Incubation Report vol.11
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インキュベーション事業 2019年度活動報告19なごやサイエンスパーク内にあるクリエイション・コア名古屋に入居する輝創株式会社。学生時代から続くレーザーとの関わりから、逆転の発想で金属とプラスチックの直接接合技術を開発、自動車産業での実用化を狙いつつ、機器開発・販売で事業の持続性に粘り強く取り組む代表取締役の前田 知宏 氏にお話を伺いました。輝創株式会社03起業、会社のおいたち ― 起業の経緯をお聞かせください 私の場合は何の分野で起業するかというよりも先に「会社を起こしたい!50歳までに独立するぞ!」という思いが先行していました。エレクトロニクス系の商社に就職しましたが、そこで担当した金属とプラスチックの直接接合で技術革新を目指す名古屋発ベンチャーレーザー関係の事業は製造元が海外の企業が殆どで、海外ベンチャー企業との付き合いも多く、自然と感化されていきました。 2008年リーマンショックの時に一度退職すると宣言したものの、その時は慰留されて踏みとどまりましたが、2012年に50歳になった時は思い切って退職・起業することにしました。事業分野については何となくレーザー関係で起業しようという思いはありました。それというのも大学時代にレーザーを利用した金属加工に関する研究を行い、大学院の時にはレーザーを利用した樹脂と樹脂の接合に関する技術を日本で初めて開発しました。そして商社でもレーザー関連の事業を担当したので、レーザー関連事業での起業は必然だったのでしょうね。事業の展開と現在 ― 起業後にご苦労なさったことは何ですか 起業して間もなく、金属・樹脂接合にテーマを絞ったのは良かったのですが、初めは仕事がありませんでした。展示会に出展しても「これは何に使われるのか」といった反応が多く、誰も用途をイメージできないといった状況で、大手企業を訪問しても相手にしてもらえませんでした。その間、レーザー装置を開発して販売したり、真空装置を仕入れて販売したり、アンカーレスの耐震工事も請け負いました。やれることは何でもやったということですが、死の谷を乗り切るのに商社マンとしてのスキルが非常に役立ちました。 資金的には厳しい時期もありましたが、2013年7月には愛知県科学技術交流財団の共同推進事業に採択され、さらに同年9月には戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)に採択されたことで開発が進み、金属と樹脂の接合強度を高めることができました。地道に論文を書いて学会発表をすることで徐々に認知度が上がり、また今では金属と樹脂の接合は非常に需要が多くなっています。中小機構の販路開拓CO事業の活用もきっかけとなり、自動車メーカーやティア1と呼ばれるサプライヤーからの試作の要望が急激に増えています。金属-樹脂の直接接合技術金属表面に合金化した隆起微細構造を形成し(PMS処理)、そこにプラスチックを溶融・浸透・凝固させることで、ポジティブアンカー効果により金属-プラスチックを直接、強力に接合する。・ PMS処理(Prominent Micro Structure): 金属基材に独自のPMS剤を供給し、レーザ照射することにより、任意の局所にマイクロスケールの隆起構造帯を形成する。・ ポジティブアンカー効果: 金属表面に凹凸構造を形成し、その内部にプラスチックを浸透させて固定する接合では、一般的には凹凸のある金属面に溶融したプラスチックを高圧で押し込むが、輝創社の方法は、溶融したプラスチックにPMS処理した隆起微細構造を低い圧力で埋め込むイメージ。プラスチックが凝固するとポジティブアンカー効果により強力な接合層を形成する。利点 (1)成形したプラスチックとの強力な接合が可能、(2)殆どの熱可塑性プラスチックと接合ができる、(3)汎用プラスチック接合技術が利用できる、(4)接合時の加圧力が小さくて済み設備負荷が小さい等技術紹介クリエイション・コア名古屋BI入居企業活動事例隆起微細構造を形成する独自のPMS剤PMS層表面画像PMS層接合部断面画像

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