ハンズオン支援事例集(平成29年度)
20/77

18匠の技術を生かした新製品により医療機器市場参入へ挑戦―品質管理体制構築と知財戦略策定の支援―第2期<専門家継続派遣事業>(平成29年3月~平成29年11月(9ヶ月))(1)医療機器業の許可取得を目指した品質、安全管理体制の構築、運用 当社は、特殊な分光法を用いた歯科診断用の検査器を、匠の技術ともいえる精密加工技術を用いて開発に成功した。この検査器は、歯周病や齲歯などの診断用に使用されるもので、従来の測定方法に比べ、非侵襲でより正確な診断が出来る画期的なものである。 これを武器に医療機器分野に参入しようとする場合、 1)開発品の完成 2)販売チャネルの構築  3)参入障壁の克服の要件を満たす必要があるが、まず障壁となるのが「医薬品医療機器等法」(旧薬事法:以下薬事法という)の存在である。薬事法によれば、医療機器の製造、及び製造・販売を行う場合「業」の許可(製造・販売業と製造業)取得と共に、新しい医療機器については個別に医療機器としての認証(PMDA:医薬品医療機器総合機構/国の登録認証機関)を受けなければならない。我々は、この参入要件を満たすべく、「業」の許可取得と、医療機器としての認証取得の準備に向けた品質管理体制の構築や品質マニュアルの整備の支援を開始した。 「業」即ち、製造・販売業、製造業の許可取得に向けては、社内の品質管理体制を確立する必要がある。具体的には、品質管理監督システム構築、QMS・GVP体制整備と各規程・標準書の作成が主な支援内容となる。品質管理体制を構築するには3役(統括製造販売責任者、安全管理責任者、品質管理責任者)の選定と組織体系図を作成する必要があったが、品質管理責任者の選任要件が実務経験を必要とする等厳しく規定されており、選定に難渋したが、一部外部からの採用等で充足した。 社長以下、今まで医療機器分野への参入の経験もノウハウも全くなく、QMS、GVPに対応した各規程・標準書の作成には苦労したが、医療機器の開発を長く経験し、申請業務に精通したアドバイザーの適切なサポートもあって、何とか乗り越える事が出来た。 以上の製造・販売業、製造業の許可に向けた、品質管理監督システム図、QMS、GVPに要求される各種規定、標準書を作り上げ、平成29年9月に京都府薬務課に申請し、現地査察を受けた後正式に許可が降りる。PMDA認証取得準備については、当開発器の医療機器分類が決定的な意味を持つ。PMDAの医療機器分類は、人体へのリスクの程度に応じてクラス分類がされており、クラスⅡ以上は臨床試験を経た認証が義務付けられている。クラスⅠであれば、認証は必要なく、届け出だけで済む。中小企業にとって、クラスⅡ以上に分類された製品に掛かる期間、費用の負担は重く、現実的には不可能に近い。 プロジェクトメンバーは、アドバイザーの指導の下、先例(PMDAの分類事例集)を徹底的に調査し、本開発品がクラスⅠに分類される先例に類似しているとのお墨付きをPMDAから得るようにした。(2)当社の開発した「歯科診断検査器」の知財権確立支援 当社の開発した「歯科診断検査器」は、特殊な分光法を用いた齲歯、歯周病の非侵襲の検査器であり、特にその検出部の製作技術は当社の精密加工技術が凝縮されたいわば「匠の技術」ともいえる傑作であった。この技術、製品の排他性を強く感じ、知財権(特許権)の確立に対する社長の意見を聞いてみたが、必要性は感じるが、特許を自社で出願する力がないとの事であった。これでは、販売後にたちまち他社の追随を許すことになり、折角の製品が事業として成り立たなくなるとの思いを強めた。 当社の様な開発型の企業は、世界にも伍していける独自、且つ優れた技術、製品を持っていることがあるが、殆どが自社で出願を経験した事がなく、知財に対する知識も十分ではなく、みすみす知財権の確保を逸してしまうケースが見られた。 このような背景で、当社製品の「歯科検査器」のの知財権確立に向けて、自社で出願までに至る力を付けるために、知財戦略の構築を支援することにした。アドバイザーとしてメーカーに長く勤務し、開発業務、知財業務(自ら出願多数)に精通した人を起用した。

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る