下請け脱却を目指し自社製品の開発・販売を手掛けるベンチャー企業

2015年 4月 1日

テスト風景

3Dスキャナ開発及び3Dアプリケーション技術の開発・製造により、下請け企業から自社製品の販売を目指すベンチャー企業「株式会社ノア」取締役・北海道技術開発センター長の長枝氏にお話を伺いました。

インタビュー

お話:取締役 北海道技術開発センター長 長枝 浩 氏

起業、会社のおいたち

会社設立の経緯をお聞かせください

取締役 北海道技術開発センター長 長枝 浩 氏

当社は1993年に組込みソフトウェアの設計をする企業として設立しました。中堅印刷機メーカーがガリ版印刷からデジタル印刷機開発にシフトしていく際にお声掛けいただいたことがきっかけでした。今でも組込みソフトは当社事業の中核であり、この中堅印刷機メーカーとは継続的な御取引があります。

3Dスキャナを開発したきっかけはなんでしたか?

私は2013年に社長に就任しました。丸谷家八代目、丸八製茶場の六代目になります。伝統を重視するというよりは時代や環境に応じて業態が変わってきたということだと認識しています。高度成長期には海外の安い茶葉を輸入して加工する大量生産・大量販売であったと聞いておりますが、祖父が社長、父が専務の時代に当社にとって大きな変化がありました。

創業者の太田社長は会社を設立した以上は自社製品が欲しいと考えており、以前からそのチャンスを窺っていました。その一連の調査活動の中で、警察において、犯人の足跡は石膏で流し込んだものを証拠として保管しているが、これらをデジタル情報で残したいというニーズがあることを掴みました。当時、当社には3Dスキャニング技術は無かったため、以前から社長と仕事上の関係があった私に相談がありました。私は、3Dスキャナ光源の開発経験があり、また、大手電機メーカーで光通信機器の開発を行い、その後ベンチャー企業の役員として開発に携わってきた経験がありました。お話をしているうちに、社長の情熱に心を動かされて当社で第二創業を目指すことになりました。

事業の展開と現在

3Dスキャナ事業立ち上げは順調に進みましたか?

結果として、必要な精度が予想以上に厳しかったことから、犯人の足跡情報のデジタル化は事業にはなりませんでした。しかし、この時の開発コンセプトである「デジカメ感覚で使用できる3Dスキャナ」が、その後の製品開発の指針として確立されました。そして完成した3Dスキャナが「Hapimo:3D」です。現在は3Dデータを活用したアプリケーションを開発している研究者や企業に販売しています。この一連の開発で、理想を追求した製品・事業が100%完成しなくても、そこまでで得られたことを活かして製品化・事業化すれば良いということを学びました。

Hapimo:Handy-Portable-Instant-Modeler

事業立ち上げで御苦労されたことはなんでしたか?

われわれは下請け企業でしたので最初は非常に苦労しました。開発ってなんだろうということから始まりました。新しいものを創造していく仕組みやルールもありませんでした。もちろん営業もいませんでした。大企業なら当たり前の機能が下請け企業にはないんです。3Dスキャナの開発を始めてから従業員の意識がだいぶ変わりました。それが一番の成果です。

事業立ち上げの際に工夫されたことはありましたか?

社内での打合せの様子
社内での打合せの様子

一番大切なことは多くの方のご協力を得たということだと感じています。技術的な面では鹿児島大学や北海道大学と共同研究をしています。3Dスキャナ製品化に当たっては、北海道立総合研究機構・工業試験場でアドバイスもいただきました。北海道経済産業局の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)も3Dスキャナの製品開発、用途開発で活用していますし、中小機構が主催する新価値創造展(2014年東京、2015年大阪)にも出展させていただきました。

そして、これから

今後の展望について、どのようなことに取り組みたいとお考えですか?

今は製品の認知度を高めて、Hapimo:3Dを活用したサービス・事業を開発していく段階です。既に複数の機関から医療機器、酪農、製造現場といった分野に活用できないかという相談があり共同研究も進んでいます。中小機構の販路開拓コーディネート事業にも採択されテストマーケティングを実施する段階まで来ています。

従業員9名の内、6名が3Dスキャナ事業を担当しています。一方、この事業の売上高はまだ2割程度です。3年後には、売上高の8割が3Dスキャナ事業となるように頑張りたいです。それが社長への恩返しだと思っています。

インキュベーションの利用

入居のきっかけ

当初は工業試験場のインキュベーションルームで3年間研究開発を実施。その後、前職時代から知っていた北大BSへ申込みを行いました。

入居しての変化

北大BSを北海道技術開発センターと位置づけ、3Dスキャナの開発を継続。試行錯誤を経て2014年6月に前述のHapimo:3Dの販売を開始することが出来ました。

入居してよかったこと、将来の入居者へのメッセージ

施設も新しく、気持ちよく過ごせている。IMが相談にのってくれるなど支援が充実しており、特に創業したばかりの方にとっては非常に使いやすい施設ではないでしょうか。

会社情報

会社名
株式会社ノア 
代表取締役
太田 初
所在地
  • 本社:茨城県つくば市並木3-17-6
  • 北海道技術開発センター:北海道札幌市北区北21条西12丁目2 北大ビジネススプリング
事業概要
  • 組み込みソフトウェアの受託
  • アプリケーションソフトウェアの受託
  • 光学機器製造の受託
  • 3Dスキャナ開発及び3Dアプリケーション技術の開発・製造

会社略歴

1993年3月 株式会社ノア設立
2010年1月 3Dスキャナ開発に着手
2010年6月 札幌市に北海道技術開発センターを開設
2011年1月 サポイン(戦略的基盤技術高度化支援)事業採択
2013年9月 北大BSに入居
2013年11月 「ビジネスEXPO2013」へ出展
2014年11月 「新価値創造展inTOKYO」中小機構ブース出展
2015年5月 「新価値創造展inKansai」中小機構ブース出展

製品紹介

Hapimo:3D

hapimo

デジカメ感覚で誰でもすぐに使える3Dスキャナ「Hapimo:3D」。従来の大型3Dスキャナでは出来なかった簡単、瞬時の3Dスキャンを可能にした製品である。

Hapimo:Handy-Portable-Instant-Modeler

担当マネージャーからのコメント

同社は、一言で言い尽くせない様々な出会いが織りなす人間模様で現在の事業に至っています。

ですから事業推進上欠かせない人間力が同社の強みであり、技術を支える原動力であります。そしてこの技術。生産性の更なる向上が求められる畜産分野、建設分野での課題解決に寄与することが期待されています。

機構では、個別企業マッチングの機会を提供することを中心にニーズの深耕を図りつつ顧客拡大の継続支援に努め、同社の目標達成に少しでもお役に立てればと思っています。

北大ビジネス・スプリング(北大BS)
チーフIM(インキュベーションマネージャー)松居 正道

インキュベーション施設

北大ビジネス・スプリング