20150915
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中小企業庁長官 豊永厚志氏に聞く特別インタビュー小規模企業対策 広く浸透へイノベーション推進、創業・事業承継支援も「躍動感ある企業」増やす「日本の潜在力は地方にある」石破大臣、熱く語る日本財団・中小機構が「出身地DAY」億円増の億円中小企業対 策 費平成年度予算 経産省概算要求中小企業・小規模事業者 「稼ぐ力」強化へ2面に続く5 販路開拓・海外展開の促進4 生産性の向上(イノベーション強化等)3 地域の小規模事業者の活性化2 経営支援体制の強化1 被災地の中小企業・小規模事業者へのきめ細かな対応大学発ベンチャー8社を表彰・JST、NEDO (面)7~9月期から回復軌道へ・景気動向 (面)ギフト・ショーに「MONOICHI」 (面)医療機器・ものづくり商談会を開催・関東経産局 (面)(1)第1152号平成27年9月15日(火曜日)〈毎月、日発行〉 経済産業省・中小企業庁長官に、中小企業庁次長、日本政策金融公庫専務などを歴任した豊永厚志氏が7月日付で就任した。最初の仕事となる平成年度予算概算要求がまとまったのを機に、中小企業行政の舵を取るに当たっての基本姿勢を聞いた。豊永長官はこの中で、小規模企業対策を広く浸透させるとともに、イノベーションを推進し、躍動感のある企業を増やしていくための施策に力を入れる考えを示した。 豊永 厚志氏(とよなが・あつし) 昭和年東京大学法学部卒。同年通商産業省(現経済産業省)入省。特許庁総務部総務課長、大臣官房参事官(製造産業局・総合調整担当)、大臣官房審議官(政策総合調整担当)、中小企業庁次長、商務流通審議官、商務流通保安審議官、日本政策金融公庫代表取締役専務取締役などを経て平成年7月から現職。小学6年生から始めた剣道は7段の腕前。テニスも愛好。最近、自宅の庭でメダカを飼い始めた。鹿児島県出身、歳。 中小機構が運営する東京・大手町のビジネス創発拠点TIPSで8月日に開かれたイベント「出身地DAY」に、石破茂・地方創生担当大臣が出席し、都市と地方の関係、地方にある潜在力を引き出す必要性などについて熱く語った=写真。 石破大臣は冒頭、日本は世界に誇れる自然や文化があるが、外国人観光客数は先進国の中では少なく、〝名物に旨いもの無し〟と言われている状況を改善すべきだとし、「いま必要なのは自信と誇りと愛情だ。地方にある潜在力をどのように引き出し、付加価値をつけていくか。若い人の意欲と感性で地方を変えてほしい」と強調した。また、目的を持って東京に集まった地方出身者に対し、「志を果たして地元に帰ろう。地方でやるべき仕事があるはずだ。いつの時代でも世の中を変革してきたのは中央ではなく地方であった。(よりよい日本のため)みなさんと一緒に取り組んでいきたい」と呼びかけた。 「出身地DAY」は、首都圏在住の地方出身者たちが、個々の具体的な取り組みや思いを共有し、地域活性化に資する新たな人とのつながりや地方創生の芽を見いだすことを目的とするイベント。アイデア創出の拠点を標榜するTIPSの趣旨に沿う活動として、主催する日本財団CANPANプロジェクトと中小機構が連携して開催している。 経済産業省は8月日、平成(2016)年度予算概算要求をまとめ、財務省に提出した。このうち、中小企業対策費は1370億円と年度当初予算を259億円上回る規模を計上した。日本の企業数が直近3年間で万者減少しており、そのうち万者を小規模事業者が占めていることを重視、中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を強化する施策に重点を置く。具体的には①被災地の中小企業・小規模事業者へのきめ細かな対応②経営支援体制の強化③地域の小規模事業者の活性化④生産性の向上(イノベーション強化等)⑤販路開拓・海外展開の促進⑥新陳代謝・事業承継の促進⑦人材確保支援の充実⑧資金繰り支援等―の8つを柱に掲げた。 ○小規模事業対策推進事業【110億円(拡充)】 ・経営発達支援計画の認定を受けた、商工会・商工会議所が行う、伴走型の小規模事業者支援をより強力に推進する。 ・小規模事業者が商工会・商工会議所と一体となって取り組む販路開拓支援(持続化補助金)等を実施する。 ○小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資等)【億円(継続)】 ・日本政策金融公庫が商工会・商工会議所の経営指導等を受けた小規模事業者に対して、無担保・無保証人の低利融資を行う。 ◆改正小規模企業共済法 ・親族内での事業承継や役員の退任にかかる共済金の引上げ等の措置を講じる。 ○中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(グループ補助金)【事項要求】 ・被災3県の津波浸水地域や福島県の避難指示区域等を対象に、中小企業等グループが作成した復興事業計画に基づく、施設の復旧・整備を支援する。 ○中小機構運営費交付金【・2億円(継続)】 ・被災中小企業・小規模事業者への相談や助言、仮設施設の整備やその活用に関する支援を実施する。 ○被災中小企業・小規模事業者への資金繰り支援【107億円(継続)】 ・被災中小企業・小規模事業者に対する「東日本大震災復興特別貸付」など、低利融資等を実施する。 ○被災中小企業・小規模事業者等への事業再生支援【・6億円(継続)】 ・被災県に設置された「産業復興相談センター」において、二重債務問題等の相談受付や再生計画策定支援、「産業復興機構」への債権の買取要請等を実施する。 ○中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【億円(拡充)】 ・各都道府県の「よろず支援拠点」の機能拡充・強化を図る。 ①サブコーディネーターの増員、能力向上によるサービス生産性・知財・IT(情報技術)等の経営課題への相談機能の充実 ②サテライト拠点の設置等による利便性の向上 ③地域の支援機関との連携強化 ・「よろず支援拠点」やポータルサイト「ミラサポ」を通じて、マイナンバー導入等の課題の周知や、中小企業・小規模事業者施策の普及を推進する。 ・以上の施策を「成長戦略の見える化プロジェクト」(①「成功の秘訣」の見える化②ビジネスチャンスの見える化③「支援体制」の見える化)と連携して推進する。 ◆橋渡し機能の強化・知財総合支援窓口の整備 ・産業技術総合研究所における橋渡し機能の強化、知財総合支援窓口の拡充等により、中小企業の技術的課題の解決を支援する。 ○ふるさと名物応援事業【億円(拡充)】 ・地域資源を活用したふるさと名物の開発や地域内外への販路開拓に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する。 ◆改正地域資源法 ・「ふるさと名物」の販路開拓等を支援する者の認定等の措置を講じる。 ○中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業【億円(継続)】 ・日本貿易振興機構(ジェトロ)・中小機構が連携し、海外展開事業計画の策定や展示会出展等の支援、進出後の課題対応まで、一貫支援を行う。 ○地域・まちなか商業活性化支援事業【億円(継続)】 ・コンパクトシティ化に取り組む「まち(中心市街地)」、地域コミュニティや買物機能を維持・強化する「商店街」が、地方自治体と連携して行う、先進性が高く、他のモデル事業となる取組を支援する。 ○戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【140億円(継続)】 ・中小企業・小規模事業者が行う産学官金連携による革新的な研究開発や新しいサービスモデルの開発等を支援する。 ・知財計画を踏まえたセキュリティが整った開発環境を構築する。 ○中小企業・小規模事業者人材対策事業【後掲】 ・マイナンバー(社会保障・税番号制度)の導入などの課題に対して、中小企業・小規模事業者の取組を支援する。 中小企業・小規模事業者施策の柱となる8テーマにおけるそれぞれの重点施策とその内容、概算要求額は次のとおり(○は予算関連、◆は予算関連以外の措置、カッコ内の「継続」「拡充」「新規」は前年度との比較、「事項要求」は予算編成過程で金額等を検討する項目) まず、長官に就任されての抱負をお聞かせください。 「私は中小企業を営む家に生まれ、家業を手伝いながら育ったので、非常に感慨深いものがあります。また、責任を重く感じております。直前は日本政策金融公庫にいましたので、中小企業の方々とずいぶんお話しする機会がありましたが、より広範囲の方々と接触を持ち、いろんなご期待に応えていけるように全力で努めていきたいと思います」   中  小  企  業  行  政に、どのような基本姿勢で臨まれますか。 「中小企業は、日本の産業の強さのかなりの部分を担っています。分かりやすいのは製造業ですけども、これだけ分厚い中小企業層または小規模事業者層があって、初めて日本の大企業が海外と戦える。また、〝安全・安心〟といった信頼性の高いものが国民に提供されているのだと思います。サービスについても、『おもてなし』という言葉に象徴されるように、一部の会社だけではなく、すべての中小企業が顧客に真摯な対応をするというのは、世界的にも稀有なことではないかとさえ思えます。そういう日本の良さ、またそれを支え、体現している中小企業の方々を大事にしていかなければいけないと思っています」 「日本の中小企業施策は海外と比べて遜色がなく、むしろ丁寧に整備されていると思います。それを中小企業の方々に十分に使っていただく必要があります。一方で、そこに乗っかっているだけではいけないとも考えます。すなわち、中小企業の方々に施策を使い倒していただいて、その上で、自分なりの工夫を持って自主的に、前向きに事業を進めていただきたい」 昨年6月の「小規模企業振興基本法」制定に伴い、小規模企業施策が拡充されてきました。一方で、地域の中核企業としての中小・中堅企業向け施策の拡充も求められています。中小企業の定義の見直しも含めた「中小企業基本法」改正のお考えはありますか。 「小規模企業施策については、ここ2年ぐらいの間にかなりの充実を見たと思います。いちばん大事なのは、中小企業庁もその他の関係者も、小規模企業の実態をより細かく注意深く見るようになってきていることだと思います。どのような業種が何社あるのかといったきめ細かい分析が共有され、実態に応じた施策の用意ができるようになった。個人的にも、改めて『小規模企業白書』第1号を読んでみると大変面白いし、目からうろこの思いがする。今後の施策も、中小企業の中の規模の大きい方々、小さい方々、グループを組んでいる方々などと細かく分けて、それに見合うメニューを用意するようになるでしょう」 「ただ、中小企業の定義の見直しについては、現段階では、その必要性を強くは感じていません。基本法の定義する中小企業から漏れる方々には、いわゆる中堅企業を含むだけではなく、社会福祉法人や医療法人、学校法人、組合などいろんな法人形態がある。日本全体の経済産業構造を議論するのであれば、これらを含めて考える必要があると考えます。実際のところ、中小企業施策は、基本法が定義する中小企業を核としながらも、税制をはじめ、融資、補助金なども、それぞれの実態を踏まえて適用範囲を決めているケースも少なくありません。中堅企業についても、必要ならば実態を踏まえて目的にあった施策が講じられることになるでしょう」 来年度予算概算要求のポイントは。 「まず、第一に、東日本大震災で被災されている中小企業には万全の手当てをしていきます。そのうえで、3つの柱を念頭に取り組んでいきます。1つ目は、小規模企業対策を引き続き拡大し、浸み透るように定着させていきます。これは時間もかかることですが、最大限取り組んでいきたい。2つ目は、中小企業の方々がイノベーションに挑戦し、付加価値の高い商品・サービスを作る取り組みをするために必要な資金なり情報なりを提供していきます。それによって、中小企業の〝稼ぐ力〟を増していってほしい。3つ目は、人手不足対策にも関わるのですが、躍動感のある中小企業になってもらうために、創業、第二創業、事業の承継、それから円滑な廃業といった中小企業の動きをできるだけ円滑にシームレスに移行できるようにしていきます」

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