平成30年度 海外ビジネス戦略推進支援事業 事例集
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43海外進出の良い面だけでなく、悪い面についても具体的に聞けてありがたかったです」。濱本さんらは、様々な視点を取り入れ、体系的な計画を練っていった。現地調査の日、空港に降り立つまで、濱本さんは不安だったという。それまで何度も顔を合わせていたとはいえ、中小機構職員と異国の地で5日間、ずっと行動を共にするのだ。しかし、そんな心配は杞憂だった。「中小機構の皆さんには、現地調査の間も、手厚くサポートしてもらいました。この人たちに担当してもらえて良かったと思います」。濱本さんらは、公的機関や日系企業、金融機関などを訪問。公的機関では、インドネシアの経済状況や雇用関係、輸出入の税務に至るまで、幅広い情報を得た。さらに日系企業で、精密金型のニーズや、文化の違う国と取引する際の注意点などを聴取。物流会社では、心配していた港湾、インフラ関連の確認を行い、現地でビジネスする具体的なイメージをつかむことができた。また、様々な場所で、独資と合弁のどちらが良いかという点について意見を求めた。独資の一番のメリットは、会社の経営方針を100%自分たちで決められることだ。しかし、ゼロからの出発になるし、現地のネットワークを自社ですべて構築しなければならない。一方、合弁会社の場合、現地パートナーのネットワークが使えるため、スピーディに商売が具体化する可能性は高い反面、経営方針が合わなかったり、契約、知財などの面でトラブルになったりと、独資にはないリスクがある。自社ですべてを決定できないのであれば、仮に経営状況が悪化した場合でも自らの意思だけでは撤退を決断できない。つまり、合弁にもっとも大切なのは、「良いパートナーを見つけ、契約内容を十分に精査すること」である。だが、中小企業のネットワークでは、そもそも相手探しに苦労することも多い。仮に候補を見つけたとしても、十分に相手を見極められないまま、あるいは、契約上のリスクや相手との権利義務、さらに撤退決断ライン等を十分に精査できないままに物事を進めてしまい、のちのち関係が悪化するケースも多い。言うまでもないが、合弁で事業を行うのであれば、あらゆる面において現地側の方が優位だ。瞬く間に技術など日本側よいところを合弁相手側に持ち逃げされ、日本側が損をすることもある。日本国内ビジネスの常識やマナーなど通用しない。失敗例を見てきた人からは、「絶対に独資がいい」とも言われた。現地で会った人それぞれの立場、経験から様々な意見に触れ、心が揺れた。結局、調査中に答えは出なかった。株式会社三晃精密インドネシアの企業と共に成長できる合併会社を築いていく上:中小機構の職員(左)と三晃精密の濱本さん(右)下:電子部品などに使われる精密順送金型独資か、合弁か様々な意見に揺れる

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