ハンズオン支援事例集(平成29年度)
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56東京パラリンピックをチャンスと捉えた組織体制整備―人事・組織、モノづくり、原価管理体制整備への複合支援―経営者のことば 最初に中小機構のこれまでの多大なご支援に感謝申し上げます。会長が夫婦2人で創業して40年。山あり谷ありながら成長してまいりましたが、問題が起こってからの暫定対策を繰り返した40年でもありました。小さなベンチャーなら仕方ないと許された時代も遠く、完成品メーカーとして安心・安全をお客様に提供しなければならない責任は飛躍的に増大し、社員数が少ないからこそできる家族経営的な働き方も、夢と目標と実績を明らかにしながら待遇改善をしなければならなくなり、嫌でも押し寄せてくるグローバル化にもタイミングよく対応しなければならない状態のときに中小機構様と出会いました。 最初は人・物・金がある大企業出身者に中小企業の相反する問題を解決できるのか疑問でしたが、話を聞くと納得できることが多く、ましてモノづくりにおいては作る物や規模に関係なく悩みの基本は同じであると感じました。であれば先に問題を解決してきた先輩にアドバイス頂くことで乗り越えていくことを決断し、中小機構様に支援をして頂くことになりました。 面談の中で、それまでは会社が成長することで隠されてきた課題が表面化してきました。星野プロジェクトマネージャーから、1つの課題を単に解決するのではなく、これからの成長に必要なテーマに優先順位をつけて、順番に解決し、弊社に足りない部分を補えるようにと複数年での支援をご提案いただきました。 最初は、個人の頑張りで行っていた組織を改革することでした。頑張り屋が多いのは弊社の自慢の一つでしたが、実は個人商店の集まりで、誰が何の権限で仕事を進めているのか曖昧だったのです。調べてみると製品が完成するまでの物と情報の流れを全て把握することが不可能な程に複雑化していました。結果、各部署で不必要な在庫や滞留を起こしており、不良が起きても根本対策ではなく暫定対策で仕事を進めている現実が表面化しました。そこで部門間の連携と各部、人の裁量と権限、責任を明確にしてチームで仕事を進めるために組織の再編成と職務分掌の作成をはじめました。それまで一部の社員に大きな負担を掛けて進めていた仕事でしたが、一人ひとりが自分の仕事はここからここまでと理解することにより物と情報の流れができました。 また、役職者のいない部、課、係が存在していましたが、役職者を登用することで、管理職が何を管理し、何に責任を持ち、何以上は上司に報告するということが明確になり曖昧さが大幅に減り社員からも「働きやすくなった、必要なスキルが明確になった」という声がでてきて風通し良い会社になったと感じています。また、会議体を整理することで、声の大きな人の意見で決まるではなく、事実に基づいたデータを使って課題を解決するための会議が定期的に開催されるようになりました。 次に計画を作り、会社全体の業務改善について支援頂くことになりました。ところが、物と情報の流れを阻害している一部工程を改善しなければならないことが分かり、一旦中断して、改めて改善について支援を頂くことにしました。この支援では工場の配置や物の流れ、人の流れ、工数の管理を学びました。製造業では当たり前のことかもしれませんが、完成品メーカーで親会社からうるさく管理されたことがなく、企画と営業で勝負していた当社では晴天の霹靂でした。それまで、とにかく納期に間に合わせて製品を出荷することだけをミッションしてきた工場です。面倒くさいと反対が起きるかと危惧していましたが、驚く反応が社員から上がりました。技術系の社員は知識、スキルを身に着けられることに喜びを感じどんどん積極的になっていきました。工場で何がどの工程にあるのか見えるようになりました。様々なルールができて仕事が分かりやすくなりました。残業時間を減らすことができました。お客様に正確な納期を答えられるようになりました。何よりも、何を解決すればいいのかすら分からず、毎日同じことを繰り返していましたが、仮説を立て、計画を作り、実施して、検証することで結果が変わるのだと認識できました。良い製品を適切な価格と納期で作るには近道はないけれど、歩みを進めれば確実に前進することができるという成功体験を得ることができました。その後元の業務改善に戻って支援をいただきました。まだ、売り上げや利益、不良率の低減、工数の縮減といった数字には表れていませんが、会社を成長させるうえで一番大切な、個人の向上心とチームワークらしきものは見えるようになりました。社員の提案も出てくるようになりました。 これから当社は日本以外の高齢者や障害者の生活をテクノロジーを使って支える企業に成長していきたいと考えています。まだまだ足りないところばかりですが、中小機構の皆様に背中を押して頂くことによって前に進む決断をしました。また、暗闇の中で前に進む手掛かりの探し方を教えていただきました。モノ作り日本の一員として成長していけると手ごたえを、私を始め多くの社員に与えて頂いた中小機構の皆様に改めて感謝申し上げます。代表取締役社長松永 紀之 氏

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