小規模事業者支援ハンドブック
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124第5章 地域資源を活用した商品開発とマーケティング支援それでもこの様な企業は全体から見ればわずかしかありません。それでは、その他の地域資源活用企業はどうすれば良いか。答えは、何より「中小企業の強みはその専門性にある」ことを理解することです。商品の尖がりレベルはそれほどでも、専門性を活かした提案を顧客(バイヤーを含みます)にどれだけできるかが重要です。勿論、その提案は一方的な押しつけでは成功しません。客観的に見てほどほどの商品なのに、「当社の商品はこんなに良いのです」と押し付けられるほど、相手にとって嫌なことはありません。良い提案を行うには「相手の事情を十分に理解する」ことが重要です。商談会で相手が決まっている場合には、相手先の売場を研究し、競合(競合店、競合商品)を見極め、品揃えや販売方針(ターゲット)を理解したうえで、交渉に臨むことが大切です。商談相手の売場をろくに見ないで売込みをするほど失礼なことは無いでしょう。例えば食品スーパーの場合、採用に当たっては既存の商品より良い商品であるのは当然ながら、相応の利益が確保できる、消費者にとって使いやすい、売り手にとって扱いやすい(陳列、関連販売が容易など)などのニーズがあることを十分に理解しておく必要があります。(3)三方良しかどうかここで言う三方とは、地域資源活用企業(売り手)と顧客(買い手)と社会(世間)を指します。中小企業の行う新商品開発は、作ったは良いが、採算性に係る計算が甘く、売れても儲からない、というケースは決して少なくありません。商品の原価は主に材料費や労務費(及び外注費)に加え、工場光熱費や施設・設備の償却費からなり、これに販売管理費や借入金の支払利息が掛かってきます。その工場が1つの製品しか作らない場合、その計算は容易です。しかし、たくさんの種類の製品を作る場合、しかも同じラインで作る場合、ある特定の商品に係る会社のコストを把握するのは支援者が考える以上に大変です。さらに、販路開拓を行っていくと当初想定していなかった手間暇が多くかかることに気づきます。それは販売先とのコミュニケーション時間であったり、書類のやり取りであったり、場合によっては包装の手間が余計に掛かったりもします。また原材料の調達価格が上がっても売価に転嫁できなかったりもします。売れても儲からなければ、顧客(買い手)だけが良くても、企業(売り手)、社会(世間)は一向に良くならない。地域資源活用は国の施策であり、補助金は謂わば国が地域に行う「投資」であることを支援者は十分に理解しなければいけません。補助金を受けた企業には、しっかりと儲かって頂き、地域に雇用面、投資面、納税面のいずれか、若しくはその全てで還元してもらわないといけません。それには、しっかりと採算が計算できる企業かどうか、が重要なのです。

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