平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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33関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越続く谷櫻酒造に27歳で婿入り。蔵人のもとで一から酒造りを学び、次々と新商品を開発した。大ヒット商品「生いき」は最高で25万本を出荷するなど、小宮山氏が継いで以降、同社は売上を10倍まで伸ばしている。「鬼平犯科帳」に着想を得て地元名産の金時芋を日本酒に とはいえ、初めから順風満帆だったわけではない。入社早々、「婿が来てから酒がまずくなった」と言われ意気消沈した小宮山氏は、なんと3年近くも仕事が手につかない状況が続いたという。しかし、「このままでは見返すこともできない」と一念発起。その後の快進撃は、前述の通りだ。 その一方、近年若者を中心に日本酒離れが進む中、「老舗の地酒メーカーとして、現状の酒造りに満足することなく、この時代を生き残るために、常に新しい取り組みをしていかなければならない」と考えていた小宮山氏は、「焼酎には芋や麦などさまざまな原料がある。日本酒だって、米以外の原料を使って仕込んだら、新たな味わいのお酒ができるのでは?」と思い立つ。そんな中、時代劇「鬼平犯科帳」で偶然耳にした「芋酒」という言葉に着想を得て開発したのが、地元特産のさつまいも「明野金時」を使用した「あけのGT」だ。試作を重ね、商品化の目途が立った時点で「山梨みらいファンド」を申請。地域資源を活用した新製品研究開発支援事業として採択された。“食”とのバランスを重視ガス充填で発砲酒に加工 量産化に向け、熟成期間やアルコール度数の検証を実施。原料は日本酒同様、水、麹、蒸米に、蒸米の約10%の「明野金時」を加えるだけ。焼酎のように蒸留せず、リキュールのようにあとからエキスを足すこともせず、あくまで日本酒の醸造技術だけで作り上げた「あけのGT」は、さつまいもの香りがほのかに立ち上り、ロックでも水割りでも味が薄まりにくいのが特徴だ。甘口と辛口の2種類の味が楽しめ、サイズも大瓶と小瓶の2サイズ。新たな販路の開拓にも取り組み、女性にも気軽に手に取ってもらえるよう、ラベルデザインを外部の専門家に委託。ピンクの芋と白の米を組み合わせたモダンなデザインを施した。 ちなみに名称の“GT”とは、金時の英語直訳である「Golden Time」の頭文字から。コック出身の当主だけに、フランス料理と一緒に日本酒や芋酒を嗜んでほしいと願う。ガス充填でスパークリングに加工する「あけのGTS(Sparklingの略)」の商品化に向け、新たな挑戦も始まっている。 谷櫻酒造有限会社代表取締役お問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!「古銭屋」という屋号を守りながらも、常に挑戦をしてきた小宮山社長だからこその商品であり、日本酒への深い技術と柔軟な発想の賜物だと思います。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)消費者公益財団法人 やまなし産業支援機構支 援ファンドを活用し、地元産のさつまいも「明野金時」を使った新たな醸造酒の研究開発と販路開拓を実施。女性を中心に「飲みやすい」と評判になり、日本酒ファンの拡大にもつながった。今後の事業展開事業成功のポイント本製品をスパークリングに加工した「あけのGTS(Sparkling)」の商品化を目指している。課題はガス充填技術の安定化だ。小こみやま宮山光みつひこ彦☎055-243-1888公益財団法人 やまなし産業支援機構 谷櫻酒造有限会社「あけのGT」の開発・販路開拓県内の小売店、飲食店、スーパーなど販 売専門家県内の農業事業者ラベルデザイン委託明野金時提供日本酒、その他の醸造酒の酒造りを行う酒蔵。毎年春には蔵開きが開催され、酒蔵を見学することができる。貯蔵庫の2階を地域の交流スペースに改装し、水彩画展やピアノコンサートも開催している。公益財団法人 やまなし産業支援機構地域中小企業応援ファンド

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