ
    株式会社ヘルスケアシステムズ ロゴ

    名古屋大学農学部発ベンチャー。大学で培われた研究データと検査技術に基づき、産学連携によって予防・健康増進に特化したバイオマーカー(検査指標)及び検査装置の研究開発を行っている。また、その技術を活かし、生活習慣を見直すための一般向けの郵送検査サービスを事業展開している。今後、測定技術をさらに改良し、従来法と比べて圧倒的な低コストでの未病検査の実現へ向けた研究開発を進めていく。なお、株式会社ヘルスケアシステムズは、「2018年度はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれている。

  • 株式会社生命科学インスティテュート(旧:株式会社Clio)
    株式会社生命科学インスティテュート ロゴ

    Muse細胞は、2010 年に東北大学の出澤真理教授らのグループにより発見された細胞で、脂肪、骨髄や皮膚(真皮)などの体内に元々存在し、体を構成するさまざまな細胞に分化できる多能性幹細胞である。入居当初は株式会社Clioとして研究開発を行っていたが、2015年5月に株式会社生命科学インスティテュートが子会社化。その後、吸収合併の上、株式会社生命科学インスティテュートがMuse細胞を用いた再生医療製品の研究開発事業を本格化し、臨床試験も開始。現在はNALICを卒業して川崎市殿町に新設した製造拠点に移転。

これからのインキュベータ

支援スタッフ一同
支援スタッフ一同

次世代産業として成長が見込まれるヘルスケア産業振興に向けて自治体・各大学・各支援機関とも連携しながら入居企業の事業化をサポートし、健康寿命の延伸に貢献する企業を排出していくことはもとより、地域の中小企業・ベンチャー企業に対しても、ヘルスケア産業への参入支援、医療機器開発に役立つ情報提供や相談会の開催、コーディネータの育成イベントを通じ、幅広く支援していく。

NALICは今後も「ヘルスケア産業の事業化促進・交流拠点」として、自動車・航空機などの輸送機器製造産業が突出した中部エリアにおいて、そのものづくりのポテンシャルを医工連携分野に活かした産業を創出するとともに、創薬・再生医療・機能性食品などのバイオ産業も育て、中部エリアの産業構造の多様化にも貢献していきたい。そのために、業界動向、市場動向を素早くキャッチし、医療分野におけるM&Aや、中小・ベンチャー企業と大手企業との戦略連携の橋渡しを行い、入居者及び地域支援企業のスピーディーな成長、事業化に注力する。このような活動を通じ、医療分野における新たな産業育成を担うイノベーションハブとして機能することで、地域経済への貢献と発展に寄与していく。

インキュベーション施設

名古屋医工連携インキュベータ