平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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37関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越社長に「梅酒はどうか」と提案したのが、常務取締役の小野尚之氏だった。若者の酒離れなどといわれ清酒は落ち込んでいるが、一方で梅酒は全国的にブームだという。半信半疑の深田社長は、大掛かりな設備投資を行わないことを条件に開発を許可。それを受け、小野氏は過剰在庫気味になっていた純米酒を利用して梅酒作りに着手し、200リッター、300本分の梅酒を製造。これがわずか2ヵ月ほどで完売し、深田社長を驚かせた。 同社の売れ筋商品が愛知県の米を使った純米酒「三河武士」であり、また、「地産地消」が声高に叫ばれていた時勢もあって、深田社長と小野氏は愛知県の農産物に特化したリキュールを作ることを思いつく。「徹底的に愛知県産にこだわりたかった」と語る小野氏。いざ原料となる農産物を調査してみると、愛知県には実にさまざまな農産物があることがわかった。折しも岡崎商工会議所でリキュールの試作を相談し、地域資源を活用した中小企業の新規事業を支援する「あいち中小企業応援ファンド助成事業」の存在を教えてもらったばかり。さっそく申請してみたところ、平成24年に採択された。愛知県産の農産物が生んだ地産地消のリキュール 交付された助成金で原料となる果汁を仕入れた小野氏は、果実の風味や味わいを生かすべく、あらゆる調合を試した。すると、すぐに問題が発覚する。無添加、無香料にこだわり、果汁比率を高め、アルコール度数を下げたリキュールは、加熱処理方法によっては瓶内で二次発酵が始まってしまう。そこで小野氏は加熱する温度、時間、処理回数をマトリックス化して菌の死滅ポイントを入念にチェックしていった。 問題はこれだけではない。当初、カルピスを使ったリキュール開発も行っていたが、カルピスの粒子がひとたび沈降すると凝集してしまい、瓶を振っても混ざり切らないことが発覚した。小野氏がカルピス株式会社に相談したところ、会長自ら丸石醸造にかけつけ、「もっと粒子を細かくしないと固まってしまうのは仕方がない」と助言してくれた。それに従い、助成金で均質な乳化状態を作り、沈殿を防ぐための装置であるホモゲナイザーを導入。高圧で粒子を分散させることに成功し、カルピスのリキュールを完成させることができた。これは同様の問題が確認されていた桃や蜜柑にも応用することとなった。こうして一宮の苺、猿さ投なげの桃、蒲郡の蜜柑、三河のトマト、豊田の人参という、愛知県産の農産物のみを使った「魅惑のリキュール」シリーズが誕生。同社では、現在も愛知県の農産物を使ったリキュールの開発に余念がない。愛知県は農産物生産で全国6位という農業大国で、知多方面ではマンゴーやグレープフルーツなど国産では珍しい果物が作られていることもプラスに。また、地産のものを使うことで、県内農家から積極的に原材料の売り込みがくるようにもなった。今後の事業展開事業成功のポイント桃や蜜柑といった定番商品は店頭に並ぶのが長い一方、少し変わった商品はそう長くは続かない。愛知県の農産物はまだ種類も豊富なので、安定供給の望める原料をさらにいろいろ開発していきたい。深ふかだ田達たつひこ彦丸石醸造株式会社代表取締役社長☎052-715-3074公益財団法人 あいち産業振興機構お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!320有余年の歴史と伝統で培った清酒醸造技術をフル活用、徹底的に愛知県産に拘った商品開発が功を奏し、飛躍的な売上げへと繋がりました。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)消費者公益財団法人 あいち産業振興機構丸石醸造株式会社「魅惑のリキュール」製造・販売直販店、スーパー、ホームページなど販売県内の農業事業者岡崎商工会議所カルピス株式会社果物提供支 援助 言助 言果実本来の味を残しつつ、絶妙な温度で加熱処理して殺菌を行う。公益財団法人 あいち産業振興機構地域中小企業応援ファンドホモゲナイザーを使って、果実の粒子を細かく分散させる。

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