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売上高、利益とも伸び鈍化中小企業の年3月期業績動向東京商工リサーチ丸安ニット(名古屋市西区)和紙の服で勝負に出る品質認知され商品も徐々に浸透■消費者向け展開へ■認知度向上に3年■和紙でデニムも■販路開拓が鍵「2015〝よい仕事おこし〟フェア」開催全国の信金連携 ふるさと名品市も城南信金社の商材を紹介ファッション・デザイン展「rooms」中小機構 バイヤーらに生地と素材を提案地域資源商品の販路開拓サポート月施行の「ストレスチェック制度」狙いはメンタルヘルス不調の発症予防虎ノ門セミナー☎0166-65-1200☎022-392-8811☎0256-38-0770☎042-565-1192☎0561-48-3401☎0790-22-5931☎082-278-4955☎0949-28-1144☎0966-23-6800独自のものづくりを志向する伊藤社長192本の糸で丸編みができる、自慢のリバーシブルジャガード機【企業データ】▽代表取締役社長=伊藤安則氏▽本社所在地=名古屋市西区秩父通1―▽☎052・522・2171▽設立=1933(昭和8)年7月▽資本金=1000万円▽従業員数=人▽http://www.siffon.com http://www.maffon.com 紡績会社を経て家業の3代目を継いだ丸安ニット代表取締役社長の伊藤安則氏は、誰とでも気さくに話す明るい性格。アイデアマンであり、目標を定め突進するタイプ。だが、繊維産業は海外勢に押され衰退傾向。危機感を募らせていた。 「取引先の元気がなくなっていく。このままではじり貧になるのを待つだけ。雇用を守るためにも独自性を出し、新たな仲間をつくり消費者向けなど新分野に進出するべきと判断した」という。 あいち産業振興機構から小規模企業者等設備導入資金を受け、生地に立体的な絵柄を織り込める最新のリバーシブルジャガード機を導入。ジャガード柄生地を〝maffon(マフォン)〟のブランドで販売。カーシート用生地の生産も始めた。 そんな時、和紙で丈夫な糸が作れる、と岐阜の製紙会社から連絡が入る。すぐに飛びついた。 伊藤社長と和紙との関わりは、前職の紡績会社時代から。開発・営業を担当した2005年ごろ、和紙で生地を作るプロジェクトを手掛けた。しかし、細く強い糸が作れず断念。その後も製紙会社は研究を続け、吸湿性に優れた和紙の特徴を持ち、耐久性に優れ洗濯もでき、抗菌作用による脱臭効果もある和紙糸を開発した。 そこで和紙糸と木綿糸を組み合わせたメンズ向けソックスを作ったのだが「素朴過ぎたのか全く売れない。デパート前で露天商として商品説明をしながら細々と展開した。一人の客に分以上も話をすることもあり、労力は半端じゃなかった」と当時を振り返る。 それでも、履き心地の良さ丈夫さが口コミで広がり、リピーターが増える。商品アイテムを拡充、インナーソックスとして女性向けに見本を配るなど工夫することで認知度は徐々に向上。ここまでくるのに3年の歳月を費やしている。 商品開発へのアイデアは豊富。耐久性の強さを強調するため柔道着を作った。また、ジーンズメーカーに依頼し、横糸に和紙糸を使ったデニムでジーンズを試作。それを自身で身に付け確認して商品化するという。 来年の夏に向け取り組むのが和紙の浴衣。名古屋の有松絞り浴衣と美濃和紙のコラボ商品を作り販売する。「浴衣なら和紙の良さを五感で味わってもらえる」と準備中の自信作だ。 メンズ向けは「わしだがや」の商標で、伊藤社長自らがイメージキャラクターになり前面に立つ。和紙糸の製品全体は「Siffon」(紙フォン)ブランドで展開する。 デパート前の路上だった露天は、デパート内の常設売り場に移り、名古屋市内の繁華街にある老舗大手デパートへも販路を拡大した。伊藤社長は多忙な社長業の合間を縫い月に3~4日は店頭に立ち、顧客の評価に耳を傾ける。厳しい意見が参考になる。 中小機構とは、催事出展中にプロジェクトマネージャーと出会い支援を受けることにつながった。中小機構の販路支援の「NIPPON MONO ICHI」を通して各種展示会に出展。バイヤーなどからアドバイスを受ける「虎ノ門サポート会議」にも数回エントリーした。「自分では気が付かない貴重な指導を受けられた成果は大きい」と話す。 「危機感があった雇用は、逆に増やせる状態にもなってきた。若手が入りたいと思う会社にしなければいけない。当面の軸足は量産品に置きながら和紙製品を着実に拡大させていく。海外にも販路を広げていきたい」と今後の展開を語る。前を向き走り続ける経営者の口からは、〝愚痴と文句〟が一切出てこなかった。(3)第1153号平成27年10月1日(木曜日) 東京商工リサーチは9月8日、2015年3月期の「中小企業の業績」動向調査を公表した。それによると、売上高総額は前期比0・4%増と、増収幅は年9月期(前期比6・0%増)、同月期(同3・2%増)に比べて大きく鈍化した。年3月期の利益総額も3・0%増にとどまった。黒字企業率は年月期比で8・7㌽低下し、減益企業率は5・1㌽上昇するなど、収益ともに環境悪化が見て取れる。 この調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約401万社)から、年3月期決算が判明した資本金1億円未満の万1500社を抽出して分析した。 年3月期の増収企業の割合は・8%と、2四半期連続で過半数を割り込んだ。利益面でも、年9月期の・4%増、同月期の7・6%増に比べ伸びが鈍化した。赤字企業率・5%、減益企業率・5%も比率が上昇し、採算面で苦戦する中小企業が増加している。 産業別の売上高は、産業中、小売業、不動産業、金融・保険業、卸売業の4産業で前期比減収に転じ、全産業が増収だった過去2四半期に比べ対照的となった。減収率3・9%と最も高かった小売業の増収企業率は・8%と苦戦。インバウンド需要などで明るい兆しがみえている大手小売業に比べ、恩恵が中小企業には届いていないようだ。 一方、産業別の利益は、小売業を除く9産業で増益だった。減収幅が最大だった小売業は、利益面でも6・9%減と、唯一、減益を計上。また、赤字企業の割合では、サービス業他が・9%と最も高かった。小売業や飲食業など内需型の中小企業は、人件費高騰や仕入れ価格上昇が収益を圧迫しているとしている。 中小機構は、9月9日から日まで、東京都渋谷区の国立代々木競技場第一体育館で開かれたファッションとデザインの国際合同展示会「rooms(ルームス)」に、地域資源を活かした商品の販路開拓を支援するプロジェクト「Rin crossing(リン・クロッシング)」の専用ブースを設け、同プロジェクトの登録メーカーのうち生地や素材を手掛ける社の商材を紹介した=写真。9日の夕方には、同展示会場の近くのカフェで、バイヤーをはじめクリエイター、メディア関係者らと登録メーカーとの交流会も開催した。 roomsは、ファッションと生活雑貨の流通や企画生産などを手掛けるアッシュ・ペー・フランス(東京都港区)が2000年から年2回開催している展示会で、出展ブランド500以上、来場者はバイヤーやクリエイターらを中心に約2万人。ファッション、デザイン業界で世界的に注目されている。 中小機構が運営するリン・クロッシングは今回が4回目の出展で、「Rin crossing Material Base(マテリアル・ベース)」をテーマに、全国各地から伝統的技法を用いた希少価値の高い生地・素材を集め、アパレル、身の回り品、ファッション雑貨といったカテゴリーを超越したモノづくりのベースとして活用してもらうことを提案した。出展社それぞれが生産する生地・素材とあわせ、それらを用いて製作した同じ形・寸法のミニバッグをサンプルとして展示することにより、来場者への訴求を図った。 中小機構販路支援部の足立正販路開拓支援チーフアドバイザーは「roomsはアパレル業界、テキスタイル業界のバイヤーにとって、来ないと情報や流行に乗り遅れてしまうといわれるくらい特別な展示会で、万人受けするものよりも、ピンポイントでバイヤーに提案できる商品に向いている。今回は、社の生地・素材メーカーに同じバッグを作ってもらうことで、この素材を使うとこういうフォルムになると分かるような見せ方にした」と狙いを語った。 出展企業のうち、染物・織物メーカーの黒香師工房(京都市)は歌舞伎の衣装にも使われる「板場友禅」という生地を展示。冨田晴美代表取締役は「当社は素材メーカーなので、加工技術を持つ人など異業種の方々とお会いする機会がなかなか持てないが、この展示会ならファッションのバイヤーをはじめ、いろんな方に当社の素材を見てもらえる」と出展の動機を語った。 また、伊と幸(同)はさまざまな和柄を刺繍した薄物コート地をPR。北川幸代表取締役社長は「リン・クロッシングは毎回、いろんな仕掛けをしてくれて助かっている。当社は着物の素材となる生地が専門中の専門なので、(今回は)そこをクローズアップしてもらえてありがたい」と笑顔を見せた。 中小機構は9月3日、東京・虎ノ門の中小機構本部で虎ノ門セミナー「ストレスチェック制度について」を開催した。労働安全衛生法の一部改正に伴い、月1日に施行される「ストレスチェックと面接指導等を義務づける制度」の概要を、三觜みつはし明・中央労働災害防止協会健康快適推進部研修支援センター所長が解説した=写真。セミナーの中で、聴講者全員のストレス簡易調査も行われ、中小企業経営者ら約人の聴講者が新制度に対する理解を深めた。 三觜所長は、まず「新制度はメンタルヘルス不調の発症予防と健康増進に関わる1次予防のためのもの」と制度の位置づけを説明し、メンタルヘルス不調者の早期発見・早期対処(2次予防)や、不調者の職場復帰・再発予防(3次予防)が目的ではないとした。その上で、「対象となるのは従業員人以上の事業所」「健康診断が事業者、労働者の双方に義務づけられているのに対して、ストレスチェックは事業者だけが義務化されている」「労働者自身のストレスへの気付きを促して、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげるのが狙い」と、制度の建てつけや趣旨を解説した。 続いて、ストレスチェックの検査結果は機微な個人情報となるため、「労働者が同意した場合だけ事業者が知ることができる」「人事権者がストレスチェックの事務で関われる範囲は極めて限定的」「イントラネットなどを活用してストレスチェックを実施する際は、検査結果の保全や閲覧可能者の制限が前提条件になる」など、取り扱いには十分な配慮が必要だと説いた。 セミナーの途中で、聴講者全員がストレス簡易調査票を使い、自らのストレス度合いをチェックした。「時間内に仕事が処理しきれないか」「自分のペースで仕事ができるか」「イライラしているか」「目が疲れるか」「同僚と気楽に話ができるか」「仕事に満足しているか」など約の問いかけに「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」の4択で答え、自身のストレスの状態を知るとともにストレスチェックに対する理解を深めた。 セミナーの最後に行われた質疑応答では「ストレスチェックの委託先は何を基準に選べばいいのか」「当社にはの事業所があり、うち人以上が2カ所。どのようにストレスチェックをすればいいのか」など、聴講者からさまざまな質問が三觜講師に投げかけられ、新制度への関心の高さをうかがわせた。 城南信用金庫(東京都品川区)主催の「2015〝よい仕事おこし〟フェア」が9月8、9の2日間、東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催された。全国の信金が協賛したほか、経済産業省関東経済産業局、東北経産局、中小機構関東本部などが後援した。4回目となる今回は、メーン展示としてビジネスエリア、東日本大震災の被災地を中心とした特産品販売・ご当地飲食エリアに加え、北海道から沖縄までのふるさと名品を紹介・販売する「全国!信用金庫のご当地逸品イチ」も併催=写真。来場者に自慢の商品を展示・即売した。2日間の来場者は約3万人を数えた。 初日の開場前に開かれた開会式では、城南信金の守田正夫理事長が「これまでも東日本大震災の復興支援をテーマとしてきたが、今回はご当地逸品イチを初開催し、地方創生にも協力する。今後もこのフェアを通じて、各地の中小企業を支援し、明るく元気な日本にしたい」と挨拶。来賓として、長島忠美・復興副大臣、内堀雅雄・福島県知事(代読)、鍛治克彦・関東経産局長、鞆田周一・関東財務局東京財務事務所長が祝辞を述べ、テープカットした。 会場は、「機械・金属・電子製造」「加工技術」「印刷・その他製造」「IT・情報通信」「健康・医療・福祉・環境」「建設・土木・住宅」「その他」に分かれた企業ゾーンの204ブースに加え、「東北応援!特産品販売」(ブース)や「東北駅弁・地酒祭り」コーナー、「ふるさと〝にっぽん〟観光エリア」なども設けられ、BBとBCが融合した展示会となった。別会場では、過去最多の社のバイヤーが参加した出展者との商談会も開かれた。 初開催となった「ご当地逸品イチ」は、城南信金が全国の信金に呼びかけ、100を超える信金の協力を得て、地域のいち押し商品約150品を展示・即売。会場では企業関係者だけでなく、一般入場者も興味深く見て回り、商品を購入していた。城南信金では、来年以降もこのイベントを継続する予定だ。 また、エントランス展示会場では、ふるさと観光エリアや行政・学校・海外関係などのブースも並び、中小機構関東もブースを出展し、中小企業支援策などの相談に対応した。

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