Incubation Report vol.11
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インキュベーション事業 2019年度活動報告 卒業企業に聞く!25京都薬科大学で培った皮膚と成分経皮吸収に関する知見を基盤に、世界初の「溶解型マイクロニードル」を開発し、工業生産に成功。化粧品分野で上市、グローバルに展開しつつ、医療のイノベーションを目指して経皮ワクチン製剤の開発に取り組むコスメディ製薬株式会社。同社代表取締役の神山 文男 氏と取締役の権 英淑 氏に起業の経緯、事業展開、今後の展望についてお話を伺いました。 起業、会社のおいたち ― 京都薬科大学の薬剤学教室から起業したそうですね 私(神山氏)は、元は大手化学メーカーで研究所長を務めていましたが、55歳を機に退職して京都薬科大学薬剤学教室(以下、京薬)の研究員になりました。京薬でDDS(Drag Delivery System)の基礎研究に取り組みながら、前職の人脈を生かして、国内外の製薬企業の技術コンサルティングや研究受託を行っていました。 取締役の権は、中国の創薬研究機関を退職後、京薬で博士課程を修了し同じく研究員となっていました。 私は工学的な成形技術に強く、権は薬学や皮膚のメカニズムに造詣が深かったため、一緒に技術コンサルティングをするようになり、2001年に前身の有限会社コスメディを設立しました。コスメディ製薬株式会社 経皮吸収技術で医療・化粧品分野のイノベーションを目指すクリエイション・コア京都御車卒業企業― マイクロニードルに着目したきっかけはなんですか 経皮吸収材料や医療用粘着材料の開発販売を考えていた折から、海外の学会でマイクロニードルが盛んに研究されていることを知ったのです。しかし針はプラスチック製やステンレス製で痛みを伴い、折れれば針が残るなどまだ研究室レベルでした。 2年半にわたる研究開発の末、皮膚本来の成分であるヒアルロン酸やコラーゲンでできた超微細な針に薬剤成分を結晶化させる「溶解型マイクロニードル」の技術開発に成功しました。― 化粧品分野への応用はパイオニアとお聞きしています 当社が実現したブレイクスルーの1つ目は、高分子マイクロニードルの工業的製法を世界で初めて確立したこと、これは私の前職での高分子成型技術の経験が生きました。2つ目は、それを世界で初めて化粧品に応用し商品化したことです。 何しろ医療用の実用化には多くの時間と資金を要します。この間も会社を維持していかねばなりません。VCからの資金調達も検討しましたが、IPOが既定路線で条件も当社に極めて不利でした。何とかならないかと悩んでいた時に、権が化粧品分野への応用を提案したのです。皮膚本来の成分をニードルの材料に選んでいたことがポイントでした。 2008年11月に、まず医師主導美容クリニックへ小規模提供を開始して上市。その後大手化粧品メーカーへのOEM提供に至りました。2014年には自社ブランドでの販売も開始しました。 化粧品事業は2016年頃から売り上げが急拡大しており、2017年には2つ目の自社工場(桂工場)を稼働させました。 事業の展開と現在 ― 権さん、化粧品事業が伸び続けている背景はなんですか 当社にとってマイクロニードルはコア技術ですが、大切なことはコア技術の周辺をどう作り上げて、どのようにお客様に届けるかということです。それがお客様に愛着を持ってもらい、定着するための鍵になります。代表取締役神山 文男技術紹介溶解型マイクロニードル技術マイクロニードルは、微細針の先端部に薬剤を含有させ、皮膚に貼付することで薬剤を体内に投与するパッチ形態の新規経皮吸収製剤。コスメディ製薬の独自技術で開発された溶解型マイクロニードルは、生体親和性の高い高分子ヒアルロン酸を基材として、薬剤や有効成分を混合したものを、数十から数百μmの長さの微細な針が整列したシート状に成形したもの。ニードルが直接皮膚の内部で溶解・浸透するため、皮膚に塗布するより効率的かつ多量の有効成分を伝達することが可能となる。

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