平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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95関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越善兵衛栗の実は大粒で、大きいものはMサイズの鶏卵大にもなるという。“いい栗を作ること”を常に考え、実践している赤倉氏は、安全で実が大きく高品質な善兵衛栗を作っている。土壌には化学肥料は使わず、微生物堆肥を使用。実の大きさにもつながる日当たりと風通しを考慮した独自の剪定方法や、薬剤を使わない害虫対策を確立した。また、実割れを防ぎつつ、より大きく、糖度も上がった実ができる完熟落下後収穫を行い、収穫後の処理には薬剤を一切使わない温湯消毒を取り入れた。一旦、湯につけて糖度がより増した栗は、その後、冷蔵保管することでさらに甘くなる。 手間と時間をかけて丹精込めた善兵衛栗はそれだけ希少価値があり、価格も高い。だが、ゆう幸が目指す富裕層向けの商品なら、価値を下げずに善兵衛栗を販売できる。このことは赤倉氏が連携を決めたポイントとなった。意識を変えた消費者の高評価連携で生み出された相乗効果「あきた農商工応援ファンド」事業の助成金は、新商品の試作と調査、ブランディングなどの専門家への謝礼、パッケージの試作などに使われた。新商品の試作では、思わぬ壁にぶつかった。和菓子や洋菓子で使用される栗は、すでに加工された輸入品を使うケースがほとんどで、加工されていない和栗を丸ごと菓子に使うノウハウがほぼ無かったのだ。ゆう幸の菓子職人たちは、悩みながら試行錯誤を繰り返し、ノウハウを見つけ出していった。 その一方で、別な不安もあった。菓子職人の大半は、ゆう幸に入社する前“いかにコストを下げて商品を開発するか”という発想で菓子を作っていた。“よいものを使って品質の高い菓子を作る”というゆう幸のスタンスへの転換には困難が予想された。しかし、東京の大手百貨店で行われた実演販売で、自分たちが試行錯誤の末に開発した高品質、高価値の菓子が飛ぶように売れていく様子を見た職人たちは、がらりと意識を変えた。現在は“常によいものを作りたい”という意識で高品質の新商品開発に取り組んでいる。 同じことは赤倉栗園でも起こった。ゆう幸の工場などを見学したあと、栗の選別などに携わる加工内職者たちの意識が変わったのだ。「うちの栗はすごいんだよ」と笑顔で語り、作業にいっそう身を入れるようになった内職者たちの姿に、赤倉氏はうれしさを覚えた。 ゆう幸と赤倉栗園。それぞれの “よいものを作りたい”という思いが、連携によって周囲にも広がり、売上の向上や販路の開拓などにもつながる相乗効果を生み出している。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)消費者連携体店舗での販売催事・ギフト商品の販売販売くら吉有限会社大手百貨店各社中小機構ほかの栗生産農家公益財団法人 あきた企業活性化センター支 援支 援業務提携販売販売☎018-860-5702公益財団法人 あきた企業活性化センターお問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!お互いの強みを明確にし、継続的に有機的連携で進めたことが事業成功のカギ。首都圏に大きい栗の知名度UPと高価値な菓子に好評を得られた事例である。明確な役割分担と各々の立場の理解に努めたことが好結果につながった。“お互いがよくならなければ連携の意味はない”というスタンスで尊重し合い、より高いところを目指していく関係性を築けた点もポイント。事業成功のポイント佐ささき々木幸ゆきお生赤あかくら倉一かずよし善株式会社ゆう幸代表取締役社長赤倉栗園代表今後の事業展開東京の大手百貨店にプロパー店舗を出すことが当面の目標。そのためのプロセスとしてこれからも催事やギフト商品での成果を積み上げていく。善兵衛栗を使った新商品の開発にも、もちろん力を入れていきたい。株式会社ゆう幸善兵衛栗を使用した商品の開発・製造赤倉栗園善兵衛栗の生産・提供・加工ノウハウの提供農林漁業者中小企業等公益財団法人 あきた企業活性化センター農商工連携型地域中小企業応援ファンドゆう幸の工場内部。食の安全・安心を実現するため、異物混入を防止する最新設備を導入。化学肥料や薬剤を使わない赤倉栗園。高品質の栗を生産するため、独自の剪定方法を確立。

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