Incubation Report Vol.10(電子ブック)
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インキュベーション事業 2018年度活動報告25理化学研究所発のベンチャー企業として、製造業の研究開発における技術革新に大きく貢献するインテグレーションテクノロジー株式会社。代表取締役社長の船田浩良氏に、起業の経緯、事業内容、今後の展望についてお話をお伺いしました。インテグレーションテクノロジー株式会社05起業、会社のおいたち ― 起業の経緯について教えてください 大学卒業後、大手自動車メーカーにて金型設計などに携わり、その後、シンクタンクに入社し営業からプロジェクト企画も含めてさまざまな経験を積みました。コンピューターシミュレーションについては、自動車メーカー時代に将来的に可能性が大きい技術だと感じていましたが、リーマンショックを契機に、シミュレーションの世界は大きな環境の変化を迎えました。各社が、ワールドワイドな市場の中で生き残りをかける中、社内完結型ではなく社外リソースを活用することで、差別化・効率化を図ることになりました。そこで、これからはベンチャーらしさを生かし顧客ニーズを分析し、必要な要素技術をインテグレーションして提供することが必要だと考え、2011年7月に会社を設立しました。同8月には理研ベンチャーとしての認定も受けることができ、社会的な信用の基盤を確立することができました。最先端のシミュレーション技術で日本のモノづくりをリードする理研ベンチャー事業の展開と現在 ― 御社のシミュレーションの特徴を教えてください 当社のシミュレーション技術は自動車分野や精密機器分野などにおける「モデルベース開発」と呼ばれるものです。このような技術はEU、特にドイツが先行しています。EUの自動車開発においては、F1などのレース文化にも支えられて数多くのエンジニアリング会社が自動車開発、特にモデルベース分野などの新しい技術分野で活躍しておりハードウェアのみならずシミュレーションソフトウェアにおいても大きな存在感を発揮しています。我々はまず日本で確たるポジションを確立していきたいと考えています。 自動車はセンサー・コンピュータの塊になりました。近年、自動車は自動運転の方向に進んでいて高効率な制御技術が重要になっています。このためセンサー・コンピュータがますます増えると同時に自動車の開発プロセスが劇的に複雑化していきます。我々の「モデルベース開発」は増え続けるその開発プロセスを効率化するために欠くことの出来ない技術です。従来の自動車開発プロセスは機能を実現するためにCADで形状を設計し、CAEでシミュレーションを行い、試作品を製作して現物で評価して設計変更するという流れであり「形状データ」中心の開発手法でした。我々が推進する「モデルベース開発」はさらに上流工程で、個々の部品やユニットについての機能とシステムとしての関連性をモデル化し、物理や数学を駆使して解析することで最適な設計を行うことを狙いとしており、「機能」を重視する手法です。これにより設計の手戻りが削減され開発期間短縮や試作コストの大幅な削減を実現することができ、同時に部品点数を削減することが可能になります。 精密光学機器分野においても、従来は球面レンズを磨くことで性能を向上させてきましたが、近年は非球面レンズを活用してレンズの枚数を減らして、性能向上、軽量化、コスト削減を実現するなど、製品のイノベーションが加速しています。高価な金型をつくって、試作品で評価するという方法ではなく、シミュレーション技術を駆使することで金型を削減することが求められています。機械モデル、電気モデル、油圧モデルを統合したシステムモデルの作成が可能で、 試作前にシステムの動作や性能の評価、及び課題の抽出が可能となります。製品紹介オートマティックトランスミッション(自動変速機)のシミュレーションモデル和光理研インキュベーションプラザBI入居企業活動事例

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