平成27年度 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)事業化事例集
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25関東・甲信越北海道・東北北陸・中部近畿中国・四国九州・沖縄関東・甲信越人氏に相談。日光天然氷で知られる四代目氷屋徳次郎の山本雄一郎氏を紹介された。 意気投合した米山氏と山本氏は、手間も時間もかかる寒ざらしそばの生産工程を“物語”と捉えた。この物語を含めて多くの人に興味をもってもらうことができれば、地元産そばのブランディングの呼び水となり、知名度の向上にもつなげられるはずだ。平成22年1月、米山氏は思いを共有した山本氏とその仲間たちの協力を得て、寒ざらしそばの仕込みを開始した。生産量と品質向上を目指し助成金を活用した研究に着手 ところが寒ざらしそばの生産は、当初考えていたよりもはるかに骨が折れるものだった。雪が積もる氷点下の山中で、水を含んだ玄そば袋を清流から引き上げるだけでも一苦労。作業がはかどらず、生産量が上がらない中、そばの味にも大きく関わる乾燥や熟成の工程では試してみたいことも出てきていた。しかし、それを実行するためには資金が要る。米山氏は所属する鹿沼商工会議所からアドバイスを受け、「とちぎ未来チャレンジファンド」に申請。平成25年10月に採択されると、翌年1月の仕込み時から、助成金を活用して、寒ざらしそばの生産量と品質を向上させるための研究に着手した。 乾燥の工程では、15~16%という玄そばの適正な水分含有率と生産効率の向上を目指して試行錯誤し、適切な製法を見つけ出した。熟成の工程ではプレハブ冷凍庫を導入。長時間鮮度を保ち、そばの甘味と旨味を引き出す最適な温度を確認することができた。また、試食会などのPR活動にも助成金を使い、東京都内のそば店からの供給依頼などにつながった。色合い・甘味・食感が特徴生産量、提供店舗ともに増加 助成金を活用した研究の成果が反映された「日光寒ざらしそば」は、平成26年に売上を計上し事業化達成。平成22年には120kgだった生産量も、事業化達成の翌年には3,750kgと大幅に向上した。 地元の生産農家とも協力し合い、土づくりから種まき時期、収穫時期にまで心を配ってつくった玄そばを、助成金を活用して得た知見を生かしながら、アク抜き、乾燥、熟成と丁寧に仕上げてそば粉にする。そのそば粉で打った「日光寒ざらしそば」は、新そば同様の青みがかった色合いで、甘味が強く味わい深い。モチモチとしたコシのある食感も特徴のひとつだ。地元そば店での提供も増え、平成28年には9店舗となった。「地域を巻き込んで盛り上げていきたい」という米山氏の思いは、徐々に形になってきている。地域と地域の人々を大事にすること。そして、この地域の風土から生まれ、完成までにたいへんな手間がかかる“日光寒ざらしそばの物語”を大事にすること。多くの人々の協力が得られたことで、この2つがぶれなかったというのが大きい。助成金はもちろん、栃木県産業振興センターの支援も、生産量と品質の向上や商品PRなどにとても役立った。今後の事業展開事業成功のポイント夏は「日光夏の新そば」、秋は「日光あおいそば」、冬の終わりには「氷温寒熟そば」と、日光にはおいしいそばがいろいろある。ここに4月下旬ごろに出てくる「日光寒ざらしそば」を加えて、四季を通して地元産そばのおいしさをアピールできればと思っている。米よねやましんたろう山慎太郎米山そば工業株式会社代表取締役☎028-670-2601公益財団法人 栃木県産業振興センターお問合せ※その他の地区については巻末の連絡先一覧をご覧ください。ファンド担当者の視点!米山社長と地元産そばに関係する人たちの熱意が生んだ日光寒ざらしそば。今後もさらなる品質向上、販路開拓などの面から、この「物語」を支援していきたい。事業の推進体制(協力業者、販売代理店などの体制)公益財団法人栃木県産業振興センター支 援米山そば工業株式会社「日光寒ざらしそば」の開発、製造、販売消費者そば店百貨店催事、そば問屋治平庵(直販店)、ホームページなど販売販売日光寒ざらし蕎麦生産者組合、四代目氷屋徳次郎、日光手打ちそばの会など支 援地元産の玄そば。現在、日光寒ざらしそばには鹿沼産と日光産の玄そばが使われている。寒ざらしの風景。毎年1月、標高約900mにあるマックラ滝付近の清流で行われている。公益財団法人 栃木県産業振興センター地域中小企業応援ファンド地元のそば生産農家協 力

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