20150415
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NSマテリアルズ(福岡県筑紫野市)ナノ蛍光体で新市場開拓画像を高色域化、省電力も実現■3原色を制御■生産量100倍■照明分野にも■組織体制も整備中小機構関東海外展開セミナー開催自動車部品、メキシコに可能性被災事業者販路開拓支援事業「みちのく いいもん うまいもん販売会」中小機構4百貨店で順次開催第5回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞経産大臣賞マルトなど社が受賞新設の厚労大臣賞はクラロン☎0166-65-1200☎022-392-8811☎0256-38-0770☎042-565-1192☎0561-48-3400☎0790-22-5931☎082-278-4955☎0949-28-1144☎0966-23-6800 【企業データ】▽代表取締役=金海榮一氏▽本社所在地=福岡県筑紫野市立明寺511―1、クリエイション・コア福岡内▽電話=092・405・0290▽設立=2006(平成)年5月▽資本金=約3億1800万円▽従業員=約人▽URL=http://www.ns-materials.com「まずはディスプレー分野に集中する」と話す金海代表取締役NSマテリアルズの材料検査工程 テレビ、スマートフォンなどのディスプレーは絶え間ない高画質化や低消費電力化の技術開発が進む。この分野で独自技術により、ディスプレー用途だけでなく、LED(発光ダイオード)照明などの新市場開拓に挑むのが、産業技術総合研究所発のベンチャー企業、NSマテリアルズだ。 同社は昨年末、産総研と共同開発したマイクロ空間技術による「高輝度LED光源用高機能ナノ蛍光体」の量産化と実用化を発表した。マイクロ空間技術とは「微小空間で原料となる溶液の化学反応を超精密に制御し、ナノ(1は億分の1㍍)サイズの粒子を目的の大きさで生成する」(金海榮一代表取締役)ことだ。 この技術を使って化合物半導体を合成した「量子ドット蛍光体」は、粒子径が数~数十㍍と、従来の蛍光体に比べ1000分の1程度となる。蛍光体は粒径により蛍光色が違うため、光の3原色をコントロールでき、「液晶ディスプレーのLEDバックライトに用いれば画像の高色域化に対応し、低消費電力化も可能だ」(同)。 高色域化は、実験放送が始まっているテレビの4K放送だけでなく、次世代の8Kにも必要。省電力化については、再現色を制御できるため「これまで熱として捨てていた色をつくらない」(同)ことで実現する。例えばスマホに使用した場合、最大で液晶ディスプレーの%、スマホ全体で%の消費電力をカットできるという。 金海氏によると、画像の高色域化には3色レーザーを使う方法もあるが、これだとバックライトユニットをゼロから設計し直す必要があるという。 これに対し量子ドット蛍光体は、従来の液晶パネルの構造を変えずに済み、製造装置の変更も不要なためコストメリットも大きい。こうした優位性から、スマホ、パネルメーカーだけでなく、バックライトやフィルムメーカーなど「国内外の数十社と商談を進めている。蛍光体の生産量も現在の月産数十㌔㌘から、来年には数㌧と、100倍に増やす」(同)。 産総研の技術をベースに2006年に設立した同社は当初、各種ナノ材料を受託開発していたが、LED市場の成長に伴い、LED光を改善するために量子ドット蛍光体が有力と考え、量産ツールの開発に乗り出した。この技術が年にサポイン(戦略的基盤技術高度化事業)に採択され、国の補助も受けて量産に成功した。 量子ドット蛍光体はディスプレー向けだけでなく、色再現性を高めるLED照明向けも狙っている。従来の照明は青、黄、赤色LEDで自然光に近い白色や電球色を演色してしたが、「量子ドットだと、蛍光灯や電球と同じ波長の光を作り出せる」(同)。例えばスーパーの売り場では、魚や肉、野菜などの商品の色が映えるよう、売り場によってハロゲンランプとフィルターで調色しており、LED化できていない。量子ドットによってLED化できるほか、肌の色が映える化粧品や美容室などの需要も見込める。照明分野も「遠くない将来に商品化できる」(同)。 量子ドットの可能性はこれだけではない。もともと光の波長変換材の機能を持つため、太陽光発電にも応用可能だ。現在の太陽電池は発電に寄与しない紫外光の波長を利用できていないが、それを発電に使える波長に変換すれば「発電効率を大きく向上できる」(同)。太陽光発電の大量導入が進む中で、「新規設備だけでなく、既存の電池に、例えばフィルム状の量子ドット蛍光体を張り付けるレトロフィットも可能」という。 これら画期的な技術基盤を持つ同社は、中小機構が運営するインキュベーション施設「クリエイション・コア福岡」に入居し、専門家から税務や労務などの助言を受け、成長企業としての組織体制を整えてきた。 金海氏は、ディスプレー向け材料だけでも、「数百億円の市場になる」と予測。その次は照明や太陽電池、さらには「新しい特性を持った金属複合材料も視野に入れている」と、将来の青写真を描く。(3)第1142号平成27年4月15日(水曜日) 中企庁長官賞は清川メッキ工業(福井市、めっき技術開発・製造・加工)が受賞。不良品を出さない品質管理と生産性を高める仕組みや女性、高齢者、障がい者が働きやすい環境を実現していることなどが評価された。実行委員長賞には日本植生(岡山県津山市、環境緑化製品製造販売)が選ばれた。 来賓として出席した山本香苗厚生労働副大臣は「長時間労働削減本部を立ち上げ、休暇取得、若者雇用、多様な働き方などへの取り組みを急いでいる。進展させるためには、人を大切にする会社を増やすことが大事だと感じた。この取り組みを社会全体で加速させていきたい」と祝辞を述べた。岩井茂樹経済産業大臣政務官は「地域に貢献するみなさんを応援する。そのためにも着実に経済の好循環を実現しなければいけない。雇用を守り、地域を大切にする企業がさらに増えていくことを期待する」と挨拶した。 その後、主催者や来賓を交えて受賞企業の代表らが記念撮影を行い=写真、マルト、クラロン、清川メッキ工業の3社の代表が人を大切にする取り組みの内容や受賞の喜びなどをスピーチした。 同賞は①従業員とその家族②外注先・仕入先③顧客④地域社会⑤株主―を主体に人を大切にしていることを応募条件としている。具体的には、過去5年以上リストラをしたことがなく、仕入れ先企業、協力企業にもコストダウンを求めず、障がい者雇用も法定雇用率を下回らないことが前提。業績が優良であっても離職率が%以上、所定外労働時間が1カ月時間を超えていると失格となる。こうした厳格な審査基準のもとで、人の幸せを実現する行動を継続して実践している会社の中から、書類審査、現地調査を経て最終審査で受賞企業が決められる。 審査委員会特別賞を受賞した企業は次の9社。 ▽Acroquest Technology(横浜市、情報システム開発業)▽久保田オートパーツ(宮崎市、自動車リサイクル業)▽こんの(福島県郡山市、再生資源卸売業)▽さくら住宅(横浜市、建築工事・建築企画設計業)▽障がい者つくし更生会(福岡県大野城市、不燃性一般廃棄物中間処理施設の運転・管理業)▽白鳩会(鹿児島県南大隅町、障害者支援施設)▽たんぽぽ介護センター・ステラリンク(愛知県一宮市、介護サービス業)▽ファースト・コラボレーション(高知市、不動産賃貸の仲介・管理業)▽フジイコーポレーション(新潟県燕市、除雪機・草刈り機製造販売業) 中小機構は3月中に、岩手、宮城、福島3県の中小企業が自慢の食品や工芸品などを展示販売する「みちのく いいもん うまいもん販売会」を仙台市、盛岡市、東京都新宿区、郡山市の4つの百貨店で順次開催した。東北3県の復興支援を目的とした販路開拓支援事業で、参加各社は来場客に試食を勧めるなど認知度向上に努めた。 中小機構は東北3県復興支援イベントとして、これに先立ち、2月中旬に東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた「スーパーマーケット・トレードショー2015」でバイヤー向けの「みちのく いいもん うまいもん商談会」を開催しており、百貨店での一般消費者を対象にした販売会は同イベントの第2弾。3月7~日に仙台市の藤崎百貨店、~日に盛岡市のパルクアベニューカワトク、~日に東京都新宿区の京王百貨店新宿店、~日に郡山市のうすい百貨店で開催した。 このうち京王百貨店新宿店での販売会には、社が参加。メーン会場の催事場では同百貨店の別催事が行われていたこともあり、初日から大勢の買い物客が押し寄せた=写真。 宮城県女川町に本社を置く夢食研は「きらら女川」ブランドの「炙りさんま」や「炙りほたて」を販売。松原千晶専務取締役は「特許製法で製造した商品で、サンマやホタテの表面だけ炙って生のまま冷凍しているので、電子レンジで温めるだけで本格派の味を楽しめる」とPRした。津波で工場が流失し、鳥取県に工場移転していたが、女川でも新工場が稼働し、三陸産の新鮮な魚介を使えるようになったという。 岩手県一関市の世嬉の一酒造は清酒「世嬉の一」と地ビール「いわて蔵ビール」をアピール。沼倉桂部長は「東京にはいくつか販路があるが、この機会を生かしてさらに販路を広げたい」と首都圏の販路拡大に意欲を見せた。震災では酒蔵が傾くなどの被害があり、製造設備面では「まだ完全復調できていない」そうだが、「営業はできるので頑張りたい」と話した。 明治年創業という狩野食品(宮城県大崎市)は「八福」ブランドの「しそ巻きくるみ揚げ」をPRした。狩野隆俊代表取締役は「震災で工場の機械がすべて損壊したが、このしそ巻きくるみ揚げだけはプロパンガスさえあれば手作りできるので、1カ月後に生産を再開した」と説明。昨年、中小機構が主催した商談会で首都圏に新たな販路ができたことから、「さらに都内のお客さまの認知度を高めたい」と語った。 中小機構関東本部は3月日、東京・虎ノ門の中小機構本部で、海外市場の開拓を目指す中小企業経営者らを対象とする「海外展開ワンポイントセミナー」を開催した。セミナーは、台湾の魅力の説明、自動車部品メーカーへのアドバイス、各種支援策の解説など、盛りだくさんの内容で、来場者は海外ビジネスの商機をみつけようと、各講師の話に熱心に耳を傾けていた=写真。 セミナーでは、まず岩永秀典・中小機構関東本部海外販路開拓支援シニアアドバイザーが「ハブとしての台湾~台湾経由で中国・アセアンへ進出~」と題して講演した。 岩永氏はこの中で、台湾経済について、各国との経済協定、日台の貿易状況・投資状況など、さまざまな切り口から解説したうえで、中国市場に広く深く浸透し、アジアにもパイプを持つ台湾企業と連携することの意義を強調。日台連携により、中国やベトナムに進出し成功している事例を挙げて、台湾を足掛かりとする海外展開策を推奨した。 続いて「今こそ、考えたい海外進出(中小自動車関連部品メーカーの海外戦略)」というテーマで、元廣俊樹・同シニアアドバイザーが講演した。元廣氏は、日本の自動車輸出ビジネスの構造変化に触れ「もはや円安になっても輸出は増えず、海外生産は伸び続ける」と、海外生産対応の重要性を説いた。 その上で、「海外の地元サプライヤーが急激に力をつけており、日本の中小下請けメーカーが生き残るのは容易ではないが、タイのライバルと目されるメキシコが市場規模や受注の可能性などから有望で、今から進出するならメキシコだ」と、イチオシの進出先を指摘した。 引き続き、飯田学・中小機構関東本部販路開拓部参事が海外進出時の各種支援策や国際貿易協定、優遇措置などを説明し、「展示会の出展が効果的」「(支援策や優遇措置には)手続きなどが分かりにくいとの声もあるが、ぜひ有効活用してほしい」などと聴講者に呼びかけた。 第5回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の表彰式が3月日、東京都千代田区の法政大学市ケ谷キャンパスさったホールで開催され、経済産業大臣賞に選ばれた生鮮食品・加工食品・衣類雑貨などの販売会社であるマルト(福島県いわき市)と、新設された厚生労働大臣賞に選ばれたスポーツウエア製造業のクラロン(福島市)がそれぞれ表彰された。このほか、中小企業庁長官賞と実行委員長賞を含めて全部で社に贈賞が行われた。 同表彰制度は今回から主催が「人を大切にする経営学会『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞実行委員会」に引き継がれた。後援も従来の経済産業省、中小企業庁、中小機構などのほかに新たに厚生労働省が加わり、厚労大臣賞が創設された。 表彰式は、はじめに事業構想大学院大学の清成忠男学長(元法政大学総長)が「学会を立ち上げ、学会として表彰することにした。『日本でいちばん』としているが、顕彰する企業はグローバルにも通用する。この取り組みは、価値ある企業を表彰する社会的な運動だ」と挨拶。続いて法政大学の田中優子総長が「経済の語源は『経世済民』。江戸時代から使われ始めた言葉で、利益の追求ではなく社会のため、といった意味がある。日本社会の倫理観として古くからある考え方を広め、草の根的な活動として展開してほしい」と語った。 その後、人を大切にする経営学会会長で審査委員長の坂本光司・法政大学大学院教授が審査基準を説明したうえで、「今回は自薦社、他薦社の合計社から応募があり、社を選定した。表彰数が増えたが、これは審査基準のハードルを下げたからではなく、大切にしたい会社が増えたことが要因だ」と語り、選定した企業・団体を紹介した。 経産大臣賞のマルトは東日本大震災発生の当日、社員自らが店を開けるなど地域、顧客に貢献する取り組みと、それを持続する安全性・健全性を高める経営が評価された。厚労大臣賞のクラロンは障がい者雇用率が・3%と高く、高齢者・女性雇用にも積極的で地域に不可欠な存在となっていることなどが受賞理由となった。

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