平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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45関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越事業存続さえ危ぶまれる中“百貨店への販路転換”を決断 転機が訪れたのは平成17年、衣類や食料品、生活用品などの販売を行う株式会社サザビーリーグのブランド「Afternoon Tea」の25周年記念品を製作してほしいという依頼を受けたことだった。その際、サザビーリーグの品質基準を満たすため、“生活防水”を求められた。当時、シーブレーン製品には生活防水機能がなかったのだ。「生活防水を可能にするには、文字盤とベルト以外のパーツは専門の時計メーカーに発注しなければなりません。迷いましたが、完全ハンドメイドで生産量を増やすことに限界を感じていたこともあり、これを好機ととらえて、一部外注の生活防水時計の商品も生産を始めました」 これは話題を呼び、売上を伸ばしたものの、その後なぜかピタリと受注が止まり、わずか1年で半減してしまう。納品先にヒアリングすると、顧客である雑貨店の女性客たちはシーブレーンの“素朴な手作り感”を好んでいたことがわかった。また、生活防水機能を付加することで高単価となったことも客離れの原因だった。事業存続の危機を迎え、井波社長は“雑貨店から百貨店への販路転換”、つまりプレミアム市場の開拓を決意した。有名百貨店バイヤーの目にとまり「資源活用推進ファンド」に出会う しかし、百貨店での販路を開拓するにあたっては、プレミアム感が必要だ。そこで打ち出したコンセプトが、“身近に感じる日本の美”だった。日本画に用いる岩絵具や漆、金箔といった伝統的な画材を取り入れ、日本の美意識を表現した腕時計「はなもっこ」シリーズは、こうして生まれた。新たな商品をなんとか百貨店で展開したいと考えていた井波社長は、知人のつてをたどって日本橋三越のバイヤーに商品を見てもらった。すると、石川県の伝統工芸に関わる仕事をしていたそのバイヤーから「県の助成事業を活用してみたら」とアドバイスを受けた。 平成21年、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド」への採択が決まると、商品開発や、百貨店の催事を中心とした販路開拓に取り組んだ。また、「金沢ブランド優秀新製品大賞」など数多くの賞も受賞。現在では月産700本でも追いつかないほどの受注に追われているという。井波社長は語る。「最近では、海外の展示会での評価も高く、多くの海外企業から取引の希望をいただいています。今後は金沢だけでなく、日本各地の素材や伝統技術を生かした商品を作っていきたいです」従来の販路であった雑貨店から、百貨店を中心としたプレミアム市場へと販路を転換。同時に、漆や金箔、岩絵具といった伝統的な素材を使用し、日本ならではの“美”を身近に感じられる新商品を開発したこと。こうした取り組みにより、国内の百貨店はもとより、海外へも販路を広げることができた。今後の事業展開事業成功のポイント昨年、初出展したパリの展示会「メゾン・エ・オブジェ」では多数の企業から取引の希望が来た。台湾での常設販売も実現。海外でのさらなる販路拡大を目指す。井いなみ波人ひとや哉有限会社シーブレーン代表取締役社長☎076-267-1001公益財団法人 石川県産業創出支援機構お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!石川県の伝統工芸を現代消費者のニーズにうまくマッチさせた商品展開。他県の伝統工芸とコラボした新商品開発に取り組むなど、横連携にも積極的。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)百貨店/ホームページ公益財団法人 石川県産業創出支援機構支 援文字盤の12か所の点は、金箔を手漉き和紙に貼り、打ち抜いたものを貼りつけてある。見る角度を変えることで下地の銀箔が輝き、文様が浮き上がる「はなもっこ」の「紋もんきり切」シリーズ。公益財団法人 石川県産業創出支援機構地域中小企業応援ファンド販 売有限会社シーブレーン「はなもっこ」の製作および販売

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