20170115
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よろず支援拠点相談者が語る活用例吉左右(愛媛県八幡浜市)「八幡浜の味」商品化へ差別化支援 ギフト市場狙う きっ   そ   う愛媛県よろず支援拠点関原雅人コーディネーター地域活性に資する支援経営者の認識向上を情報セキュリティガイドライン改定IPA「地産〝他〟消」を後押し海外展開応援セミナー 愛媛県内4カ所で中企庁などセキュリティ意識が最重要サイバー犯罪対策 警視庁専門家が解説虎ノ門セミナー早めのプラン策定を事業承継支援 実務家向け中小機構「パンの缶詰」で国際貢献TIP*Sでイベント ビジネスと両立新産業創出支援をアピールD―egg開設周年記念フォーラムベンチャー発想法の講演も7【吉左右】▽代表=廉田勝夫氏▽所在地=愛媛県八幡浜市保内町川之石1――3(☎0894・36・0988)▽設立=1996(平成8)年▽事業内容=日本料理店経営、八幡鯛を活用したレトルト食品の製造 フードコーディネーターの立場で地域の特産品を商品化する取り組みを支援しました。商品の発想段階から加工、資材の選定、デザイン、販促、販路支援まで地元の関係者の皆さんと一体化し進めた試みです。 初めての相談から商品化まで、わずか8カ月の速さ。地域に食品加工の設備があったこと、商工会をはじめ市役所や漁協などの迅速な連携体制が構築できたことが要因だと思います。それぞれが担う役割をきちんと果たしたことも大きい。もちろん廉田さんの熱意が原動力です。 よろず支援拠点としては、地元での資材調達を基本として、デザイン面や法的な対応などステップごとのアドバイスを行いました。販促に関わることはデザイナー層が厚い愛媛県よろず支援拠点の強みを十分に発揮できたと自負しています。 八幡浜市の特産品を使った商品化が、地域活性化に資する展開となりました。〝支援冥利〟に尽きる取り組みでした。 愛媛県の西岸に位置する八幡浜市は、鯛の養殖が盛んな地域。豊後水道の流れが赤潮の発生を防ぎ、品質の良い養殖鯛が生産されている。ここで生まれたブランド真鯛として知られている「八はち幡まん鯛だい」は、八幡浜の自慢の逸品であり、すべての人を唸らせる高級魚だ。 この切り身を炙り、旨味を身に閉じ込め、鯛の出汁と鰹と昆布の出汁とを合わせて袋詰めしたのが、日本料理・吉左右の「鯛めしの素」。研いだお米とともに炊飯器で炊くだけで日本料理店の鯛めしが味わえる。八幡浜市周辺で唯一の本格的な日本料理店である吉左右では、これまで、お客の要望に応え自家製の「鯛めしの素」を土産用として扱っていた。 経営者である廉かど田た勝夫氏()は地元出身。高校卒業後に調理師学校に通い、神戸市で料理人としての腕を磨いた。独立を計画していた1995年、阪神・淡路大震災に遭い、2年後に帰郷し地元で料理店を開く。それから年になる。 企業関係者の接待用として安定的な顧客がつき、地域イベント向けの仕出し弁当なども数が出て経営は安定していたという。だが、地域施設の減少に伴いイベントが減り、さらにリーマン・ショックの影響で企業関係の客足までが細る。「時代の流れに身を置いていたらじり貧になるだけ。何とか対策を講じなくてはと思い3年ぐらい前から商工会で相談していた」と廉田さんは語る。 保内町商工会経営指導員の浜田和夫氏は廉田さんと旧知の仲。「アイデアはあったが、なかなか妥協しない職人気質が壁になり具体化へ進展しなかった。そんな時、鯛めしの素の案が出て、よろず支援拠点に持ち込んでプロの目でみてもらおうと思った」と浜田さんは愛媛県よろず支援拠点への依頼経緯を説明する。昨年3月のことだ。 コーディネーターの関原雅人氏との面談では、「鯛めしの素」を本格的に販売するため他の商品と差別化する工夫、価格設定や加工にあたる必要な営業許可などを確認することが話し合われた。「店舗内の製造は許可されないことが分かり加工場が必要になったが、加工設備を持つ八幡浜漁業協同組合が運営するシーフードセンター八幡浜が引き受けることになり問題は解決した」という。 同センター加工部次長の清原健氏は「地元の会社が何社も関わるだけに応援する気持ちが強くあった。最終商品化は当センターが行うので製造者となり、商品の幅を広げることにもなる」と話す。 こうして6月には試作品が完成。製造許可を保健所に申請し、賞味期限などの検査を依頼するなど、商品化はスムーズに進んだ。密閉容器を包むのは高級感を出すため黒の巾着袋とし、それに貼る商品シールは地元の印刷会社に依頼。デザインはよろず支援拠点がチェックした。 月末に商品が完成。2合用1080円、3つ入った木箱入り3780円として、八幡浜のフェリー乗り場に隣接した店舗で販売を開始。木箱入りは、ふるさと納税の返礼品にも採用された。シーフードセンター八幡浜の販路開拓を担う八幡浜市地域おこし協力隊の橋本歩氏は「月に大阪で開かれた販売会では、試食品が絶賛された。用意した袋は完売した」と人気の高さを語る。 吉左右は廉田氏が1人で切り盛りしており、ホームページ対応までは手が回らない。通販は近所で愛媛みかんのネット販売を手掛ける青果会社が行う。商品化は8機関・社が関わった。その中心に愛媛県よろず支援拠点があった。 「鯛めしの素」に続き「鯛の南蛮漬け」「鯛の旨だし」も商品化し月中旬に販売を始めた=写真。 「切れ目なく売れている。夏にはそうめん用の鯛汁を出したい。アイデアが次々に浮かぶ」と廉田氏は意欲的に語る。地元産の鯛を使った日本料理店の味が自慢。「鯛めしの素の販売は出足好調」という廉田氏(店舗内で)(3)第1184号平成29年1月15日(日曜日) 情報処理推進機構(IPA)はこのほど、情報を安全に管理するための具体的な手順を示した「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を改定、公開した。主な改定は、セキュリティ対策で最も重要な意思決定者である経営者がその重要性を認識するための「経営者編」を新設したほか、専門的知識がない実務担当者も実践できるよう具体的手順を示した「管理実践編」を改編した。ガイドライン改定は7年ぶり。今後、商工団体や士業団体、IT(情報技術)関連団体などと連携し、各地のセミナーなどを通じて周知していく予定。 IPAは一昨年3月、中小企業の情報セキュリティに関する調査報告書を公開。そこではアンケートの結果、対策を向上させるために必要とされることの最多が「経営者への情報セキュリティ意識向上」だった。これを受けて今回のガイドラインで新設した経営者編では、なぜ取り組む必要があるのかに力点を置き、取り組まない場合の経営面への影響、法的・道義的責任について解説。経営者が認識すべき「3原則」「重要7項目の取り組み」を示した。 改編した管理実践編では、専門知識のない実務者や経営者も取り組めるよう、図表を多用しながらセキュリティ対策の具体的な導入手順や課題の改善手順を記載した。 このほか、実践すべき内容については、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末やクラウドサービス、マイナンバーなどのIT環境の変化や法整備にも対応している。 近年、企業の情報資産は標的型攻撃や内部不正などによって情報漏洩や業務妨害などのリスクにさらされている。個人情報保護法の改正もあって、企業に求められる法的責任は増しており、情報セキュリティは中小企業にとっても重要な経営課題となっている。 中小機構は昨年月8日、東京・平河町のJA共済ビルで、事業承継の支援業務に関わる人を対象にした「専門家(実務家)向け事業承継研修 応用編」を開催した。税理士、弁護士ら合計4人の講師が、事例紹介を中心にして事業承継の勘所を解説した。士業、行政、金融機関、中小企業支援機関の関係者ら約250人が聴講し、各講師の話に耳を傾け、メモを走らせていた。 4人のうち、小松久男・中小機構関東本部チーフ事業承継コーディネーター、玉越賢治氏(税理士)、吉岡毅氏(弁護士)の3氏が、それぞれ「相談事例から学ぶ事業承継」「経営承継円滑化法を活用した事例検討」「会社法を活用した事例検討」のテーマで講演した。また、木内雅雄・東京都事業引継ぎ支援センター・プロジェクトマネージャーが、同センターの活動実績を報告した。 各講師は「経営の承継があってこその事業承継であるとの原点を再認識してほしい」(小松コーディネーター)、「事業承継プランを策定するには最短でも3カ月、場合によって2年近くかかることもあるので、早め早めの取り組みが欠かせない」(玉越税理士)、「企業内や家族間の人間関係がポイントとなるので、財務面だけでなく、その辺を聞き出せるようなフランクな関係をつくっていただきたい」(吉岡弁護士)などと助言した。 講演に続く質疑応答では、聴講者が支援業務の実務上の注意点などを質問し、3人の講師が質問に応えた=写真。 この研修は、円滑な事業承継の推進には支援業務に関わる人たちの育成が欠かせないとの観点から中小機構関東本部が実施。同本部では、関東1都6県に新潟県、静岡県を加えた合計9カ所で順次、同様の研修を開催した。 中小機構は日本商工会議所、東京商工会議所と共催で昨年月9日、東京・虎ノ門の中小機構本部で虎ノ門セミナー「サイバー犯罪をはじめとする脅威への対処」を開催した。警視庁の2人の専門家が最近のサイバー犯罪事例などを紹介し、どう防ぐかの手立てを示した。中小企業の経営者や情報システム担当者ら約人が聴講し、両講師の話に耳を傾けた。 長島正房サイバーセキュリティ対策本部巡査長は「サイバー犯罪の脅威と現状」について解説した=写真。長島氏は「昔は大手企業がターゲットとなっていたが、今は中小企業や個人も狙われている」と標的が広がっている実情を説明。そのうえで、最近の情報セキュリティの脅威トップ3として、①インターネットバンキングやクレジットカード情報の不正利用②標的型攻撃による情報流出③ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)を使った詐欺・恐喝―を挙げた。 これらの攻撃をどう防御するかに関しては、セキュリティ対策ソフトを導入し頻繁に更新する、パスワード+αを心がける、定期的にバックアップを行う(とくにランサムウエア対策)などと指摘した。 また、2次被害や再発を防ぐ観点から「緊急時に対応できる体制の構築が欠かせない」とし、「何より大切なのは社員一人一人がセキュリティ意識を高めることだ」と結んだ。 一方、渡邉良平・愛宕警察署警部は、反社会的勢力の動向や、オレオレ詐欺をはじめとする各種犯罪の傾向と対策に触れた。そのうち、オレオレ詐欺に関しては「詐欺に引っかかるのは歳以上の女性が大半で、皆さん普通の家庭の普通のおばあちゃんだが、敵は迫真の演技、〝鉄板の手口〟で迫ってくるので、だまされない方がおかしい」としたうえで、「必ず、(息子や孫が)携帯電話の番号を変えたと言ってくる。そこで、元の電話番号への連絡を習慣づけることが最良の対策」と強調した。 中小機構のビジネス創発拠点TIPS(東京・丸の内)は昨年月日、「社会課題をビジネスで解決する」を開催した。このイベントは、CSV(共有価値創造)経営に挑戦する経営者と対話するシリーズの第1回目。初回は、パンの缶詰で社会貢献とビジネスを両立しているパン・アキモト(栃木県那須塩原市)の秋元義彦代表取締役を迎え=写真、独自のビジネスモデルを説明した。参加者はさまざまな質問を投げかけ、対話を進めながら、事業への想いやビジネスへのヒントをつかもうと熱心に聞き入っていた。 焼きたてパン業を営む秋元氏は、阪神・淡路大震災を機に保存食として缶入りパンの開発に着手。1年間かけて賞味期限約3年の商品を開発した。3年を経ても柔らかく、おいしいのが特長。 コンビニエンスストアなど強力なライバルが増えていく中で、「企業として地域や社会から認められる存在理由がなければつぶれる」との危機感を持ったのが社会貢献を考えたきっかけ。そこで、2009年から缶入りパンを利用した「救缶鳥(きゅうかんちょう)プロジェクト」を始めた。「世界に億人もいる食もままならない人に貢献したい」との思いからだ。 自治体や企業、個人にパンの缶詰を買ってもらい、賞味期限1年前に回収すると同時に、新しい缶詰を納品。回収した商品は食糧難に悩む途上国に贈る仕組みだ。購入側も国際協力できるという満足感が得られる。 ただ、ビジネスモデルとして確立するまでには、商品の回収方法、それを途上国に送る仕組み、プロジェクトそのものの認知度を上げるなどの課題があった。秋元氏は社会貢献を前面に出し、回収では大手の宅配会社、海外への配送はNGO(非政府組織)との協力関係を築いた。認知度向上ではマスコミに積極的にアプローチ。「事業に社会性があれば記事にしてもらえる。事業への評価はマスコミが試金石」と強調した。 その後も秋元氏は人手不足対策も兼ねて、ベトナムから日本でパンづくりを学ぶ実習生を受け入れ、その実習生が一昨年、現地で日本式ベーカリーを開店。また、「救缶鳥」プロジェクトは近く、米国でも展開する計画で「世界のアキモトになれるようにしたい」と締めくくった。 このイベントは、2月に交通難民対策、4月に買物難民対策をテーマに開催予定だ。 中小機構のインキュベーション施設「D―egg」(同志社大学連携型起業家育成施設)は昨年月9日、同大学の京田辺キャンパス(京都府京田辺市)で、開設周年記念フォーラムを開催した。基調講演のほか、年間の軌跡報告、入居企業による成果発表などが行われ、入居企業OB、企業関係者、研究者ら140人が参加し、熱心に各講演者の話に聞き入った。 冒頭、挨拶した中小機構近畿本部の中島龍三郎本部長は「この年間は中小企業経営にとって順風満帆とはいえない状況だった。その中で延べ社が入居し、各社が成果を出せたのは大学をはじめ地域、各機関の連携があったからこそ。この流れを今後も加速させていく必要があると強く感じており、中小機構としても力強く支援する」と語った。 同志社大学の横川隆一副学長は「本キャンパスは2006年の開設時から、ライフサイエンス系の研究者らとの共同研究に取り組んできた。そうした中で設置されたD―eggは事業創出に適した施設で、本学としても入居企業との交流促進を図れる有益な場となっている」と話した。続いて京都府商工労働観光部の担当者、京田辺市の石井明三市長が挨拶。来賓として経済産業省近畿経済産業局の花内美佐子産業部長が「地域に根差し、新たな企業が生まれ育つ場を支援する取り組みは重要だ。これからも地域創生の芽を育ててほしい」と述べた。 基調講演は、同志社大学大学院ビジネス研究科の加登豊教授が「新事業の発想と実践」と題し、創業時の動機、理念など起業前に必要な考え方、必要なアクションなどについて事例を挙げながら、授業を行うような雰囲気の中で参加者に語りかけた=写真。 その中でベンチャー企業論について「まだ萌芽期であり、理論はない。だからこそ先人の英知と経験を学習し、自らの経験と相対化すること。良書の多読と行動が必要」などと創業時の基本を強調。その上で、創業アイデアは町中にあふれており「まず行動、ダメなら撤退という朝令暮改ができるのもベンチャーの強みだ。試行錯誤を繰り返す中で得られる〝気づき〟から成長がある。当初は完璧なプランと思っても実践で崩れ去るだけだ」とした。 その後、中小機構近畿本部経営支援部の丸尾真吾課長代理が、「D―egg年の歩み」、同志社大学リエゾンオフィスの岩井誠人所長が「産学連携活動」をそれぞれ報告。最後に入居企業4社が事業活動を説明した。 D―eggは、同志社大学、京都府、京田辺市との産学官連携で新産業の創出、地域経済の発展に資する活動拠点として、2006年月に設置された。 経済産業省中小企業庁と四国経済産業局は昨年月、の両日、今治、新居浜、松山、宇和島の愛媛県内4市で「地域企業海外展開応援セミナー」を開催した。グローバル化が進む中、企業にとって海外展開はチャンスとなる一方、取り組むには多くの課題もある。地域の中小企業などが、地域の商品を他地域や海外に販売する「地産〝他〟消」を応援するため、とくに海外展開を考えている中小企業や支援機関に向け情報提供することを目的とした。中小・小規模事業者、行政、金融機関、支援機関関係者らが4カ所で計270人以上が参加した。 同セミナーは、開催した4市の各商工会議所、中小機構四国本部が共催した。各セミナーの冒頭、主催者を代表して経済産業大臣政務官の井原巧氏が、「EU各国では隣国に販路を求めることにあまり抵抗がなく、愛媛県から隣の高知県に販路を求めるのと同じ感覚。他県に販路を求めることと同じ感覚で、恐れることなく日本国内から海外にチャレンジしてほしい」と挨拶した。 続いて、中小機構の山本雅暁国際化支援アドバイザーが講師として登壇。中小企業白書を引用しながら、中小企業が海外展開するきっかけとして、「『自社製品に自信があり、海外市場で販売しようと考えた』中小企業の割合が最も高い」との調査結果に触れながら、「国内で大きく成功している企業でも、海外展開が必ず成功するとは限らない。どのような企業であっても必要な準備をしなければ失敗するリスクは非常に高い」と、入念な事前調査や準備が成否のカギであることを強調した=写真。 プログラムの終盤では、実際の海外投資や輸出ビジネスに関する成功事例や失敗事例を題材として、会場の参加者も一緒に検証するミニワークショップも行われ、参加者からの発表も交えた双方向の実践的な演習となった。参加者からは、「海外展開の情報収集では成功事例だけでなく、失敗事例も分析することが大事だと痛感した」などの声が寄せられ、各会場とも大きな拍手をもって締めくくられた。

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