20190315
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中小企業へのメッセージ中小企業は日本の土台だ早川茂 日本経団連副会長に聞く地域の企業市民に応援団づくりを「ひとづくり」極める経営埼玉県行政書士会 中小企業支援セミナー四国でいちばん大切にしたい会社大賞四国産業技術大賞受賞各社を表彰未来の街づくり技術集結総合展に万人超NREと商談会開催 今年度のインタビュー連載、経済界トップによる「中小企業へのメッセージ」。アンカーは日本経団連副会長の早川茂氏だ。日本を代表する製造業・トヨタ自動車の副会長を務め、温厚誠実な人柄で知られる。リーマン・ショック前後の米国駐在など自身の経験を踏まえつつ、中小企業の経営者へエールを送ってくれた。 トヨタ自動車は仕入先の約3分の1が中小企業だ。仕入額全体でも1割弱と大きな存在感を占めている。仕入先とは長期安定的取引の中でともに成長する「育成購買」を実施しているが、とくに中小規模の仕入先とはていねいなコミュニケーションと協力関係の下で原価低減に取り組み、その成果を適正に分かち合っている。 中小企業は日本の経済・社会を支える土台であり主役だと考えている。高い技術力や優れたノウハウを有し、品質や納期に対する信頼性が高い多様な中小企業の集積が産業の基盤になっている。日本がグローバルにやってこられたのは、中小企業という土台があったおかげであり、この基盤を弱くしてはいけない。中小企業が元気であることが日本経済全体の活力につながると思う。 中小企業を元気にするにはどうすれば良いか。まず考えられるのが、海外進出だと思う。輸出競争力があるのに輸出をしていない中小企業は多いのではないか。縮小する国内より、成長する海外に販路を広げることが、日本の繁栄にも結びつくだろう。 IT投資も重要だ。米国などに比べるとこれまでの日本のIT投資は大企業も含めてかなり遅れていたと言わざるを得ない。情報化投資は生産性の面でも人手不足対策の面でも有効だ。 私は2007年9月に米国統括会社、トヨタモーターノースアメリカの社長として9年4月まで米国に駐在した。赴任直後にリーマン・ショックが起こり、ゼネラル・モーターズがチャプター(米連邦破産法第条)を申請し、トヨタも生産調整をしなくてはいけなくなった。従業員みんなが「トヨタはどうなる」と心配したが「雇用は守る」と宣言した。日本のトヨタ本体と同じで、守っていく優先順位がはっきりしていたのでブレなかった。 海外ではどこでオペレーションしようが、その地域社会の企業市民として認めてもらえるためにどうするかということはとても重要なことである。民間企業に対する期待値は地域によって違うが、ここはいい会社だねと思われるようにやっていかないといけない。 駐在時代、現地の中小企業、特にスタートアップの野心的な経営姿勢に圧倒される思いをしたことをよく覚えている。日本の中小企業も起業家精神を存分に発揮して新たなチャレンジに取り組み、大企業にも刺激を与えてほしい。また、中小企業がマイノリティの活躍の場になっていたことも印象に残っている。トップの目が社内の隅々まで届く中小企業は、女性や高年齢者などが輝く舞台になれるだろう。 一方で、中小企業は規模の小ささゆえに、資金調達や人材確保、事業承継など様々な側面で外部環境の影響を大きく受けやすいのではないか。 こうした課題には適切な政策的支援が必要だ。中小機構をはじめ国が、相談はもとより融資や税制、助成金など様々な支援を実施しているので、より有効に活用されればと思う。経団連も、各ブロックの経済連合会と連携協定を締結し、地方の中小企業の技術やノウハウを大企業とマッチングさせる取り組みを進めているので利用してほしい。 これまでの経験から言えるのは、困難を克服するには日ごろからの応援団づくりが大事だということ。困難はいつでも急にやってくるが、応援団がいれば困難のレベルが違ってくる。社員、取引先、地域社会、メディアも含めステークホルダーと日ごろのコミュニケーションを密にしてネットワーキングを広くしていく。同業者とは率直な意思疎通を行い、地域に対しては地元のイベントへの参加や学校への支援などを通して、地域社会への貢献に努め、発信する。こういうことをトップが日ごろから意識してやれば、社員みんながそういうマインドを持つ。ステークホルダーと安定的な信頼関係が築ければ、いざという時に応援団になってくれるはずだ。 昭和、そして平成の年を経て、ビジネス環境の変化のスピードは桁違いに速くなってきているし、これからもっと速くなるだろう。今や変化はあたりまえで、その変化を予見して備えることだ。 (談)はやかわ・しげる氏 年東大経卒、トヨタ自動車販売(現・トヨタ自動車)入社。広報部長、常務から年トヨタモーターノースアメリカ社長、年専務、年オリンピック・パラリンピック部統括を経て年副会長。同年5月から日本経団連副会長、経団連アメリカ委員会・通商政策委員会委員長。神奈川県出身、歳。(4)第1236号2019年(平成31年)3月15日(金曜日)ひとづくり経営を語る小川代表大盛況の会場石原氏(中央)の記念撮影商談会の様子 埼玉県行政書士会は2月日、さいたま市中央区の新都心ビジネスプラザで中小企業支援セミナーを開いた。「行政書士の日」記念事業として、経営者が抱える課題解決の気づきとなる情報提供が目的。埼玉県産業振興公社が共催、関東経済産業局などが後援した。 冒頭で挨拶した埼玉県行政書士会の荒岡克巳会長は「企業の創業時に関わるだけでなく、その後の支援などにも力を入れていく。地域密着の行政書士として中小企業支援に全力で取り組む」と語った。 基調講演は福岡市東区でクリーニング店を展開するプラスアルファの小川行治代表取締役が「ひとづくり経営」に向き合う現状と、その成果などを説明した。同社は大手チェーン店が価格競争を繰り広げるクリーニング業界でホテル向けを中心に高収益を実現し、現在も順調に業績を拡大させている優良企業。小川氏は「笑い声が絶えない楽しい職場で団結力が自慢だが、ここまで来るのには紆余曲折があった」と社員を大切に安心して働ける職場づくりにかけた経緯を話した。 現在の社員人のうち人が障害を持っており、知的障害者が人、身体障害者が6人、精神障害者が4人。この体制で365日時間営業を行い顧客ニーズに対応するオンリーワンブランドを確立したという。小川氏は、ひとづくり経営の心構えとして①忍耐力を養う②仲間(社員)を大切する③目的と目標を明確化する―などの手法と、その上で仕事を楽しむ工夫が必要だと強調。売上高の確保では他社との差別化と自社ブランド化で高収益が必ず確保できると話した。 さらに社員との接し方のノウハウと、易しいものから難しいものへと資格取得を進めることで自信をつけさせるなど、多能工を育成し社員一人ずつを戦力化する人材育成法を伝授。「安定した売り上げがなければ人材育成ができないとする経営者が多いが、売り上げ増に集中すれば人材育成はできない」と述べ、経営も人づくりもトップ次第で成し遂げられると結んだ。 次に経営コンサルタントでフォレスタ経営の森尚子代表取締役が、動画マニュアルを導入したスマホ時代の新人育成のポイントと動画作成のエッセンスなどを紹介した。 未来の街をつくる技術・製品を集めた日本最大級の展示会「街づくり・店づくり総合展」(主催・日本経済新聞社)が3月5日から4日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた。建材や店舗向け商材などを幅広く網羅する同展には1300超の企業・団体が出展。建築・デザイン飲食店関係者ら万人超が訪れ、盛況となった。 後藤木材(岐阜市)は「杉・桧圧密フローリング」を出展した。柔らかくて傷がつきやすいため土足で立ち入る施設の床材には不向きとされるスギとヒノキ材をプレス技術で%に圧縮することで、一般的な床材であるナラやブナなどの広葉樹より硬く、耐久性が増す同社の独自技術で、地域資源の有効活用策にもなる。宮崎県小林市の市庁舎や岩手県陸前高田市の市立図書館などでは同技術が活用されているという。末竹亘圧密事業グループ課長は「地域材の地産地消に貢献したい」と語った。 フォトクラフト社(大阪市淀川区)は、防災・減災に効果的な不燃極薄両面プリント広告メディアを出展した。一般的な塩化ビニール製のプリントメディアと異なり、ガラス繊維を素材に用いているため燃えにくく、塩化ビニールのように伸縮しないため反り返りも少ない。厚さ0・㍉㍍の素材1枚だけで遮光性を発揮し、表裏両面に印刷しても互いに裏写りがしない独自技術を開発して特許も取得したという。田中康弘専務取締役は「これまでは商業施設を中心に展開してきたが、今後は安全な建材としての知名度向上に努める。防災・減災という社会貢献になる環境づくりに役立ててほしい」と話した。 四国産業・技術振興センター、中小機構四国本部などで構成する四国地域イノベーション創出協議会は2月日、高松市のかがわ国際会議場で、2018イノベーション四国顕彰表彰式を開催し「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」と「四国産業技術大賞」の受賞各社を表彰した。四国でいちばん大切にしたい会社大賞は四国経済産業局長賞にパル技研(高松市)、中小機構四国本部長賞はヴァンサンカン(松山市)と義農味噌(愛媛県松前町)の3社に授与された。 同顕彰制度は企業が抱える課題解決を四国の総合力で支援するもの。四国でいちばん大切にしたい会社大賞は8回目。四国産業技術大賞は回目となる。 中小機構四国本部長賞を受賞した自然療法サロン運営のヴァンサンカンは、子育てや親の介護をしながら働けるシフト制の活用や託児施設の確保など、個々の事情に配慮した働き方への対応や顧客満足を確保している点が評価された。石原美良子代表取締役は「社員が変わるにはトップが変わる必要がある。今後も社員とともに改善を進めていく」と述べた。 味噌製品等の製造販売を行う義農味噌は、経営理念委員会の設置や、先輩社員が新入社員をマンツーマンで指導する「ブラザーシスター制度」などを実施している点が評価を得た。田中正志代表取締役は「社員と共に幸福を共有し、食を通じて社会貢献できるように精進したい」と語った。 「四国産業技術大賞」と四国産業技術大賞の受賞企業は次の通り。 ▽産業技術貢献賞=ポルテ(香川県東かがわ市)▽革新技術賞最優秀賞=金星製紙(高知市)▽同優秀賞=西染工(愛媛県今治市)▽技術功績賞最優秀賞=アプロサイエンス(徳島県鳴門市)、ADSムラカミ(香川県高松市)、同優秀賞=太陽(高知県高知市)▽奨励賞=光永産業(愛媛県伊予市)、マルトモ(同)、東光(徳島市) 中小機構東北本部は2月日、仙台市青葉区の同本部で認定事業者向け販路開拓支援商談会を開催した。飲食品販売の日本レストランエンタプライズ(NRE、東京都台東区)の協力で、参加事業者に商品改良や販路開拓に向けた助言を行うのがねらい。東北地域の食品会社など社が参加し、商談を展開した。 商談会は1組あたり分の個別商談会で、NREの仕入れや調理部門の担当者も加わって新たな駅弁に盛り込む食材や調理法について熱心に話し合った。 参加者からは「相手が特定された商談は効率的で的を絞った提案をすることができた」「NREから仕入れや販路拡大が期待できそうだ」「大変有意義な商談になった」と好評だった。終了後の参加者アンケートでも全社が「大変役に立つ」「ある程度役に立つ」とした。

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