20150415
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▷4◁ここなら商店街 (福島県楢葉町)町民帰還願い地元に貢献「私たちにはこの仕事しかない」不安の中でスタート古里への思いが支え「がんばる中小企業・小規模事業者社」「がんばる商店街選」 中企庁が授賞式日本経済牽引へ羽ばたく自慢の〝上手物〟アピール中小機構北陸・中部 北陸・東海工芸品フェアじょうてもの2面へ続く1~3月期中小企業景況、マイナス幅縮小 (面)売上高、経常利益とも増加・中小企業実態調査 (面)「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞表彰式 (面)テンクウマルシェ西日本開催社が出展 (面)旧町役場前に立地する「ここなら商店街」 「お昼と夕方の来店客は思っていた以上。商品配達もしており、忙しい状態が続いています」 こう話すのは、中小機構が整備した福島県楢葉町の仮設商業店舗「ここなら商店街」で、食品中心のスーパーチェーン「ブイチェーン楢葉店」を運営するネモトの根本茂樹代表取締役だ。商店街にはこのスーパーのほか、麺類中心の食堂「おらほ亭」、定食の「武ちゃん食堂」という3店舗が入居する。 福島第一原子力発電所の事故によって、ほぼ全町が警戒区域に指定され、全町民避難となった楢葉町。現在でも3400世帯以上、7400人以上(今年1月末現在)の町民が避難生活を続け、主な役場機能もいわき市に移転している。一方で、平成年に警戒区域から避難指示解除準備区域となったことで、昼間の出入りが可能となった。昨年6月には元の町役場に「帰町準備室」が置かれて一部業務を再開。4月からは準備宿泊が始まるなど復興に向けた取り組みが進んでいる。 「ここなら商店街」は、一時帰宅した住民に必要な施設として楢葉町が計画したもので、昨年7月末にオープンした。しかし、その時点では町民は全く戻っておらず、不安の中でのスタートとなった。 根本さんは震災前、楢葉町で2つの駅前でスーパーを運営していたが、震災後はいわき市の仮設住宅内と楢葉町内のJヴィレッジ内の2つの仮店舗に縮小。そんなときに町から仮設商店街への出店を勧められた。「スーパーは出店する場合、500㍍圏内に何人住んでいるかで判断しますが、目の前の国道6号線を通る人がどれだけ入店してくれるか不安はありました」と打ち明けるが、「古里の復興に黙っていられなくて、応援してくれる人もいたので出店を決めました」という。 実際に営業を始めると、作業現場から最も近くの店舗という立地もあって、除染や原発の廃炉作業に携わる人が大勢、来店している。ネモトの従業員は震災前の人から人に減ったが、楢葉店には「地元で働きたいという人が多いので、できるだけ働く場所を提供したい。この人員で何とか頑張りたい」と意気込む。 「地元に戻って商売をしたい」という気持ちは、武ちゃん食堂の佐藤茂樹さん、美由紀さん夫妻、おらほ亭の横田峰男さんも同じだ。 佐藤さん夫妻は震災前、町内の竜田駅前で先代から数えて約年間営業していた。一日でも早く食堂を再開しようと、避難先のいわき市で店舗を探してもいたが、やはり古里・楢葉でとの思いが固まったときに、仮設店舗への誘いがあったという。住民もいない、原発関連の作業員もいつまでいるかという不安もあったが、「これまで店を続けられたのは地元の人のおかげ。その地元の人に恩返しをしたい。楢葉のために頑張っている作業員のお役にも立ちたい」(美由紀さん)と思い、出店を決めた。 来店客は作業員がほとんどだが「避難先から3、4時間かけて食べにきてくれる地元の人もいます。私たちにはこの仕事しかないと思っています」(同)。 一方、食料品販売店を経営していた横田さんは、いわき市に避難。同市内で事業再開した時に、仮設店舗への入居の誘いを受ける。「作業員の方が早く食べられて、残りの昼休み時間をゆっくりできるよう、そばやうどんを提供したい」と考えて出店。「採算は悲観的に考えていたが、想定していた2・5倍の来客数」という。現在では定食もメニューに加えており、「半分以上はリピーターです」と順調な様子。 楢葉町では昨年から今年にかけて、竜田駅までJR常磐線が運行再開、中学校の新校舎完成など、町民帰還に向けて復興への槌音が確実に響いている。ただ、この3店に共通する悩みはある。「仮設」のため、いずれは移転せざるを得ないことと、今後、町民がどの程度戻るかが分からないことだ。復興庁が昨年月に公表した福島県の避難住民に対する将来の帰還意向調査によれば、楢葉町の場合、「すぐに戻る」と「条件が整えば戻る」が合わせて・7%に対し、「今はまだ判断できない」と「戻らない」が計・4%と、半分を超えた。 加えて、現在の主な顧客となっている原発関連の作業員が今後、どう変動するかも予測しづらく、「いつまでお客さんでいてくれるか」(佐藤美由紀さん)という不安も拭えない。 それでも「住民が戻れば、(生活用品を販売する)インフラは必要」(根本さん)、「うちの看板を見てホッとするという地元の人もいて、勇気づけられます。地元の人の心の支えになれればと考えてやっていきます」(佐藤美由紀さん)、「楢葉がどんな風に変わっていくかを知りたい。これまでの経験を生かし、今後も何らかの形で楢葉と関わっていきます」(横田さん)と、町の再生を願う気持ちは共通する。 町民の帰還を願い、古里を思う気持ちが、楢葉町の着実な復興を支えていくに違いない。ここなら商店街に入居する(左から)ブイチェーン楢葉店の根本さん、武ちゃん食堂の佐藤さん夫妻、おらほ亭の横田さん(1)第1142号平成27年4月15日(水曜日)〈毎月、日発行〉 経済産業省・中小企業庁は「がんばる中小企業・小規模事業者300社」と「がんばる商店街選」を選定し、3月日に東京・霞が関の経産省本館内講堂で授賞式を開催した。同表彰制度は、地域経済と雇用を支えるなどさまざまな分野で活躍している中小企業・小規模事業者と、地域の魅力を発信し地域の活力を向上させる要となる商店街を選定することで、表彰事業者の社会的認知度の向上と従業員のモチベーションを高めることなどを目的として実施している。 (2面に受賞企業および商店街一覧)宮沢経産大臣(中央左)から感謝状を受け取るフジクリーン工業の渡辺社長(同右) 冒頭、主催者の宮沢洋一経済産業大臣が登壇し、「政府が進める成長戦略を成功させるためには、日本経済のエンジンを従来型の薄利多売から少量生産・高付加価値化を志向する新型へと変換する必要がある。それを実行するのが私の仕事だ。プラットホームを構築し、中小企業のみなさんをしっかりと支えていく。受賞されたみなさんは現在の取り組みを核として、大きく羽ばたいてほしい」と挨拶した。 続いて、今回選定された中小企業・小規模事業者300社を代表するフジクリーン工業(名古屋市)の渡辺嘉一代表取締役社長と、商店街選を代表する中島商店会コンソーシアム(北海道室蘭市)の小野寺芳子代表幹事に対し、宮沢大臣から感謝状と盾が授与された。 今回の表彰候補の事例収集と選定は、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会、中小機構、各経済産業局などからの推薦を得て外部有識者が審査し、中小企業政策審議会中小企業経営支援分科会(分科会長=鶴田欣也・全国中央会会長)で決定した。 中小企業300社の審査委員を務めた沼上幹・一橋大学副学長は「中小企業は多種多様であり、複数の視点で見ることが必要だ。じっくりと議論し、①地域②海外展開③ものづくり④サービス―の4つを軸として、それぞれの分野でがんばる企業を絞った。とくにサービスの視点では議論に時間がかかったこともあり、日本はものづくりを見る目は訓練されているが、今後はサービス業を見る目を育てることが大事だと思った。審査を通して中小企業の厚みを実感し、これが日本経済の土台になっていることを再認識した。受賞されたみなさんは、これからも伸びていく企業であり、さらなる努力を期待している」と講評した。 また、商店街選の審査を担当した石井淳蔵・流通科学大学学長は「専門家4人で議論した。ユニークな取り組みではなく、継続性のある体制かどうか、商店街を通して地域がどのように再生していく取り組みなのかを重視した。商店街を構成するのは商売人ばかりでなく多様化していい。このような新たな流れが生まれてきていることを感じた。商店街のみなさんは新しい渦を作り出し、発展していくよう願っている」と語った。 その後、フジクリーン工業の渡辺社長が受賞者挨拶に立ち、「浄化槽で国内%のシェアを持つが、市場は成熟化しており将来の伸びが期待できないと考え、海外展開を開始した。豪・米の2カ国へ進出し、厳しさはあるが現地パートナーに恵まれるなどで7年を経た。表彰を機に技術力で世界一を目指していきたい」と喜びの言葉を述べた。 中小機構の北陸本部と中部本部は3月~日の3日間、東京・丸の内のJPタワーで「北陸・東海工芸品フェア2015~上手物~」を開催した=写真。富山、石川、福井の北陸3県、愛知、岐阜、三重の東海3県から社が参加。漆器、銅器、和紙、刃物、陶磁器など約520品目の商品を展示・販売したほか、伝統工芸品の製作体験などのイベントも実施した。3日間で1万8000人近くが来場し、伝統技術に裏打ちされた工芸品に見入っていた。 中小機構北陸はこれまで2回にわたり「北陸工芸品フェア」を開催してきたが、今回は地域間連携により中部本部と共催。東海3県の事業者も加わり、首都圏の一般消費者らに自慢の製品をアピールした。中小機構は、フェア開始の前日には出展者を対象として専門家を招いた勉強会も開き、展示方法や売り込み方などをアドバイスした。 初日のオープン前には、綿引淳一北陸本部長が「このフェアが皆さんの売り上げ拡大につながるよう、そして次の仕事の参考になるよう願っている」と出展者を前に挨拶。続いて、花沢文雄中部本部長の音頭で「売るぞ!頑張ろう!」とシュプレヒコールをあげて開場した。 仏具のお鈴(りん)技術を応用した家庭用品を出品したのは山口久乗(富山県高岡市)だ。素材は銅合金で、「職人の技術により、聞く人が心地よいと感じる〝f分の1ゆらぎ〟の音色を発する」(営業部の外川裕記氏)ドアベルや置物、仏具などを開発。これまでに地元のJR駅や学校などに採用されているという。「音に興味を持ってもらう新しい提案」(同)として、高岡銅器の新分野開拓を狙っている。 中外陶園(愛知県瀬戸市)は、本場の陶磁器を使った招き猫などを出品した。人のデザイナーによるさまざまな表情をした置物をそろえた。「とくに中国の観光客が喜んで買っていく」(販売会社ベルハウスの原田和彦営業部次長)としており、全国の観光地から引き合いが増えているという。「招き猫は(愛知県)常滑市が有名だが、瀬戸の方が歴史は古い」(同)とし、首都圏の消費者にもアピールする。 世界無形文化遺産に登録され注目度が高まっている和紙の折り紙や雑貨、インテリア商品などを展示したのは家田紙工(岐阜市)。明治からの美濃手すき和紙技術を持つ。「折り紙は珍しいデザインのため、もともと海外で人気がある」(営業企画担当の平光由紀氏)。窓ガラスにディスプレーとして張るデコレーション製品も出品し、「和紙の魅力をもっと多くの人に知ってほしい」(同)と意気込んでいる。 ガラスやチタンなどに漆塗りを施したグラスなどを出展したのはDuco(東京都町田市)。さまざまな素材に適用できる漆塗り技術で特許を保有する。これまで受付やモニュメントなど企業向けが多かったが、担当者は「個人向けの商品も拡大したい」としている。 このほかの出展者は次のとおり。 天野漆器(富山県高岡市)▽大寺幸八郎商店(同)▽KANAYA(同)▽能作(同)▽モメンタムファクトリー・Orii(同)▽四津井(同)▽酒井百華園(石川県能美市)▽KALPA(同輪島市)▽五十嵐製紙(福井県越前市)▽越前漆器(同鯖江市)▽高村刃物製作所(同越前市)▽唐木工芸work ofみはら(同)▽丸安ニット(名古屋市)▽山源陶苑(愛知県常滑市)▽大橋量器(岐阜県大垣市)▽藤総製陶所(三重県四日市市)

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