平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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49関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越スの安定性が保てないという課題もあった。そこで、徳地氏は信頼性の高いパルス電源を実現するため、半導体の導入を試みた。当時を振り返り、徳地氏は「自宅を事務所にしていた当時、ファンドの助成金は適当な金額でした」と、話す。 徳地氏へファンドを紹介した「公益財団法人 滋賀県産業支援プラザ」とは、起業したときからの付き合いがあったという。徳地氏は、ファンドで材料費と外注加工費を賄うことで、パルス電源を構成する基本的な装置(モジュール)の試作を計画した。高電圧を使用するパルス電源装置の場合、絶縁やノイズの影響を確認するためには、試作機の製作が不可欠だからだ。開発は、X線を発生させるための電子ビームに必要な「電子銃電源」、より強力な電子ビームにするための「加速電源」と「パルストランス」を、1年ごとに開発していく3年計画とした。これらの装置を組み合わせることによって、強力で安定したパルスパワーを生み出すことができるようになる。 初年度に「電子銃電源」の開発を行ったのには、目的があった。技術力をアピールしやすく、受注に結びつきやすいからだ。徳地氏の読みは的中し、電子銃電源の受注は順調に伸び、従業員を雇用するようにもなった。また、技術開発を支援する工場施設、滋賀県立テクノファクトリーに事務所を移し、外注ではなく、自前で製造する環境も整った。順調に成長している同社であるが、徳地氏にとっては他にも課題があった。「人を雇うのは初めてだったので、知らないことばかりでした。テクノファクトリーへの入居や、組織の運営といった面で、産業支援プラザにはいろいろとアドバイスをもらいました」専用デバイスの開発により世界トップレベルを目指す 3年間に試作した電源技術は高く評価され、海外からの問い合わせも増えてきている。そこで次に課題となるのが、海外メーカーとの差別化だ。現在は市販の電源用半導体を使用しているが、徳地氏は、専用デバイス(半導体)を開発することで、他社との差別化を図っていきたいと考えている。しかし、半導体の開発には、巨額の費用が必要になる。現在、企業などとの共同研究の計画を進めているという。また、ものづくりの基盤技術の研究開発から試作段階までの取組みを支援する「戦略的基盤技術高度化支援事業」の利用も考えている。同社の事例は、創業時の資金不足、企業規模の拡大時にファンドを活用した技術系ベンチャーの成功例といえるだろう。 株式会社パルスパワー技術研究所代表取締役お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!技術系のベンチャー企業として補助金等の行政支援をフルに活用し、製品の開発に成功。今後も活躍が大いに期待される企業です。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)各種引き合い/プロジェクト公益財団法人滋賀県産業支援プラザ支 援販 売株式会社パルスパワー技術研究所ファンドにより基盤となる電源技術を確立し、多様な製品展開の基礎を構築。事業と企業規模の拡大に合わせて、組織運営面を中心としたサポートを活用した。今後の事業展開事業成功のポイント電源用の専用半導体の独自開発を目指し、他企業との共同研究を進め、助成制度も積極的に活用していく。徳とく地ち明あきら☎077-511-1412公益財団法人 滋賀県産業支援プラザ パルスパワー電源の技術開発および販売ファンドを利用し、電源技術の基礎となる3つのモジュールを試作。試作機の設計を基に、納品先に合わせてカスタマイズしている。高電圧スマートパルスパワー電源。産業のさまざまな分野に応用され、利用されている。公益財団法人 滋賀県産業支援プラザ地域中小企業応援ファンド

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