20160815
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事業を次代に継ぐ事業引継ぎ支援センターの役割■4■大分県陣容整い周知活動を強化相談は迅速で細やかさ重視中小企業大学校東京校 第期「経営後継者研修」終講式経営者の資質磨いたカ月研修生全員が成果を発表社員をテロから守る海外の治安情勢とリスク解説ジェトロがセミナー商品特性 明確に表現伝わる企業メッセージのつくり方TIP*Sでワークショップマーケティング課題の解決学生と中小企業がタッグ中小機構中部3大学と3社参加 月発表へキックオフ☎0166-65-1200☎022-392-8811☎0256-38-0770☎042-565-1192☎0561-48-3401☎0790-22-5931☎082-278-4955☎0949-28-1144☎0966-23-6800充実した体制で積極的な支援を目指す大分県事業引継ぎ支援センターの山中統括責任者(右から2人目)とスタッフのみなさん【大分県事業引継ぎ支援センター】▽所在地=大分市金池町3―1―、大分県中小企業会館内(☎097・585・5010)▽統括責任者=山中俊弘氏▽運営体制=6人▽平成年度相談件数=件、年度(6月末現在)=件 昨年、大分県事業引継ぎ支援センターが実施したアンケートによると、「センターを知っている」という回答は、わずか9%しかなかった。これは歳以上の経営者で売上高規模3億円以下、従業員数5人以上の県内事業者1000社を対象にした調査。 「設立から間もない時期とはいえ厳しい結果と受け止めた。存在が知られていないことを改めて認識し、浸透に向け次の手を打つ準備を進めてきた」と山中俊弘・統括責任者は語る。多くの事業者が承継問題を抱えているにも関わらず、存在が知られていない状態が続けば、相談件数の増加は限定的にならざるを得ない。 とはいえ、限られた予算と体制の中で、きめ細かい相談に対応しながら広報宣伝活動を強化していこうとするのは物理的な困難が伴う。 相談内容で多いのは「承継の具体的な手続きを教えてほしい」「後継者がいないので第三者を紹介してほしい」など。相談に対応しながら、金融機関や支援機関、士業グループなどとの連携強化にも取り組む。とはいえ、県内郡部の事業者へ出向くと丸1日を費やすことも少なくない。支援は効率だけで語ることはできない。時間がかかっても必要に応じて県内各地を精力的に回るという。 大分県事業引継ぎ支援センターは、中小企業の事業引継ぎ課題解決に向けた支援機関として昨年4月、大分県商工会連合会に設置された。九州・沖縄では福岡県、沖縄県に次ぐ3カ所目。統括責任者、統括責任者補佐、事務員の3人でスタートし、その後、公認会計士が加わる。 今年7月からは、中小企業診断士、税理士を入れた6人に拡充した。「士業のみなさんが揃い、これだけの陣容を整えることができた。迅速できめ細かい相談への対応とともに、事業引継ぎ支援センターのPR活動も積極化させる」という山中氏は、全国トップクラスとなった新体制での活動方針を語る。 具体的に取り組むのは〝待ちではなく攻める〟展開だ。商工会、商工会議所主催のセミナーなどへ出向き、同センターの役割などを周知し、個別の相談会も企画するという。商工会や商工会議所の会報などに広告を掲載するほか、「金融機関等実務者連絡協議会」を大分県再生支援協議会、大分県経営改善センターと合同で年2回(8、2月)開催する。 このような中小企業向けに展開されるイベントなどを通し、積極的なアピールを行うことで同センターの浸透を図っていく。山中氏は「私が先頭に立ちPRに専念していく」と話す。金融機関や支援機関からの紹介とともに事業者が直に同センターへ相談に訪れてくれる件数を増やす取り組みが、事業引継ぎの課題に悩む中小事業者に資することになると考えるからだ。 金融機関との連携では、大分銀行と協定を締結している。内容は、同行が事業承継について細かい対応が難しいと判断した案件について事業者の了解を得て紹介を受けるほか、M&A手数料を支払えない事業者について同センターが主導して手続きを進めるなど。今後は同様の協定を地域金融機関とも締結していく方針としている。 昨年度の相談件数は件。このうち成約件数は4件あった。国東市の建設・農業を手掛ける事業者の第三者承継では、同センターが決算状況の精査、合併のメリット、デメリットやスケジュールなどを提示し、低額で受けられるM&A事業者を紹介した。その結果、営業基盤を同一とする事業者との合併が成立した。 「認知度向上とともに充実した体制が構築できたので、今後はよりきめ細かい対応が可能になる。進行が停滞している案件も作業ピッチを速めていく。月1件の成約を目指したい」と山中氏は今後を展望する。 とにかく「足で稼ぐことを基本にする」と付け加える。(3)第1174号平成28年8月15日(月曜日) 中小機構が運営する中小企業大学校東京校のメーン研修である第期「経営後継者研修」の終講式が7月日、東京都東大和市の同校講堂で行われた。経営者としての知識と自覚を深めた修了生人に加え、派遣元企業の社長や関係者ら人が式に出席し、カ月にわたる研修をやり遂げ、たくましさが増した修了生たちを祝った。 冒頭、今野高東京校校長は「本研修は年を経て、卒業生の子息が入校するなど2世代で学ぶ人が増え始めている。それだけ研修の価値を認めてもらえている証だと思う。これから現場に戻るが、中小企業経営を取り巻く厳しい環境が待ち構えている。ここで学んだ知識と分析力を発揮し立派な経営者となってほしい。そして地域発展に貢献してもらいたい」と挨拶した。その後、今野校長が修了生一人一人に卒業証書を授与した=写真。 経営後継者研修は、国が実施する唯一の経営後継者育成プログラム。経営を引き継ぐ後継者として必要な基本的能力や知識を実践的に習得するカリキュラムによりカ月間にわたり全日制で学ぶ。年の歴史と実績を持ち、修了生は1100人を超え、各方面で経営者や経営幹部として活躍している。 笹かまぼこを製造・販売する「ささ圭」(宮城県名取市)の佐々木堯氏は、東日本大震災で社屋と工場が全壊し、復興する中で研修に参加した。「同期生に支えられたカ月だった。知識を学んだだけでなく、不安に立ち向かう勇気をもらった。自社分析を通して自分のルーツも知り、新たな意欲が湧いている」と力強く語った。 建設機械用の油圧シリンダーなどを製造するダイワ精機(石川県小松市)の森康人氏は「客観的に自社を見ることができたことは大きな成果。ビジョンを明確にして具体的な目標に向かって進んでいきたい。100年先も継続している企業として、自分はつなぎ役になる。生涯の友を得たことは言葉にできない喜び」と有意義だった研修を振り返る。 終講式の前には、前日から2日間にわたり修了生全員によるゼミナール発表会が行われた。各自が自社分析の結果と、今後の事業計画案などについて具体的な内容を示しながら、それぞれ今後の展望を力強く語った。修了生によるプレゼンテーションは1人分で、終了後は修了生がコメンテーターとなり発表の感想を述べ、担当講師が評価を伝えた。 すべての発表終了後、講師からは「カ月の研修で努力したことに敬意を表する。今後はここで得た知識をそのまま現場に持ち込まないようにすること。社員からは教わる気持ちで接することが大事だ。策定した事業計画案をすぐに実行してはいけない。再考してカスタマイズするとうまくいく。志を持った経営者になってほしい」など感想と激励の言葉が贈られた。 中小機構中部本部は7月日、「平成年度コミュニケーションデザイン支援事業」のキックオフミーティングを名古屋市中区の名古屋能楽堂で開催した=写真。東海3県の企業3社と、金城学院大学、名古屋文理大学、愛知県立芸術大学の3校の学生が参加した。同事業は、中小企業のマーケティング課題の解決と、学生への実践的な学びの場の提供を目的として昨年度から実施しているもので、今年度で2回目。全日本シーエム放送連盟の後援を受け、マーケティングの最新事例や考え方を学ぶとともに、企業と学生とがタッグを組んで各企業の課題解決のために知恵を出し合い、月に最終報告会を開催する計画。 キックオフミーティングでは、グローカルに活躍する講師を招いたセミナーと企業からのオリエンテーションを実施し、約人の学生が参加した。 セミナーでは大手広告会社、博報堂のクリエイティブディレクター鷹たか觜のはし愛郎氏と、プロモーションスーパーバイザーの山下納帆美氏が講演した。 鷹觜氏は「地域課題を解決するクリエイティブ」と題し、広告賞を多数受賞した地域活性化施策や、商店街にある宝石店の広告映像などを紹介し、「これからは企業が自身をどう売り込むかではなく、お客さまにどれだけ語ってもらえるかが鍵になる。社長の話をよく聞くと、必ず課題解決の方法はある。それを見つけたら、お客さまの心をつかむ〝強い入口〟と、シェアしてもらうための〝広がる出口〟をデザインすることで、地域の企業も世界を動かせる」と指摘した。 山下氏は「モノヅクリからモノガタリ」と題し、自身がプロデュースした和菓子店や蜂蜜専門店の売上拡大事例を示し、モノヅクリだけでなく、生産者、流通、メディア、消費者を動かす強いモノガタリの設計が重要と語った。 企業からのオリエンテーションでは、今回参加する二幸(愛知県犬山市)、日東製陶所(岐阜県多治見市)、丸福繊維(愛知県西尾市)の3社が自社のビジネス環境やマーケティング戦略、学生に提案を求めるテーマについて発表した。 二幸の可児愛あい九く常務取締役は「自社の資源を活かした新しいビジネスのアイデア提案がほしい」、日東製陶所の尾美佳か那な会え氏は「自由な発想でタイルの可能性に挑戦してほしい」、丸福繊維の村瀬智之代表取締役は「自社商品の新市場開拓を行うときのコミュニケーションプランを提案してほしい」とそれぞれ期待を語った。また、博報堂の山下氏は「インターンに行ったとしてもこれほど企業課題にコミットした活動ができることは滅多にない。学生のうちに経験できることは貴重。ぜひ頑張ってほしい」と学生を鼓舞した。 日本貿易振興機構(ジェトロ)は7月日、東京・赤坂の本部で「アジアを中心とした最新治安情勢とビジネスリスク」をテーマにした海外安全対策セミナーを開催した。邦人7人が死亡したバングラデシュ・ダッカのテロ事件後だけに、海外でビジネスを展開する企業関係者の参加申し込みが殺到し、急きょサテライト会場を設けて対応した。詰めかけた600人の参加者は講師の話を真剣に聞き入っていた。 冒頭、挨拶したジェトロの前田茂樹理事は「海外に駐在する日本人は130万人、旅行者は年間1700万人といわれている。これまで日本人はテロの標的にはならない、とくに親日国では日本人は安全だと無意識に思う傾向があった。だが、その考え方は捨てなければならないことをダッカのテロが示した。ビジネスに与える影響は大きい」と述べ、ジェトロとして今後、海外のリスク情報を提供していく方針とした。 講演は最初に「アジアのテロ情勢」について、オオコシセキュリティコンサルタンツの和田大樹シニアアナリスト兼アドバイザーが登壇し、世紀の対内的な問題だったテロは、今や国際的な問題に広がり深刻な脅威となっていると指摘。IS(イスラム国)は「ブランド化し思想として拡散しており、同じようなテロが中東やアフリカ、欧州、アジア各地で発生している」と現状を説明した。 このようなテロから100%免れることは不可能で、逃げるのではなくリスクを下げることを考えるべきだとし、「テロに巻き込まれないことだけでなく、発生後に起きる政情不安、交通インフラの麻痺など2次被害の影響を受けることを含め、広い視野で危機管理対策を考える必要がある」とした。今後の動向については、「IS組織の弱体化はISのブランド、思想の弱体化を意味するものではなく、少なくとも~年間は脅威が続くだろう。とくにアジアではフィリピン南部へのISの浸透が懸念されている」と語った。 続いて「社員をテロから守るため」として、同社の廣瀬幸次シニアコンサルタントが、テロ被害に遭った際の対応などについて講演した。まず、日本企業の海外危機管理態勢について「専従者を置く必要性があるが、企業の大多数は対応していない。リスクの高い海外駐在に対して企業は安全配慮義務がある」と強調した。 次に、過去のテロ事件を通して、それぞれのケースでの自衛策を通し、避けるべき時間帯、場所、地域、不審人物やグループなどを伝授した。さらに、テロを想定した訓練の実施や、海外の安全配慮を考えるのは本社サイドであること、テロ対策に特効薬はなくリスクの低減を考えるべきだなどと語った。 最後に、ジェトロから「アジア進出日系企業の安全対策事例」が紹介され、外務省から「海外における日本人・日本企業の安全に関する取組」が説明された。 中小機構が運営するビジネス創発拠点TIPS(東京・丸の内)は7月6日と日の両日、ビジネスワークショップ「企業メッセージのつくり方―ビジネスや商品の魅力をより良く伝えるメッセージと手段をつくる―」を開催した。このワークショップは、企業メッセージのつくり方を「伝えること(メッセージ)」と「伝え方(手段)」に分けて学ぶ2回構成。中小企業の経営者、広報担当者ら約人が、講師を務めたコミュニケーション戦略プランナー、岩井琢磨氏のリードで、自社事業や商品特性をより明確に伝える方法を考えた=写真。 2回にわたるワークショップは、①なりたい姿を言葉にする②言葉を行動にする③その伝え方を考える―3段階で進行した。第1段階では、印象的な企業メッセージを参考に、各自が「なりたい姿」を言葉にするワークに取り組んだ。 岩井氏は、オリンピックの公式スポンサーの1社で、世界的な消費財メーカー、P&G(米オハイオ州)が「ママの公式スポンサー」を自称していることを紹介。オリンピック選手を産み育てた世界中の母親をたたえる存在という、企業として「なりたい姿」になっていることを示した。 第2段階は、言葉を行動にするワーク。各自がそれぞれのなりたい姿を、簡単な3つのフレーム「誰に何を」「どんな強みで実現し」「どうやって儲けるか」に当てはめて表す課題だ。 このワークの説明には、計量器製造・販売のタニタ(東京都板橋区)の例を用いた。計量器販売と食堂運営受託で、企業メッセージ通りに人々の健康増進に貢献していることから、言葉を行動にする手本とした。 最終段階は、伝え方を考える試み。酒類大手のサントリーホールディングスが、ハイボールという以前からある飲み方と、「角ハイボールジョッキ」という新たなアイデアの融合で、長く低迷していたウイスキー市場の復権に成功したことを例示した。角ハイボールジョッキは、ウイスキーをビール同様、居酒屋で乾杯する1杯目から大人数で飲んでもらうために新開発したツール。これをテコに、ビールをライバル視した「とりあえずハイボール」というメッセージで外食市場を拡大し、角ハイボール缶の発売と、空揚げとの相性の良さが触れ込みの「ハイ・カラ」キャンペーンで中食消費も増大するという、ウイスキー市場の回復を狙ったメディア戦略が奏功した好例とした。

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