平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
33/142

31関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越 同社がこうした積極経営に踏み切った背景には、“本物の信州そばを全国の家庭に届ける”というリーディングカンパニーとしての矜持がある。「信州そばブランドは、全国に広く浸透しています。しかし、全国シェアに占める長野県産の割合をみると、乾そば市場でも約37%、チルド麺・冷凍麺に至ってはわずか5%しかありません。冷凍そばについては、信州そばはわずかしか販売されていません。その最大の理由は、長野県内に冷凍麺メーカーが当社を含め2社しかないこと。まず当社が先陣を切って“本物の信州そば”のおいしさを全国に訴求していかなければ、そんな思いから新工場建設に踏み切ったのです」 そこで大谷氏は、長野県産原料(そば粉、小麦粉)のみを使用した高付加価値な信州そばの開発を思いつく。「現在、国内の原料そばのうち国産はわずか2割程度で、国内に流通しているそば商品の大部分は外国産原料で作られています。さらに国内産原料の約5割は北海道産で、長野県産はわずか8%に過ぎません。そんな中で“長野県産100%”は強力なブランドになると考えたのです」 平成25年には安曇野市でそばを栽培する「青柳農園」と連携。玄そばに安曇野産そばを使用し、小麦粉も長野県産を使用した“主原料オール信州産”の5割そばができあがった。課題は、さらなる販路拡大“世界一のそばメーカー”に 新工場の建設が進む中、大谷氏は県の上小地方事務所を通じて「長野県地域産業活性化基金」の活用を勧められ、申請、採択。助成金は、そば粉を高配合しても切れにくくコシのあるそばを実現するなど流水解凍そばに必要な技術開発や、衛生管理技術を確立するための試作機器導入費用、そして展示会への出展費用などに充てられた。「流水解凍タイプの冷凍麺は、調理時に加熱プロセスがないため、高度な微生物管理、衛生管理技術が要求されます。ラインの洗浄方法や、使用する薬剤の選択など、“安心・安全”のための試作です。展示会は“スーパーマーケット・トレードショー”や“外食ビジネスウィーク”などに出展しました」“100%信州産”の流水解凍そばは反響を呼び、高級スーパーや大手食品通販会社などからの引き合いが相次いだ。大手メーカーからのOEM供給の依頼も多いという。受注量に応じた生産体制の確立、冷凍物流ルートの確保、新たな販売先の確保など、まだまだやるべきことは多い。これら課題をクリアしながら、今後も信越明星株式会社は、信州そばブランドの向上に取り組んでいく。青柳農園スーパー、サービスエリア、ホームページなど“調理が簡便で、火を使わないため、子どもでも安全に調理できる”という流水解凍麺の特長に着目し、“本物の信州そば”という高い付加価値をつけることで他商品との差別化を狙った点がポイント。さらに、そばアレルギーのリスク低減のために“そば専用工場”を建設し、従来製品である中華麺やうどんにも“安全・安心”という価値を付加することに成功した。今後の事業展開事業成功のポイント青柳農園との連携によって“信州産そば粉”のさらなる安定供給を目指すとともに、毎年製麺適性評価や官能評価を実施して結果を青柳農園にフィードバック。最適な栽培収穫条件の検討を行うことで栽培技術の向上を図る。大おおたにまさふみ谷昌史信越明星株式会社代表取締役社長☎026-227-5028公益財団法人 長野県中小企業振興センターお問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!同社がファンド支援を受けて開発・販売した流水解凍の信州そばは、高付加価値な信州そばが、水で溶かすだけで簡単に食べられるという手軽さがあり、冷凍そば市場において大いに売り上げが期待できる商品となっている。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)消費者公益財団法人長野県中小企業振興センタースーパーマーケット・トレードショー、外食ビジネスウィークなど支 援そば粉供給出展・PR販 売信越明星株式会社高付加価値な「信州そば」の開発・製造・販売徹底した衛生管理、微生物管理の技術も、「長野県地域産業活性化基金」活用で培われた。新設された下塩尻工場。アレルギーを引き起こさないよう、そば生産ラインを完全に独立。公益財団法人 長野県中小企業振興センター地域中小企業応援ファンド

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 33

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です