20160815
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KIGURUMIBIZ(宮崎市)ミラノ万博で着ぐるみPR手探りの輸出から深めた自信SBIR制度の特定補助金交付過去最高460億円年度 官公需契約目標は%英国のEU離脱焦らずに準備を見通し難も対応期間は十分ジェトロがセミナー海外販路開拓を支援交流の場に社、人が参集中小機構越境ECまるごとフェスティバルミャンマー商談会&セミナー開催・中小機構 (面)経営力向上計画、件を初認定・中企庁 (面)第期「経営後継者研修」が終講式・東京校 (面)カメルーン政府幹部ら人、東京校を訪問 (面)自社キャラクター「ビズベア」のぬいぐるみを抱く加納取締役(工場内で) 国内の着ぐるみ製作事業者は、安価な中国製品に押され青息吐息のような状態に陥ったことがある。「半額近い価格で攻められては対抗手段がない。一時期、この事業はもう無理かと思った」とKIGURUMIBIZの加納ひろみ取締役()は、数年前の苦しかった時期を振り返る。地方自治体が発注する〝ご当地キャラ〟に入札しても、中国へ生産委託する業者には勝てなかった。 だが、徐々に品質の違いが理解され、北京郊外のテーマパークで粗悪な着ぐるみがニュースで伝わったことなどが追い風になり、受注量が戻り始める。すべて手作業でていねいにつくり上げていく高品質さと、製作過程を写真や動画で細部まで確認でき、途中での試着も可能なサービス対応、暑さ対策、軽量化、動きやすさを求めた改良を続けた結果が発注者からの信頼を得ることにつながった。 工場内では、老若男女を問わずアジアでも絶大な人気を誇る着ぐるみや、人気アニメのキャラクターなどの製作や修理が行われている。「業界の市場規模など実態が分からない」というが、着ぐるみ製作では国内トップクラスであることは間違いない。 「イラストと着ぐるみは違うので、依頼があっても製作に取り掛かるまでは時間と手間がかかる。とくに最近は難しい仕事が増え月体の製作がやっと。従業員は主婦が多いので残業は原則しない。それでも生産性は高い」と加納氏は、受注・製造体制を語る。 国内企業との仕事だけしか考えていなかった2012年、ドイツからアニメキャラクターの着ぐるみ製作の依頼がくる。もちろん貿易実務など知らず、初めての英文契約書に戸惑うも、独学で輸出手続きを行い、無事に納品した。 「初めての輸出は手探り状態だったが、おかげで自信がついた。それまで発想しなかった海外からの受注も受けていいのだと考え始めた」という。そこで中小機構が実施する「海外ビジネス戦略推進支援事業」の認定を受け、F/S(実現可能性調査)とWebサイトの英語化を行った。認定期間は今年2月に終了したが、海外企業との複雑な契約書などでは、引き続き専門家のアドバイスを受けているという。 海外展開が一気に進展したのは、年3月に英国のライフスタイルの専門誌に特集として掲載されたことがきっかけ。その後も海外メディアで次々に取り上げられ、欧州からの発注が増える。昨年、開催されたミラノ国際博覧会では同社のキャラクター「ビズベア」の着ぐるみを会場内に持ち込んで練り歩き、品質などをアピールした。 海外展開で大事なことは、「クイック・レスポンス」だと加納氏は強調する。 ほとんどがメールでの問い合わせから始まるので、英文で即応できるスタッフ体制は不可欠。輸出の際、製品はリスクの少ない工場渡しにする契約を基本とする。年間の売上高は約2億円。「今年の海外売上比率は2割ぐらいになる」と予想する。 同社は、加納雄一代表取締役が造形美術製作を手掛ける個人事業として宮崎市で創業。布を使った立体物も扱っていたことから、着ぐるみ製作を依頼されたという。その後のブームで着ぐるみが主力事業となり、年に屋号を変更、年に法人化した。昨年は東京事務所を開設し、発注者との打ち合わせに活用している。 今後は国内外で社名の認知度向上を図り、造形美術製作の技術を活用した新商品開発に力を入れていく方針。「受注中心の事業に、今後は量産品を入れていきたい。事業の安定化につながると考えているが、今度は販売する難しさへの挑戦が待っているはず。まずは国内から次に海外へ」と加納取締役は意欲を示す。【企業概要】▽代表取締役=加納雄一氏▽本社=宮崎市高千穂通1―3―、東京事務所=中央区日本橋浜町2――6▽電話=0985・34・9983▽設立=2012年5月(創業=1990年2月)▽資本金=200万円▽従業員=人(含むパート)▽主要業務=着ぐるみの製作・補修、造形美術製作など▽URL=http://www.kigurumi.biz/(1)第1174号平成28年8月15日(月曜日)〈毎月、日発行〉 日本貿易振興機構(ジェトロ)は7月日、東京・赤坂のジェトロ内で、英国のEU(欧州連合)離脱(Brexit)問題を取り上げたセミナー「Brexitと日本企業への影響~ロンドン・ブリュッセルからの最新報告」を開催した。中小機構などが後援した同セミナーでは、ジェトロの坂口利彦ロンドン所長ら3人の講師が、それぞれの視点でBrexitの今後の見通しと日本企業に及ぼす影響などを解説した。欧州進出企業はもとより、他の企業にも大きく影響するテーマだけに、会場には200人余りが訪れて各講師の話に耳を傾けた。講演に続く質疑応答では活発な論議が繰り広げられた。 中小機構は7月日、東京・西新宿のベルサール新宿グランドで「越境ECまるごとフェスティバル2016」を開催した。中小企業・小規模事業者などが行う海外向けEC(電子商取引)ビジネスのプロセスで生じる多様な課題を解決する場として、セミナーや各分野の専門家らとの交流の場を設定。越境ECを目指す事業者が次のステージへ進むことを目指す。 同フェスティバルには、インターネット通販大手など社(前回は社)が参加し、約900人が来場した。越境ECの課題解決を目指すイベントとしては国内最大級の規模。8月2日に大阪市北区のナレッジキャピタルコンベンションセンター、同日には福岡市中央区のエルガーラホールでも開催された。 越境ECを展開する上で必要なプロセスとして、①マーケティング②サイト構築③出店④物流⑤決済―などがあり、多くの事業者はいずれかの段階でつまずくことがあるという。その解消のため、東京でのフェスティバルではプロセスごとに9会場のセミナーを実施し、それぞれの課題に適した内容を効率的に受講できるようにした。 基礎編として「今さら聞けない海外展開の基礎」「明日からすぐに役立つ実践知識」などのタイトルで海外展開の専門家が講演し、会場は満席状態だった。パネルディスカッションは「成功する企業と失敗する企業とは」「中国での日本企業の戦い方」の2テーマが行われるなど、1日の開催としては盛りだくさんの内容だった。 別会場に設けられた交流ブースには、大手通販、サイト構築、コンサルタント、物流など越境EC関連企業社がブースを置き、参加者から越境ECにおける課題や質問などに対応した=写真。 参加者はセミナー開催の合間を縫って交流ブースに足を運び、事業者からサービス内容を聞き、知りたいこと疑問に思っていることなど課題解決に向けて語り合い、会場は熱気で溢れていた。 ブース内には中小機構が運営する、中小企業と海外展開を支援する企業・団体とのマッチングを図るSWBS(中小企業ワールドビジネスサポート)コーナーを設置し、来場者に活用を呼びかけた。また、越境ECのイベントでは初めて「ECよろず相談」を行い、小売り、製造業などを中心とする社の相談に応じた。 「ECを始めようと考えているが、想定される課題や専門用語が分からず、どこから手をつけたらいいのか、という相談が多い」と担当者は話す。相談内容により交流の場に参加する企業へのアテンドなども行っていた。 政府は8月2日、中小企業技術革新制度(日本版SBIR制度)における平成年度中小企業・小規模事業者に対する特定補助金交付と、国等の契約(官公需)の基本方針を閣議決定した。特定補助金交付では、支出目標額を過去最高だった昨年度から5億円増額して460億円とした。また官公需では中小企業や小規模事業者の契約目標比率を前年度実績比4㌽上昇の・1%に設定した。 SBIR制度は中小企業などによる研究開発とその成果の事業化を支援する。研究開発のための補助金・委託費などを特定補助金として指定するもので、中小企業経営強化法に基づき、平成年度から交付方針を閣議決定している。今年度は支出目標額を引き上げたほか、施策情報や活用事例などを掲載している中小機構のビジネス支援サイト「J―Net」のSBIR特設サイトをリニューアルする。また、特定補助金を活用した研究開発成果のうち、事業化が見込まれるものについては中小機構主催の「新価値創造展」をはじめとする展示会などへの紹介の場を設け、販路開拓までを支援する。 一方、官公需契約の基本方針では、中小企業・小規模事業者向け契約目標比率を・1%に引き上げたことで、契約額は前年度実績比6・8%増の3兆8791億円とした。また、官公需に占める創業年未満の新規中小企業者向け契約の割合を年度までの3年間で倍増する目標の達成に向けて引き続き取り組む。 これらの目標を達成するため、経済産業省・中小企業庁は、①契約の実績比率が大きく低下している機関などに対して改善に向けた取り組みを聴取②平成年熊本地震被災地の中小企業・小規模事業者への適正な納期・工期の設定や迅速な支払い③地域中小企業の適切な評価④ダンピング受注防止のため、地方公共団体の役務発注に際し低入札価格調査制度、最低制限価格制度などの適切な活用の促進―などの措置を実施するとしている。 セミナーの冒頭、挨拶に立ったクリス・ヘファー駐日英国大使館貿易・対英投資部ダイレクターは「テリーザ・メイ新首相のもと、英国政府は投資環境の維持を最重要案件ととらえている」と述べ、EU諸国を除くと米国に次いで2番目の対英投資国となっている日本からの継続的な投資を呼びかけた=写真。 次いで、ジェトロの坂口ロンドン所長が、Brexitに関わる日系企業の懸念事項をモノ、サービス、資本、ヒトの4分野に整理、紹介したうえで「少なくとも2年間は現状の単一市場が維持される」と、対応期間は十分にあると説明。「その間、わが国政府全体として、企業のみなさんの声をよく聞き、集約して、英国政府に伝えたい」と、英国に働きかけていく意向を示した。 続いて、日本機械輸出組合の福永哲郎ブラッセル事務所長が、EUサイドの観点からBrexit問題を取り上げた。福永氏は「英国とEUは経済の面では離れ、競合が強まるが、外交・戦略的にはより強固になる可能性もある」「今後、英国はヨーロッパの中で、アジアにおける香港、シンガポールのような存在になっていくかもしれない」と予測。さらに「交渉の開始から3年が経過している日・EUのEPA(経済連携協定)の締結が非常に重要だと思っている。日・EUのEPAが次の日・英EPAにもつながっていく」との見方を示した。 最後に、アシャースト法律事務所の岩村浩幸ロンドンオフィス・パートナーが「Brexitの日系企業への法的影響」のテーマで講演した。岩村氏は、離脱後の英国とEUの関係について、EEA(欧州経済領域)とEFTA(欧州自由貿易連合)の両方に加入するノルウェー型、EFTA加入と2国間協定のスイス型、関税同盟のトルコ型など5つのモデルのどれかに落ち着くと解説。そのうえで「まだ不明な点が多いが、Brexit後も変化は緩やかに生じる」と見通して、「バタバタあせる必要はない」と強調した。 その後の質疑応答では「関税はどうなっていくか」「シティ(ロンドン金融ビジネス)の行方は」などが問いかけられ、活発な論議が交わされた。 シティの行方に関しては、福永氏が「EU各国は決済機能をロンドンから大陸に移すことに力を入れるので、その影響は免れない」とシティの衰退を予想したのに対し、岩村氏は「ドイツ語やフランス語を使うところに果たしてどれだけ移るか、テロの心配もあるし…。Brexitによってシティは終わりにはならない」との見解を披露。両者の発言からも、先行きを予測することの難しさがうかがえた。 同様のセミナーは7月下旬に大阪や名古屋でも開催された。各会場とも多くの聴講者が詰めかけ、Brexitに対する関心の高さが示された。

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