平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
83/142

81関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越関係団体、大企業などでは“組織内でデータ復旧作業を完結できる装置・技術”の開発が待ち望まれていた。さまざまな技術文書の翻訳に予想以上のコスト負担が……「PC‐3000」シリーズの最大の特徴は、“HDDを開封することなくデータを救出できる”“HDD内のデータに対し変更を加えることなくデータの解析・閲覧・復元ができる”点だ。同社では創業以来、この技術を用いたデータ復旧サービスをさまざまな展示会に出展していた。「平成17年、当社ブースを訪れた警察庁の方から『犯罪捜査のためにこの技術を提供してほしい』との依頼があったのですが、技術そのものの提供は難しい。それなら装置として提供しようということで開発に着手したのです。その後数年間をかけて要求される製品仕様について詰めを行い、本格的な開発ステージに入る段階で、県の産業支援課から『くまもと夢挑戦ファンド』の紹介を受けました」 助成金は、原材料費や展示会出展費用などに充てられたが、最も費用と労力を要したのが“翻訳”だった。「開発や技術指導にあたって社内の技術者が性能を完全理解するため、ロシア語から英語に翻訳された操作マニュアルに加え、個別のHDDメーカーが作成している開発者向けマニュアルなどの文書をすべて翻訳する必要がありました。専門的な技術用語が使われているため、科学技術文献の著者などに翻訳を依頼しましたが、それでも作業が長引き、予定以上の出費を余儀なくされました」製品開発で培ったノウハウを生かし新たな事業分野がスタート 開発にあたっては、まず平成21年5月に開催される国内最大の展示会「情報セキュリティEXPO」に出展するためのプロトタイプを開発。翌月には警察庁調達品仕様書に合わせた改良を行い、9月に警察庁への正式導入が決定。警察庁や警視庁で得たニーズを満たすため、筐体を作業台として使用できる新型モデルの開発に取り組む。そして翌年3月、「PC-3000 Workbench」が完成した。同社では、新製品開発のプロセスで培ったノウハウを活用し、平成24年から新たに、デジタル・フォレンジック(犯罪捜査における分析、鑑識)分野に特化した新事業を創設。犯罪捜査支援に活かせる技術を応用したツール、装置の開発や支援ソフトなどの取り扱いをスタートした。「最近では、SSD(Solid State Drive=フラッシュメモリを用いるドライブ装置)なども普及してきています。常に最新技術を研究し、世の中に貢献できるサービスを提供していきたいです」公益財団法人 くまもと産業支援財団ACEラボラトリー社支 援共同開発展示会への出展、ホームページなど株式会社くまなんピーシーネット代表取締役お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!データ復旧に関するあらゆる社会的ニーズに対し、国内最高水準の技術で応える取組みを継続して行っており、今後の事業展開を見守っていきたい。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)企業や、官公庁など創業以来の事業である「データ復旧サービス」の高い技術力が評価され、警察機関の「故意に消去されたデータの復旧、破壊された記憶装置のデータ復旧」といったニーズに応えたことが、助成事業を活用した製品化につながった。さらに製品化をきっかけにデジタル・フォレンジックに特化した新事業もスタートした。今後の事業展開事業成功のポイント創業以来15年にわたって築いてきたデータ復旧技術と世界トップクラスの技術が集積するロシアの技術力により、デジタル・フォレンジック分野をはじめ、あらゆるデータ解析における国内トップの企業を目指したい。浦うらぐち口康やすなり也☎096-289-2438公益財団法人 くまもと産業支援財団販 売データ復旧装置「PC‐3000」シリーズの開発・販売株式会社くまなんピーシーネットmicroSDなど一部のメモリのデータ復旧には、顕微鏡を用いての精密な作業が必要になる。「PC-3000」は、様々な展示会に出展している。写真は、平成28年の展示会の模様。公益財団法人 くまもと産業支援財団地域中小企業応援ファンド

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 83

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です