平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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43関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越る食器にはできなかったんです。それなら純度100%の錫を使って食器をつくってみたら、と考えたんです。錫には抗菌・滅菌作用がありますからね」試行錯誤の末に完成した新商品ギフトショー出展で話題に しかし、金属加工職人の間では“錫を叩く”ことは非常識とされてきた。鋳造された錫を叩くと、ヒビが入り、裂けてしまうためだ。島谷氏は試行錯誤の末、ある解決法を思いつく。「試しに圧延した錫の板を叩いてみたんです。初めは厚さ2㎜に圧延した錫板から実験をスタートして、徐々に薄くしていくと、ヒビ割れは起きなかった。ただ0.5㎜では、器状に曲げた後で端を持つと、手元でぐにゃりと曲がってしまう。結果として、0.7㎜が最適という結論に達しました」 商品化への手ごたえを感じた島谷氏は、折り紙のように形を変える“錫の紙”、というイメージから「すずがみ」と命名。さっそく青年会のメンバーと共同で出展している「東京インターナショナル・ギフト・ショー2013」へ出品した。 反響は予想以上だった。セレクトショップや通販サイトを運営する業者などが高い関心を示し、そのうち10社から「すずがみを扱いたい」というオファーを受けたのだ。その後、テレビ番組で取り上げられたこともあり、「すずがみ」の知名度は一気に高まった。「地域資源ファンド」活用でブランド化に成功 そんな折、島谷氏は青年会のメンバーから「とやま新事業創造基金地域資源ファンド」への応募を勧められる。この支援制度は、富山県内の優れた地域資源を活用した新商品や新サービスの開発に取り組む中小企業者を資金面で支援するもの。島谷氏には渡りに船だった。「ちょうど商品バリエーションを増やしたいと考えていた時期でした。当時は13cm角の商品だけだったのですが、取扱店やお客様から『他のサイズのものも欲しい』という要望が寄せられていたからです」 ファンドの採択を受けて、新たに11cm角、18cm角、24cm角の商品をラインアップ。また「ててて見本市」という手づくり生活雑貨の展示会やギフトショーなどに出展。さらに自社HPをリニューアルし、英語版を備えた「すずがみ」専用ページも開設、自社通販もスタートした。 こうした取り組みが奏功し、平成25年には年間約3,000枚だった売り上げが、 助成期間終了時には年間累計1万枚以上を売り上げるヒット商品となった。 有限会社シマタニ昇龍工房四代目昇龍お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!既存の技術と、常識にとらわれず「錫」に向かい合い完成した「すずがみ」は海外からも注目を浴び、富山県の地域資源「高岡銅器」を活用した新商品開発の代表事例として、地元産業の活性化が期待される。今後も当機構で販路開拓をはじめ支援に努めていきたい。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)HP展示会への出展公益財団法人富山県新世紀産業機構支 援有限会社シマタニ昇龍工房同社が長年培ってきた高岡銅器の鍛金技術を生かし、現代の生活や価値観に合った斬新な製品を開発。使用者のニーズに合わせ、4種類のサイズを用意したことで利用シーンをさらに広げた。さらに、今も手仕事での生産にこだわり、質の高い製品を提供できていることも忘れてはならない。今後の事業展開事業成功のポイント海外展開も進めているが、熟練した職人の手仕事による製造のため、現在は受注から納品まで4ヵ月待ちの状態。この現状を改善するため、若手の職人育成にも注力している。今後はフランスのデザイナーとのコラボで、本格的な海外進出を狙う。島しまたに谷好よしのり徳☎076-444-5600公益財団法人 富山県新世紀産業機構 「すずがみ」の開発および販売販売・市場開拓「すずがみ」の鍛金作業のようす。使用する槌の種類を変えることで、表面の風合いが変わる。食べ物をのせる皿としてはもちろん、花器やアクセサリー入れとしても使用可能。公益財団法人 富山県新世紀産業機構地域中小企業応援ファンド

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