20170115
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豊島屋本店(東京都千代田区)日本酒の老舗が本格輸出短期間でシンガポール展開成功海外ビジネス情報サイトを刷新ウェブ上で相談可能に中小機構1 中小企業・小規模事業者の経営力強化2面に続く「主役は地方。目指すは世界」年度中小企業関連予算案活力向上へ3テーマフィリピン企業社と件の商談中小企業社が参加最新情報を知るセミナーも好評中小機構中小企業の景況、2期ぶりマイナス幅拡大 (2面)景気動向・年の景気見通し (2面)D-egg周年で記念フォーラム・中小機構 (3面)大手ロボットメーカー・ジェグテック商談会開催(4面) 【企業概要】▽代表取締役社長=吉村俊之氏▽本社=東京都千代田区猿楽町1―5―1▽創業=慶長元年(1596年)▽従業員=人▽資本金=2500万円▽業務内容=醸造販売、酒類等卸売▽URL=http://www.toshimaya.co.jp旗艦銘柄「十右衛門」を手に、「TOKYOを前面に出して輸出を増やしたい」と話す吉村社長(同社1階の小売店舗で) 「シンガポールに輸出商談に行き、短期間で現地の法人と成約でき、すでに初出荷した」―。こう語るのは、豊島屋本店の吉村俊之代表取締役社長だ。 昨年9月、中小機構の海外市場F/S(実現可能性調査)で現地に赴き、1週間で約カ所を回り、お酒の会も開いた。同社の日本酒を試飲してもらったところ、「日本人が経営する高級和食店から月に注文をいただき、直接、空輸した」(吉村社長)ほか、月には卸売業者から6銘柄についてまとまった注文が入った。 F/Sからわずか3カ月で成約に至るケースはまれ。それだけ同社の品質が評価されたことの証といえる。成約先の卸売業者の代表者は1月末にも来日。2月初めに同社の酒蔵「豊島屋酒造」(東京都東村山市)を見学してもらうなど、「一層の信頼関係を築きたい」(同)という。 豊島屋本店は、現在では珍しくなった都内の醸造発売元。しかも驚くのはその歴史と伝統だ。創業は慶長元年(1596年)というから約420年前。江戸の神田・鎌倉河岸(現在の神田橋付近)で、初代豊島屋十右衛門が関西から酒を仕入れ、酒屋兼一杯飲み屋を始めた。酒肴も扱ったことから、〝居酒屋のルーツ〟といわれる。 初代は「白酒」も製造した。もち米と米麹、みりんを使って醸造し、年に1回、ひな祭り前に販売。ひな祭りに白酒を飲む習慣はここから広まったとされる。白酒は昔からの製法で現在も造っている。明治半ばには兵庫・灘で自社醸造を始め、昭和初期には蔵を東京に移設した。そこで日本酒、みりん、白酒を造っているが、なかでも「金婚」は現在でも御神酒として明治神宮、神田明神に同社だけが奉納している。 現在は他社の日本酒や醤油、みりんなどの卸売も行っており、とくに醤油やみりんは「東京の半分近くのそば店と取引がある」ほどの主力商品。「自社商品の売り上げ比率は現在%程度」という。 豊島屋代目の吉村社長にも悩みはあった。日本酒の国内市場は1975年ごろをピークに減り続け、現在はその半分以下。東日本大震災以降は「若い人、とくに女性ファンが増えた」が、底打ちには至っていない。 そこで、7、8年前から海外に目を向け始めた。国内市場とは裏腹に、日本酒の輸出量は着実に増え続けている。海外の展示会に積極的に出展したほか、年には英語だけでなく、多言語のウェブサイトも開設。それと並行して、韓国や台湾などとの取引も始まった。訪日旅行客へのPRも兼ねて、羽田空港の免税店で販売している「純米吟醸 羽田」なども開発し、売れ行きは好調だ。 そんな時、知人から紹介された中小機構の海外支援を受け、協議を続ける中でシンガポールへの輸出を目指す。同国を選んだのは、「欧米などは距離的に遠く、競争も激しい。それにシンガポールは所得水準が高いため」だ。「量より質」を重んじる同社の方針とも合致した。9月の訪問では、創業者の名を冠した旗艦銘柄「十右衛門」をはじめ、5種程度の銘柄を持ち込み、卸、小売店、飲食店などと商談。「現地では思ったより日本酒が販売されライバルは多かった」が、おおむね好評だったという。 今回の本格輸出をきっかけとして、将来的には周辺のマレーシア、タイ、ベトナムへの輸出可能性も探り、「年後には売り上げに占める輸出比率を2割以上にしたい」と意気込む。とくに東京産の日本酒は数が少ないだけに「TOKYOを前面に出したい」考え。 豊島屋の口伝の家訓は「お客様第一、信用第一」、行動指針は「不易流行」。守るべきもの(不易)はかたくなに守り、時代とともに変えるべきもの(流行)は大胆に変える。時代を越えてその精神を受け継いだ吉村社長の海外市場への挑戦が始まった。(1)第1184号平成29年1月15日(日曜日)〈毎月、日発行〉 ○小規模事業対策推進事業☆・4億円(・6億円)=商工会・商工会議所等の支援体制の確保や、地域資源を活用した地域経済活性化等の取り組みを支援する。また、商工会・商工会議所が「経営発達計画」に基づいて実施する伴走型の小規模事業者支援を推進する。 ○小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資等)☆・5億円(・0億円)=商工会・商工会議所等の経営指導員が経営指導を行うことを条件に、日本政策金融公庫が小規模事業者に対し、無担保・無保証人・低利で融資を実施する。また、「経営発達計画」の認定を受けた商工会・商工会議所の経営指導を受ける小規模事業者に対し、同公庫が低利融資を実施する。 ○中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業☆・9億円(・3億円)=海外展開を目指す中小企業・小規模事業者に対し、事業計画の策定から海外展示会の出展等を通じた販路開拓、現地進出、進出後の課題や事業再編の対応まで一貫して戦略的に支援する。また、EPA(経済連携協定)に基づく原産地証明制度および海外認証に関する情報提供等を実施する。 中小機構は昨年月8日、大阪市北区のグランフロント大阪で「フィリピンCEO商談会&セミナー」を開催した。フィリピン総領事館商務部、大阪・海外市場プロモーション事業推進協議会との共催で、日本アセアンセンターなどが後援した。商談会にはフィリピンから自動車・航空機用部品などの関連企業社の経営者が参加し、日本の中小企業との業務提携や技術・製品の取り扱いなどで活発な商談が繰り広げられた=写真㊤。同時開催したセミナーは、新政権の経済政策や業界動向などフィリピンの最新情報を網羅したこともあって、会場は満席となり、注目市場への関心の高さがうかがえた=写真㊦。 政府は昨年月日、一般会計の歳出総額が過去最高の兆4547億円となる平成年度予算案を閣議決定した。中小企業・小規模事業者関連予算は1810億円(年度当初予算比億円減)で、このうち経済産業省は1116億円(同5億円増)を確保した。年度の中小企業対策は「中小企業等の活力向上」をテーマに掲げ、①中小企業・小規模事業者の経営力強化②活力ある担い手の拡大と事業環境の整備③地域中核企業の稼ぐ力の強化―の3点の柱からなる。人口減少下で内需が縮小する中で地域が持続的に成長するには、中小企業等の生産性を高めるとともに、外需の獲得に向けた未来投資が必要と指摘。「主役は地方。目指すは世界」をキーワードに、魅力ある農産物や観光資源を世界に売り込むための整備を進めるとしている。 重点3テーマの主な施策と予算額は、次の通り(☆は年度予算額、カッコ内は年度当初予算額、◆は年度財政投融資計画案関連)。 中小機構は海外ビジネス総合情報サイト「SWBS」(中小企業ワールドビジネスサポート)の機能を拡充し、リニューアルオープンした=写真はトップページ。新サイトの機能は、①ウェブ上で課題相談が可能②検索機能を追加して利便性向上③最新情報をタイムリーに届ける―の3点がポイント。 SWBSは、中小企業の海外展開サポートを目的として、海外ビジネスを支援する企業や団体の情報を中心にまとめた総合情報サイト。現在、250社以上の支援企業の個別情報や支援情報を掲載しており、海外展開をサポートしてくれるパートナーを簡単に見つけられるのが特徴。 今回のリニューアルでは、SWBSに登録している支援企業や団体を対象に、従来の支援内容や国別の検索機能のほか、自社の課題を具体的に相談投稿できる機能を追加。サイト上で具体的な課題の相談を簡単にでき、課題解決に適した支援企業を選びやすくした。 また、トップページを中心にデザインを変更。利用頻度の高い「相談投稿」や「海外展開のパートナーを探す」検索機能を中心に、イベント・セミナー情報などを分かりやすく表示した。イベント・セミナー情報では新たに日付や開催地、対象国での検索機能を追加して、目的に応じた情報を取得しやすくした。 さらに、登録企業側にマイページ機能を設け、各企業がセミナー情報や自社のブログなど海外展開に関する情報をよりタイムリーに発信できるほか、メールマガジンの配信も開始し、海外展開に関心のある中小企業に役立つ情報をよりタイムリーに届ける。 詳細はウェブサイト(http://swbs.smrj.go.jp)へ。 中小機構は、日本企業との連携を希望する海外企業経営者らを招聘し、海外展開を目指す中小企業との商談会を実施している。今回は、人口が1億人を超え、1人当たりGDP(国内総生産)が3000㌦に迫るなど、高い経済成長を続けるフィリピンの企業経営者との商談会を開催した。これまでアセアンカ国商談会でフィリピン企業が参加した実績があるが、単独での開催は初めて。 来日したのは、日本の中小企業との提携を希望する自動車・航空機用部品、電気電子機器用部品、IT(情報技術)ソフトウエア、医療機器関連&食品関連などの経営者。日本側からは社が参加し、通訳を交え1回分の商談時間内で自社の強みを説明し、具体的な商談を行った。 電池部品用や自動車部品のめっき、表面処理を手掛ける旭鍍金工業(大阪市旭区)の三品一幸経営企画部次長は「海外製品の低価格化に押され厳しい状況だが、品質には自信があり、その点に関心を持ってもらった。試作品など次のステップを約束したが、英語対応など社内体制が今後の課題」と語る。 産業用機器などの電子検査装置を開発製造する広洋電子(広島市)の平井將宗代表取締役社長は「タイに拠点を設けアセアン対策を始めた。需要の大きい海外市場を志向しており、その面でフィリピンは魅力ある国。求める内容も考え方もよく分かった。今後、具体的な展開などを検討していく」と商談の感触を話す。 マニラ郊外カルモナ市で自動車用ナビ搭載ラジオなどを製造するOEワークスのロバート・リー会長兼CEOは「日本企業8社と商談でき、充実した時間だった。日本企業から多くのことを学べることを改めて知った。数社と取引したいと考えている。初めての日本企業との商談に満足だ」という。 一方、別室で同時開催したセミナーは、開会前に満席となる人気ぶり。冒頭、大阪府商工労働部成長産業振興室の北尾保己室長が「大阪府はフィリピンにミッション団を派遣し、その後、同国への展開を希望する企業にサポート体制を整えた。今後も関係機関と連携し大阪とフィリピンのビジネス発展を支援する」と挨拶した。 続いてフィリピン貿易産業省のラファエリタ・アルダバ次官補が「ドゥテルテ政権における経済政策について」と題し講演した。最初に、同国経済が成長を続けている要因として「アセアン各国と比べ、若く豊富な労働力に支えられ製造業が伸びている」ことを強調。ドゥテルテ新政権が目指す経済政策については「これまでのマクロ政策は維持する。その中で産業競争力を強化し、農業の生産性を高め、国民生活の質的向上を目指す。とくに製造業がより活発化する施策を積極化し、雇用に占める製造業の比率を現状の8%から%へ引き上げることを目標にしている」と話した。 その後、電子産業、ITサービス産業、航空機用部品の製造業について各業界の代表が現状を説明。最後に、フィリピンに進出して年を経た自動車部品加工などの大和精工(大阪府東大阪市)の池田圭宏代表取締役社長が、進出メリットや人材採用の競争激化などの課題を語った。

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