ハンズオン支援事例集(平成29年度)
60/77

58職人気質の経営から脱却し、マネージメント体制の再構築―勘・コツの熟練社員『匠』を現場改善により、数値管理できる技能集団『匠』に変貌― 平成26年度の「小さな卓越企業発掘&育成プログラム」(近畿経済産業局、近畿財務局、中小機構近畿が連携して行う中小企業支援事業)にて、信用金庫から推薦頂いたことが、当社と中小機構の出会いであった。 組織の硬直化や2代目で創業者の娘婿である現社長と従業員との意識レベルのギャップにより、QCDに係らず様々な問題が生じていることが判明した。 具体的には、次の4つの面で問題が生じていた。 1つ目の組織面では、パソコンや営業等も社長自ら実務をせざる得ない状況で、経営者の思いが十分現場に届いておらず、やりたいことがあっても社長が自らやらざるを得ない状態になっていた。 2つ目の技術面では、スクリュー業界の硬質クロムメッキでは業界トップの自負があるが、経験・勘による『匠』が仕事を支えている状態であり、様々な見える化が不十分な状況で、若い人に「職人の技」を継承するのが急務の状態であった。 3つ目の管理の面では、お客様から、QCD(品質管理・コスト管理・納期管理)の面で従来以上の水準を要求されており、QCD管理能力の向上が必要な状況であった。 4つ目のコミュニケーションの面では、技術レベルの高いベテラン職員から若手職員への技術伝承を進めていくため、組織が活性化できるような取組みが求められた。 これらの問題を鑑み、以下の3つを当社の課題として設定した。 1)組織の活性化:経営者と社員&社員間のコミュニケーションの活性化、社員の一体感の醸成、達成感の実感 2)自立改善できる体質に変革する。(合否判定基準、作業効率の低下、納期トラブル、品質トラブル等の改善) 3)組織運営の見直し:社長が出来るだけ実務をしない状態で仕事が回るようにする。 創業社長は、職人気質の方だったため、社員も先輩の後姿を見て育った方が多く「技術は盗め」的やり方で成長してきており、組織として人を育てる雰囲気が全くない状態であった。第1期目支援では、従業員一人ひとりのヒアリングを行い、全員参加の現場改善を通じて意識改革を図ることを主目的とした。中小機構との出会いプロジェクトマネージャーの視点と経営課題の設定支援メニューH25H26H27H28H29支援内容(支援テーマ等)専門家継続派遣事業①QCD管理力の向上専門家継続派遣事業②現場改善の定着専門家継続派遣事業③独自で改善活動を推進できる体制0501001502000100200300400500H25/6H26/6H27/6H28/6H29/6売上高(左軸)経常利益(右軸)単位:百万円売上高と経常利益支 援 前支 援 後戦略・創業以来は、職人気質の体質である。社長は、体質改善をやりたいが、従業員との溝が大きい。・社長と従業員のコミュニケーションが良くなり、現場の問題点がタイムリーで社長に報告されるようになった。次はこれに取組むといった戦略が伝わるようになった。計画・売上等も従業員に開示せず、なり行き状態であった。・月々の売上を目標値・前年同月比等がグラフ化され公表することにより、従業員が意識するようになった。仕事につながるQCDの情報が共有できる状態になった。管理・仕組・社長が営業等の実務をせざる得ない状態である。・数値管理・標準が進み、ムダが改善され生産性、品質が向上した。新規受注も増加傾向にある。組織・人材・仕事・ノウハウが個人のものになっており教える風土がない。教育も全く手付かずの状態である。・支援前パソコンは1部の人だけであったが、パソコン教室等で勉強し業務に活用で来るようになった。その他・5S活動は、過去何度か取組んだがうまくいってない状態である。・仕事で従業員同士が声をかけるようになり改善に協力してくれる風土が出来た。5S活動も日々レベルを上げて取り組み中である。【量的変化】【質的変化】

元のページ  ../index.html#60

このブックを見る