20160901
3/4

よろず支援拠点相談者が語る活用例八正精工(川崎市宮前区)ゴルフティーに贈答価値付加「モノの売り方に初めて気付いた」はちまさ神奈川県よろず支援拠点浦川拓也コーディネーター職人自身をマーケティング全国の信金取引先社が集結「よい仕事おこしフェア」農林漁業者が商工業者にPR農商工連携事業マッチング会開催中小機構近畿など大阪経済大と包括連携中小機構近畿五味商店のこだわり商品展示会で支援社が自慢の逸品出展中小機構中小社と大手が件の商談医療・精密機器、金属加工など中小機構3操作に特殊技術を要する成形機の前で「商品価値を再定義する提案に感心した」と話す南舘氏【有限会社八正精工】▽代表取締役=南舘正士氏▽所在地=川崎市宮前区有馬2丁目9番9号(☎044・855・3343)▽資本金=600万円▽事業内容=プラスチック製品製造販売、プラスチック金型・製造販売など 南舘社長が販路開拓で相談に来た時は、ゴルフティーを製造した後でした。話を聞くうちに、八正精工が地域で唯一操業を続けている町工場であることから、南舘社長自身を有名にする必要があると考えました。 実現策として地元へのパブリシティーを提案しました。ティーのターゲットを高齢者に絞り、具体的な利用シーンを明確化して発信したところ、在庫完売という好結果が出たことで、自己宣伝を好感しない南舘社長に周知活動の必要性を理解してもらえたのは大きな収穫でした。以来、地元メディアへの露出が続き、南舘社長の県内知名度は上がりました。自社サイト開設に、IT(情報技術)に明るいお孫さんの協力が得られたことも幸いでした。 これからは、コンテンツを増強しながら小さな町工場が宇宙開発に貢献していることを効果的に発信して、南舘社長をものづくり職人に希望を与える全国的なスターにしていこうと考えています。 「町工場として成形部品をできるだけ安く提供することで発注先の要望に長年応えてきたが、よろず支援拠点の助言で、商品によっては消費者が価値を認めるのにふさわしい適正価格があることに初めて気付かされた」 よろず支援拠点による助言の成果をこう振り返るのは、プラスチック成形部品製造の南舘正士・八正精工代表取締役社長。宮城県蔵王町から中卒で上京し、都内の町工場で腕を磨いて独立、今年で創業年目を迎える同社を牽引してきた〝たたき上げ〟の職人だ。 よろず支援拠点に相談したきっかけは、趣味のゴルフを楽しむ同年代の仲間の1人が脳卒中を患ったこと。友人は回復したが、後遺症で手が震えるようになり、ティーをうまく刺せなくなった。コースで後続組を気にしながらのプレーを苦に、ゴルフを諦めると言い出した。 南舘氏は友人にゴルフを続けてほしいとの思いから、震える手でもボールをセットしやすいゴルフティーをつくった=写真㊦。「ティーは、少し重くてボールを乗せる面も広い方が安定するから、高齢者には刺しやすいはず。強化プラスチック製だから壊れにくい。高さを調節できる構造で特許も出願した」。高齢者に絶好のティーを開発し、廉価で売り出した―つもりだった。 ところが、ティーはまったく売れなかった。プロゴルフツアーの公式使用許可を取ってゴルフ用品店に掛け合ったが、「壊れなければ、新しいティーが売れない」と一蹴された。 打開策に困り、地元・川崎市の「ものづくり中小企業販路開拓支援事業」を介して知った神奈川県よろず支援拠点を2014年7月に訪ね、販路開拓案を求めた。 アドバイスは、自社サイト開設とティーに贈答価値を付加すること。加えて同業他社が倒産の憂き目に遭っている中で、八正精工だけが生き残っていることをPRするマーケティングだった。 外部に積極的にアピールするという発想は、「来た仕事を黙って受けるのが当たり前」の部品職人にはなかったが、コーディネーターの説得に応じて、地元紙の取材を受けた。 「高齢者向けゴルフティーを開発した町工場の社長」の記事が掲載されたのは、年月下旬のこと。合わせて価格も贈答用に〝値上げ〟した。1000本あった在庫は、この後の1カ月半で売り切れた。 「丈夫で安いゴルフティーは、特許さえ取れば売れると思っていた。助言を受け、子や孫からのプレゼント用という開発趣旨とは違う商品価値を見いだすことができた」 価格見直し案に当初、「バチが当たる」と難色を示した昔気質の職人が、〝モノの売り方〟に気付いた瞬間だった。 南舘氏は、NASA(米航空宇宙局)などが開発した耐熱効果に優れた特殊プラスチックの成形技術を持つ日本で数少ない人材の1人だ。材料には、通常より高温でないと成形できない樹脂を用いる。高価だから成形に失敗すると損失が大きい。成形用の専用機も市販のままでは使えないため、発注部品の性能に合わせて自ら改造し、繊細な手作業と判断力で操作している。作業が機械化される前から経験を積んできた南舘氏でなければ手に負えない仕事だ。 成形部品は「宇宙開発に関係のある半導体に使われること以外、知らされていない」が、本業は、この社外秘技術で順調だ。会社を継ぐのは次男。作業手順と改造仕様は詳しくマニュアル化してある。 地元紙に紹介されて以来、メディアの取材が相次ぐ南舘氏には、ものづくり職人と町工場に勇気を与える存在になることが期待される。1940年生まれの歳。次男に代を譲るのは、まだ先のようだ。☎0166-65-1200☎022-392-8811☎0256-38-0770☎042-565-1192☎0561-48-3401☎0790-22-5931☎082-278-4955☎0949-28-1144☎0966-23-6800(3)第1175号平成28年9月1日(木曜日) 全国各地の信用金庫の取引先企業380社が、自慢の製品・サービスをアピールする展示・商談会「2016〝よい仕事おこし〟フェア」が8月2、3の両日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開かれた。同フェアは、信金取引先企業のビジネスマッチングを図り活性化を後押しする狙いのほか、地方創生や震災からの復興支援の目的もある。会場では東北および熊本地域の企業ブースがとくに目に付いた。 これまでにない素材、製法、デザインによる革新的なエレキギターの試作機を出展したセッショナブル(仙台市)は「宮城県女川町のギター工房でエレキギターを生産し、国内外の市場を開拓する。音楽イベントなども開催して文化的な豊かさ、豊かな日常をテーマとする事業を進める」(梶屋陽介社長)といい、広く協力・提携会社を募っていた。 そのほか、福島、宮城、岩手をはじめとする東北各県の企業が出展。飲食コーナーでは大間マグロ、なみえ焼きそば、米沢牛、仙台牛たんなど東北名物のうまいもの店が勢ぞろいした。 一方、熊本ラーメン、馬刺しをはじめとする熊本特産品を品ぞろえした物販コーナーには多くの来場者が詰めかけて商品を購入していた。熊本日日新聞社は、熊本地震の被害の実像を伝える写真パネルや、来場者に熊本への応援メッセージを書き込んでもらう「熊本城応援ボード」をそろえた熊本応援コーナーを開設。また、会場内で「〝よい仕事おこし〟フェア記念号外」の印刷・配布にも取り組んだ。 このフェアは城南信用金庫(東京都品川区)が主催し、全国信金の協賛のもとに開かれた。東日本大震災の翌年の2012年秋に第1回が開催され、今年が5回目。今回初めて都道府県すべての企業が顔をそろえた。 中小機構近畿本部は8月4日、大阪経済大学(大阪市東淀川区)の中小企業・経営研究所と「包括連携に関する基本協定書」を締結した。両者が地域における中小企業への支援、ベンチャー企業の育成、情報提供などについて幅広く相互協力し、地域経済の活性化と中小企業支援の促進を図るのが狙い。 同大学で行われた締結式には、同大中小企業・経営研究所の太田一樹所長と、中小機構の中島龍三郎近畿本部長が出席し、協定書を交わした。これに基づき、①学生らを活用した中小企業に対する支援方策②地域内の経済情報、企業の事業活動動向③その他の方策―について両者が協議、情報交換を行う。 連携の第1弾として、同大学北浜キャンパスで、中小企業大学校関西校主催による「経営トップセミナー」を8月日と9月6日に開催し、同大学OBの経営者が講演。また、同大学は留学生や研究生を抱えていることから、インバウンド観光・ビジネスに関して、外国人目線による研究、調査を行い、中小企業支援に反映する活動も行っていく。 中小機構近畿本部は7月日、大阪市中央区の同本部で「農商工連携事業マッチング会」を開催した。農林水産省近畿農政局、経済産業省近畿経済産業局、農林中央金庫大阪支店との共催によるもので、商工業者と農林漁業者が、お互いの強みを生かして売れる新商品を開発するため、手を取り合う機会を提供するのが狙い。近畿地域の農業法人など者、商工業者者が参加。全体で100を超えるマッチングの機会が提供され、活発なPRが繰り広げられた。 第1部では、中小機構近畿と近畿農政局の挨拶の後、農林中央金庫大阪支店による六次化ファンドの説明や、中小機構近畿による農商工連携事業の事例紹介、さらに滋賀県東近江市フードシステム協議会による「業務用野菜の産地化推進」の取り組み事例が紹介された。 中小機構近畿の瀬戸口強一経営支援部長から「商工業者と農業者の有機的な連携が事業には必要」と説明があり、近畿農政局の田中篤史課長補佐は「農業者と商工業者は出会う機会が少ないので、この場を連携のきっかけにしてほしい」と挨拶した。 第2部では、まず商工業者者が、必要な農産物など農林漁業者へのニーズをプレゼンテーション。この後、今度は農林漁業者が商工業者のブースを回り、農産物の実物や写真などを使って特長や供給可能量などを熱心に説明。農林漁業者が商工業者とマッチングする形とした=写真。 こだわりのある加工食品などの開発を目指す商工業者に対し、農林漁業者が紹介した農産物は、野菜、タケノコ、日本茶、シラスなど多岐にわたった。農林漁業者と商工業者の組み合わせについては両者の希望を踏まえ、中小機構近畿、近畿農政局、近畿経産局などが連携し、事前にコーディネートした。 参加者からは「思ってもみなかった事業者と話ができ、今後の可能性を感じた」などの声があがり、商工業者、農林漁業者ともに満足度が高く、今後の連携が期待される。 中小機構は、農水産加工品卸の五味商店(千葉県我孫子市)が7月日に東京都千代田区の丸ビルホールで開催した「第回こだわり商品展示会」で「NIPPON MONO ICHI(ニッポン・モノ・イチ)」コーナーを設け、国の地域産業資源活用事業計画などの認定を受けている中小企業社の出展を支援した。 同展示会には109社が出展し、各社とも食べやすさ、安全・安心など工夫を凝らした新商品を陳列。訪れた百貨店やスーパーのバイヤーに試食を勧め、商談へと誘導していた。来場したバイヤーは約400人。「売れ筋の商品を探しに来た。目に止まる品が多く、ここは効率がいい」(大手スーパー)との声が聞かれた。 会場入り口に設けられた中小機構ブースでは、出展各社の担当者が揃いのハッピを着て来場者を出迎え、商品の特徴や製造方法など説明した=写真。 オオヤブデイリーファーム(熊本県合志市)は、自社牧場で採れた牛乳で独自に熟成したエイジングヨーグルトの3本セットを出品。「いくつもの手間をかける独自製法で昨年2月に商品化した。大手には作れない品だ。試食してもらうと違いを分かってもらえる」と大藪裕介代表は語る。 沖縄の食材を燻製にした商品を提案したのは、食のかけはしカンパニー(沖縄県うるま市)。いち押しは、無添加だが日持ちする「島どうふソーセージ」と「セーイカ(赤いか)の生ハム」で、試食を求め立ち止まる来場者が多く見られた。「桜チップで丁寧に燻製している。沖縄の食材を東京で販売したいと考えアピールの場になればと出展した」と渕田典之営業部長は話す。試食したバイヤーは「素材の味がしっかりと伝わる。ソーセージや生ハムの食感は食べていて楽しい。酒のつまみに合う」と感心していた。 豊富に採れるエノキに新たな付加価値を見いだす「無添加なめ茸」の説明に追われていたのは丸玉(富山県立山町)。根昆布で出汁をとり、これまでとは違う旨味と食感の商品を作り出した。「商品開発ではエノキの量の配分が難しかった。バイヤーの意見を参考に多様な素材と組み合わせて新しい味を作っていきたい。今日はこだわりの人ばかりで話しやすく、商談もスムーズにできた」と吉川晃弘専務は感想を語った。 主催者の五味商店は、中小機構の地域活性化パートナー登録企業。この商品展示会は多くのバイヤーが注目しており、中小の食品関連企業にとっては出展効率が高いことで知られる。 そのほかの出展者は次の通り。▽及川冷蔵(岩手県大船渡市)▽みたけ食品工業(埼玉県戸田市)▽西野商店(静岡県藤枝市)▽Ante(石川県加賀市)▽佐々木酒造(京都市上京区)▽堀内果実園(奈良県五條市)▽橋本醤油(熊本市北区) 中小機構は8月8日、東京・虎ノ門の同機構本部で、中小企業と大手企業を橋渡しする「大手ジェグテック商談会」を開催した。商談会には医療機器、精密機器、金属加工などの大手・中堅メーカー社と、約160社の中小企業が参加し、新たなパートナーを求めて熱心な商談を繰り広げた=写真。 商談会に参加した大手・中堅企業は、パイオニア、東レメディカル、日立ハイテクノロジーズ、TDK、村田製作所、日立化成、神鋼ノース、中央ビルド工業、カルモア、ベテルの社。それぞれ「ウエアラブル医療機器に搭載可能な薄型センサー」「電磁波の遮断技術」「金属の打音抑制技術」「軟繊維質材の切断・細断技術」などと求めている製品・技術を事前に公開し、それらに対応する中小企業との間で、互いに〝ベストパートナー〟を探し合った。商談件数は合計177件にのぼった。 今回、ジェグテック商談会の初の試みとして、大手と中小企業の間だけでなく、中小企業同士の商談の場も設けた。参加した電子機器製造のアイ電子工業(栃木県大田原市)の担当者は「大手企業1社、中小企業5社と商談した。この商談会には全国から中小企業が集まる。圏域や業種を超えた中小企業間の事業連携で、新しい分野での取引がまとまりそうだ」と手ごたえを語った。 商談会場には、工業デザイナーによる無料デザイン相談室も初めて設置した。相談室には中小企業経営者ら多数が訪れ「ものづくりの外見に関する相談はもちろん、『この素材で何を商品化したらいいのか』といったお尋ねや、意匠権に関する質問など内容は多岐にわたった」(デザイナーの登のぼり豊と茂も男おファシオネ社長)という。 ジェグテック商談会は、中小機構が運営する中小企業のマッチングサイト「ジェグテック」が2014年秋に本格運用を開始したのを受け、マッチングを一段と促進させる狙いで企画。これまで、海外展開・大手自動車商社、中国輸出・販路開拓、大手ゼネコンなど、さまざまな形態の商談会を開催している。

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る