平成24年度F/S支援事業 事例集
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1934F/Sの目的と実施内容及び成果その後の状況/今後の課題■F/Sの目的今回のF/S支援事業を利用するにあたり、下記の5点を調査目的に設定たしました。①現地進出企業の工場自動化ニーズの確認②合弁相手先に関する確認(工場立地場所の視察と製造委託先の保有設備、品質管理体制、協力工場の支援体制など)③中国の労働事情(賃金、労務管理、労働組合などのヒヤリング調査、日本人居住環境調査)④合弁パートナーとのビジネスモデル意見交換⑤合弁相手先との関係における法的問題点の調査(工場間借り、製造委託に関する法的問題点)■現地アポイントと訪問先等 現地F/Sは、12月中旬の月曜から木曜までの4営業日で実施し、当社側4名(自費参加者含む)及び中小機構の専門家、職員の合計6名体制で中国に渡航してまいりました。下記の計8社のアポイントを取得し、訪問致しました。①製造委託先工場(蘇州市)とその協力工場3カ所②日系の独資製造会社(福州市:電動工具工場)③同マジョリティ合弁製造会社(福州市:液晶プロジェクター工場)④同マイノリティ合弁製造会社(上海市:圧縮機工場) 中国進出のF/Sを実施しているころからタイ工場の生産需要が急増し、緊急でタイ工場の生産体制の立て直し、増産体制の確立を迫られるようになってきました。 また、『三明メカニカルロボットアカデミー』というタイのメーカー技能者育成を目的にした実践的な職業訓練校を近々に立ち上げなければならなくなりました。同校は、タイにおけるCSR活動として以前から計画していたものであり、タイ工業省と提携して設立し、当社から技術者を講師として随時2~3人派遣することにしております。 タイでの事業を優先させることについては、中小機構のF/S専門家のご支援の下に実施した中国進出のF/Sの成果も無駄にはしたくない、中国でのビジネスチャンスも逃したくない、といった複雑な想いがありました。⑤台湾系上場製造会社(福州市:液晶パネル工場)現地F/Sでは、日系企業、台湾系企業、中国地場企業といったそれぞれ性格が異なる企業を訪問することができ、さらに中小機構の登録アドバイザーである現地弁護士から法的問題についてのアドバイスを受けることができました。■F/S実施内容とその成果 前述の現地F/Sの目的項目について、それぞれ確認を行い、以下のような情報を入手することができました。①現地企業の自動化ニーズについては、8カ所の工場視察と工場責任者とのヒヤリングを行いました。その結果、今後、人件費上昇が続く中国での工場自動化ニーズが強く、自動化設備・ロボット化の需要が大いに期待できることの確証が得られました。特に上海など大都市においては、3K(きつい、きたない、危険)や単純労働作業の職場には人が集まらず労働力不足に陥っているとの興味深い話もうかがうことができました。②合弁相手先に関する確認については、製造委託先とその協力工場3社の視察を行いました。それぞれ、製造に必要な設備機械が整っていることが確認でき一安心することができました。また、製造委託先は中国地場企業としては比較的きちんとした工場管理がなされていることを把握できました。③中国の労働事情については、各訪問先で随時、ヒヤリングを行いました。特に賃金レベル、離職率、人員採用方法、労働組合については詳しくヒヤリングし、中国の労働事情について理解できました。④合弁パートナーとのビジネスモデルの意見交換では、当初考えたビジネスモデルで大筋一致を確認することができ、今後の事業化への手ごたえを得ることができました。⑤合弁相手先との関係における法的問題点については現地弁護士(中小機構登録アドバイザー)にお会いし、確認いたしました。合弁パートナーの工場間借り、製造委託について、現状のスキームでは一部法定な問題があることが判明。これは、F/Sを実施する前には想定していなかった問題でしたが、中国では地方行政当局に大幅な裁量権があるので、実行までに行政当局に相談した方がよいとのアドバイスが得られたことは大きな成果でした。■F/Sを終えて 現地F/Sを終えた率直な感想は、やはり数多くの現地企業の生の声を聞くことが重要であるということであります。 中小企業が単独でF/Sを実施しても、現地の優良企業とのアポイントを取得することは難しく、中小機構の専門家の支援無しでは今回のような現地F/Sを実施することはとても出来なかったと思います。 ただ、当社は中小企業であり、人・物・金といった経営資源に限界があるので、タイ工場の至急対応を優先せざるを得ない事を決断いたしました。そのため、中国進出については、計画を見直して、中国は製造委託先との技術提携の形で進出することを模索しております。 中国進出については、今後、製造委託先との技術提携を通して、当社が長年培ってきた技術が中国へ進出した企業及び地場企業にどのように評価されるかを見極める必要があります。 そして、当社として、このビジネスモデルを通して、中国進出企業及び中国地場企業の顧客満足にどのように応えていくか、そのための社内体制をどのように構築していくか、が今後の大きな課題と考えております。担当専門家から一言木名瀬 昭一  本部(東京) 海外販路開拓支援 シニアアドバイザー中小企業の経営資源は限りあるものであり、企業にとってそれをどこに集中投資するかは常に大きな課題であります。今回、三明機工さんが選択された製造委託先との技術提携による中国進出というのも海外進出のひとつの形態です。この技術提携が拡大発展して行くことを期待しております。関 東

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