平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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61関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越剛性バランスの最適化も求められる。さらに血管内をなめらかに進むためには“表面の滑りやすさ”も必要だ。 同社では、こうした要求に応えるため、素材から製品までの要素技術の強化を進め、“自社技術による一貫生産体制”を構築してきた。助成金を活用して要素技術をさらに磨き、製品化 しかし、こうした先端技術の研究開発には莫大なコストがかかる。代表取締役の橋本輝夫氏は、その実情についてこう語る。「資金はいくらあっても足りないというのが正直なところです。例えばワイヤー全体を細く削るための研磨機は1台約5,000万円。先端部の精密加工を行うためにはクリーンルームも必要になる。他社が真似できないオンリーワンの技術を磨き上げていくためには、多額の先行投資が不可欠なのです」 そんなある日、橋本社長は、生産技術研究所のある岡山リサーチパーク内に、「きらめき岡山創成ファンド」を活用している事業所があることを知る。話を聞くと「ミクロものづくり分野の新事業育成支援」という同社のニーズにぴったりの支援メニューがあることがわかり、申請・採択された。 助成金は、要素技術の研究開発費、試作のための設備導入費や委託研究費などに充てられた。ファンドを利用して新たに開発されたのが、カテーテル治療に用いられる「微細血管用ガイドワイヤー」。従来品では表面加工にテフロンが使用されているが、細くするために表面の膜を薄くすると、はがれやすくなるという問題が生じていた。この課題を解決するため、同社ではコア金属線に、親水性高分子を直接コーティングした新たな製品を開発。ほかにも新製品を生み出したことで、製品ラインアップも充実した。急成長するアジア市場で販路拡大を目指す 現在、同社のガイドワイヤーの品ぞろえは250品種。売上は年間70万本に上り、専業メーカーとして着実に地歩を固めている。 平成27年12月には、ガイドワイヤー製造の前工程を手がけるフィリピン工場の設備を増強し、年間生産能力を従来の50万本から70万本へと引き上げた。富裕層の増加や高齢化で先端医療のニーズが高まる中国や東南アジア向けの受注が拡大していることから設備投資を決めた。橋本社長は事業の今後についてこう語る。「今後も生産体制を強化するとともに、医師の要望に応える少量多品種の製品開発に磨きをかけ、成長するアジア市場で販路を広げていきたいですね」医療用ガイドワイヤーの生産に係る素材から製品までの要素技術の強化を図り、オンリーワンの自社技術を持つことで他社との差別化を図っている。また、開発した技術を自社で製品化することにより、大きく売り上げを伸ばしている。今後の事業展開事業成功のポイント現在、公益財団法人 岡山県産業振興財団の支援を受け、さらに操作性のすぐれた極細径ガイドワイヤーの開発を進めている。今後も医師の要望に耳を傾け、少量多品種の製品開発に磨きをかけて、さらに高度化する医療現場のニーズである“より細く、より使いやすく、より柔らかく、より安全”に応えていく。橋はしもと本輝てるお夫株式会社ティーアールエス代表取締役☎086-286-9651公益財団法人 岡山県産業振興財団お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!岡山県に立地し医療機器の中でもハードルの高い本取り組みについては、医療福祉機器産業の活性化を進める県の施策とも合致しており、今後も期待するとともに総合的なサポートをしていきたい。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)国内外の医療機器メーカー公益財団法人 岡山県産業振興財団支 援株式会社ティーアールエス医療用ガイドワイヤー、内視鏡用ガイドワイヤーの研究・開発・生産きらめき岡山創成ファンドを活用して開発した「内視鏡用ガイドワイヤー」。太さは0.25mm。ガイドワイヤー製造の前工程を手がけるフィリピン工場。公益財団法人 岡山県産業振興財団地域中小企業応援ファンド提供

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